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26年、産婦人科関連の医療用医薬品は1000億円(13.4%増)
保険適用範囲拡大や婦人科系疾患の啓発・認知拡大が追い風

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、保険適用範囲拡大や政府の出産・子育てに関する経済支援策で不妊治療剤などの活性化が期待される産婦人科領域の医療用医薬品市場について調査した。その結果を「2023 保険適用1年後の産婦人科関連市場のトレンド分析と将来予測」にまとめた。



市場は、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤、月経障害治療剤、不妊治療剤の3品目が80%程度を占める。2022年度は不妊治療の保険適用範囲が拡大され、不妊治療剤が二桁増となったほか、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤や月経障害治療剤も、疾患の認知拡大で患者数が増加したため、市場は前年度比7.8%増となった。

2023年度も引き続き不妊治療剤は需要が増加しており、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤も堅調である。このほかに低用量ピルの需要が増えている避妊薬や、患者数の増加と疾患の認知拡大が進む更年期障害治療剤も伸びるとみられ、市場は前年度比3.4%増が見込まれる。

今後も不妊治療の患者数増加と、子宮内膜症などの婦人科系疾患に対する認知拡大により、2026年度には1,000億円に達すると予測される。



2022年4月に、人口受精(AIH)と生殖補助医療が保険適用となり、患者数が増加した。その後、薬価引き下げや急激な需要増加などによる限定出荷があったものの、2023年度も需要が増えているため、前年度比10.3%増の171億円が見込まれる。

保険適用以前は市場の80%程度が自由診療向けであったが、2022年度以降保険診療向けの構成比が高まっている。保険適用には母体の年齢や回数の条件があるため、今後も自由診療向けが主体とみられるが、2023年度は35%程度が保険診療向けになり、今後も構成比が高まっていくと予想される。



子宮筋腫・子宮内膜症の治療で処方されるホルモン療法剤のうち、子宮筋腫・子宮内膜症に処方された物の実績のみを対象とする。近年発売された「レルミナ」(あすか製薬)や「ヤーズフレックス配合錠」(バイエル薬品)が市場をけん引しており、子宮筋腫・子宮内膜症の啓発が進み受診が増加していることから2023年度も市場は前年を上回るとみられる。産婦人科関連の中では開発が最も盛んで、2024年の投入を目指している製品もあるため、市場は今後も拡大していくと予想される。



<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

<調査期間>
2023年8月~9月