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ウエルネス食品市場、3兆8,140億円で微増見込み
タイパや記憶力ケアなど新ニーズの展開が進む

総合マーケティングビジネスの富士経済が、効能表示が可能な保健機能食品、また、効能表示はないが商品名やパッケージに○○オフや○○ゼロ、減塩、無添加などを記載しライトな健康感を訴求する食品を“ウエルネス食品”と定義し、食品カテゴリー別に市場を調査した。その結果を、「カテゴリー別ウエルネス訴求食品の開発トレンドと将来展望」にまとめた。



2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛により、市場の30%以上を占めるウエルネス飲料が縮小したため、市場も縮小した。一方、在宅機会が増加したため“コロナ太り”が注目され、糖類/糖質オフ・ゼロやカロリーオフ・ゼロを訴求した商品の需要が高まったほか、美容や体づくりを目的としたプロテインブームによるたんぱく質訴求食品の伸びもみられた。

2021年は、テレワークやリモート授業の普及もあり、フィジカルのみならずメンタル訴求商品の発売が目立った。特に、「Yakult1000」(ヤクルト本社)のヒットにより、睡眠をキーワードとする商品発売が増えたことから、市場は拡大した。2022年も前年同様、メンタル訴求商品が好調であったことから、市場は前年比1.8%増の3兆7,480億円となった。

2023年は、新型コロナの流行が落ち着きをみせていることから、単に体に良いだけではなく、タイパ重視や記憶力ケアなど、新たなニーズに対応した商品展開が進むと予想される。特に、タイパをキーワードとする商品は、完全栄養食の増加や調理不要の簡便性を背景に大きく伸長するとみられる。また、ウエルネス食品の購入はEC利用も多く、EC対応商品が増えていることも追い風となり、市場は前年比1.8%増が見込まれる。




ビタミンやカテキンなどを含有したオン要素と、カロリーオフ・ゼロなどのオフ要素共に幅広い商品展開がみられ、近年は機能性表示食品でストレス緩和や睡眠サポート、免疫ケア、記憶力ケアなどの訴求が増加している。

2020年は、外出頻度の減少で自販機やCVSなどでの販売が苦戦したため、市場は前年を下回ったが、2021年は、睡眠サポートを訴求した商品の需要増加などにより市場は拡大に転じた。

2022年は、健康に関する多様な商品展開が進んだため、市場は前年比3.6%増となった。また、機能性表示食品が特定保用食品の規模を上回った。

2023年は、睡眠サポートを訴求した商品の好調や、免疫ケアを訴求した商品の発売やウエルネス飲料のラインアップの拡充によって、市場は拡大が予想される。





従来は休肝日を設ける目的で需要を獲得していたが、近年は健康意識の高まりを背景に糖質オフ・ゼロやプリン体オフ・ゼロ商品が好調であり、市場は拡大している。

2020年は、コロナ禍の巣ごもり需要で飲用頻度が増加した。また、健康意識の高まりにより、特に機能性表示食品を中心に需要が急増したため、市場は拡大した。

2021年は、機能性表示食品が好調を維持したことから市場は拡大が続いた。しかし、アルコール飲料に近い風味の“微アル”ビールの発売が相次いだことにより、一部では需要流出がみられた。

2022年は“微アル”ビールからの揺り戻しがみられたほか、甘くないノンアルコールを訴求した糖類・糖質オフ・ゼロやカロリーオフ・ゼロの商品が拡大をけん引し、市場は前年比4.5%増となった。




2020年はコロナ禍で高まった内食需要に対応して、メーカー各社がホワイト食パンの生産を強化したことからウエルネス食品の店頭露出が低下し、市場は縮小した。

2021年は大手メーカーから減塩を訴求した商品が発売されたほか、完全栄養食として食物繊維や全粒粉、ビタミン、カルシウム、たんぱく質を訴求した「BASE BREAD」(BASE FOOD)が大手CVSに配荷されたことから、市場は拡大した。

2022年は大手メーカーの商品が機能性表示食品を取得する動きがみられたほか、「BASE BREAD」の好調などにより市場は大きく拡大した。