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医療の世界へLet’s Go!!! 現役薬学生・チルロッチの連載「とある薬学生の日常」③

第3回:「チーム医療・多職種連携編」

~薬剤師として地域へ貢献するために~

こんにちは!今回で早くも第3回の連載となりました。薬剤師国家試験まで約2カ月となり、薬学部の6年生は勉強にも精が入る時期となりましたが、私は今まで通り記事を書かせてもらいます。今回のテーマとしては、チーム医療や多職種連携といった、医療者全般の領域における薬剤師の立ち位置を、学生の観点から述べさせてもらいたいと思います。


そもそも市民にとっての薬剤師とは?



そもそも、地域の中における薬剤師とは何なのでしょうか?よく見かける姿とすれば、調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師が浮かぶと思います。最近では、患者さんの在宅に向かい、服薬指導を行うシーンも増えましたが、その普及はまだ十分とはいえません。また、これは大学の講義でも学んだことなのですが、「薬剤師が思っている以上に、その職能を理解している市民の方は少ない」ということも現状です。そのため、学生の分際ではあるのですが、今後薬剤師としてはより一層、地域に自ら出向いて活動していく必要があると考えています。

いきなりネガティブな内容となってしまいましたが、もちろん薬剤師として良い面もあります。医師や看護師による訪問診療の場合、患者さんを良くする「治療」という面に重きが置かれがちです。そこで、薬剤師が服薬管理を含めて、「患者さんの相談相手」となることで身近な変化も知ることができ、さらなる治療の向上に繋げることが可能となります。実際に自分自身、薬局実習でこういった場面にも遭遇したことがありました。他にも、大学の先生と過疎地に出向き、その地域に住む患者さんとの交流を行わせてもらったりもしました。これらを踏まえて感じたことは、薬剤師としての業務を行うことももちろん大事ですが、それ以上に「1人の人間として患者さんに接すること」が、良き相談相手としての薬剤師の地域における地位が確立されると感じました。


チーム医療における薬剤師の立ち位置


先ほどまでは、地域における薬剤師の在り方を述べましたが、次はチーム医療における立ち位置です。特に他業種と密接に関わる場面としては、病院が挙げられます(訪問薬局でも一定の関わりはありますが、ここでは割愛)。医師・看護師・理学療法士・臨床検査技師・社会福祉士などの様々な業種の方がいる空間では、薬に関する相談も多く、相談相手としての役割は地域とも同様です。もっとも、病院では「薬のスペシャリスト」としての回答が求められるため、膨大な知識が求められることになりますが(笑)。

さらに、病院薬剤師に求められるスキルとしては、病棟に入院している患者さんとの接し方です。病院では、薬剤管理指導料を加算することができ、これによって病院の経営にメリットをもたらすこととなります。最低でも週1回以上は患者さんの病室に出向き、投薬による体調の変化を観察することになるのですが、ここで良い関係が構築できるようにコミュニケーションを上手くとることが重要となります。患者さん自身は、体調が良くないから入院しているのですが、その日々のちょっとした変化にもコミュニケーションを通して薬剤師側が気づけないといけません。そうしないと、加算をとるという目的が先行してしまい、結果として患者さんへのケアを十分に行えないこととなってしまいます。個人的には、できることなら毎日病室に出向くのがベストだと思いますが、それが十分に行えない病院が大半であるのが現状です(病院の経営にメリットが無く、そこまで業務に時間を割けないからだとは思いますが…)。ここは、今後の私自身が解決すべき課題であるので、実際に薬剤師になってからまた言及できればと思います。


地域へ還元できる人間になるには



最後に、将来薬剤師として働く上で、いずれはこういうふうに世の中が変わっていければなと感じていることを、軽くお話ししたいと思います。いち学生の考えなので、興味が湧かなければスキップしてください(笑)。

前回の連載の際に、私は「薬の観点で長期的なケアを行える薬剤師になりたい」と言いましたが、それは入職先の病院に限った話ではありません。慢性期病院に入院している患者さんは、あくまで地域に住んでいる市民の1人であり、たまたま病院で出会った人というふうに考えています。院外に出れば住宅は無数にありますし、そのあたりの道を歩いている市民の方も多くいらっしゃいます。また、目に映らないだけで、自宅から出ずに独居で過ごしている方もいますし、家族によって介護されている高齢の方だっています。

なにが言いたいのかというと、「入院している人=患者さん」という認識だと思われがちですが、実は地域の中にこそ、治療や相談を求めている患者さんが多くおり、薬剤師がそこに介入していく重要性がとても大きいと考えています。よく、病院薬剤師と薬局薬剤師で区分され、互いが互いを別の業種であると言っている場面を目の当たりにするのですが、それこそが落とし穴ではないかと思います。患者さんの入退院時に情報共有を行うのみの薬薬連携ではなく、互いのフィールドに入り込めるような環境が必要です。こういった、市区町村ごとの薬剤師の連携をより密接に行うことで、町を1つのフィールドとしたケアが行えるのではと、個人の見解として書かせてもらいました。

以上で今回のテーマにおけるお話は終わりたいと思います。私自身も、自分の考えを見直す良いきっかけとなりました(笑)。実際に薬剤師になったとして、上記で述べたことを達成できるのか、少し不安を感じるところではありますが、やれることを精一杯行えればと思います!

次回は来年1月号となりますが、そこでは薬剤師国家試験の直前となる学生が、どのような生活を送っているのか紹介できればと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。