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医療の世界へLet’s Go!!! 現役薬学生・チルロッチの連載「とある薬学生の日常」②

第2回:「就職編」

~自分が目指す薬剤師として働くために~



薬学生にとっての就職


こんにちは!先月からスタートした月1回の投稿。初回では、私が薬学生になるまでのストーリーを皆さんに知ってもらいましたが、今回はその後に待ち受ける「就職」にフォーカスを当てて、薬学生のリアルな実態をお話しできればと思います。

就職といえば、学生が社会人になるための準備運動のようなもので、初めて「大人になるんだ」という認識を持つ瞬間と考える方も多いと思います。薬学生においても例外ではありませんが、意外にも就活へのハードルは、他の学部の方よりも低いです。

その要因の1つは、国家資格を取得することで、薬剤師として働き手の需要があるためです。もっとも、その資格を得るための勉強で手一杯となる薬学生が多いため、十分な就活を行えずに社会人になってしまう方がいるのも事実です。また、もう1つの要因として、どの大学の6年制薬学部でも共通に、5年次の実務実習を行うので、既にインターンのような経験をさせてもらえるからです。これにより、実際に学生自身がどこで働くのか、具体的なイメージが自然としやすいのではと思います。

薬学生が志望する就職先としては、主に薬局・病院・ドラッグストア・製薬企業の4業種に分かれます(他にもありますが少数なので割愛)。5年次の実務実習が、薬局と病院でそれぞれ11週間行うということもあり、この2業種を志望する人が多い傾向にあります。自分もそのうちの1人ですが(笑)


病院薬剤師という選択


何度も話に出てきている「実務実習」ですが、これは薬学部が6年制になった際に加わったカリキュラムの1つです。私自身は薬局・病院共に、サポートの手厚い恵まれた実習先に行けたため、就職先についてもこの2業種を視野に入れていました。特に病院での実習を通し、「長期的な視点で関わることの出来る現場に行きたい!」と考えるようになり、現在内定を貰っている慢性期病院で働く決断をしました。しかし、そこに行き着くまでの葛藤ももちろんありました…。

そもそも、病院のざっくりした分け方として、急性期・回復期・慢性期があります。急性期では、薬剤師の数が多く、薬の量・種類などを日々調整することで、薬物治療を重きに置いています。数年前に女優の石原さとみさんが主人公を演じていたドラマ「アンサング・シンデレラ」も、この急性期領域の薬剤師の活躍を描いたものです(ドラマの内容ほど波乱万丈は実際にはないですが…)。回復期では、主に急性期から転院してリハビリを行っており、薬剤師よりも理学療法士・言語聴覚士などが多いのが特徴です。そして慢性期ですが、ここには認知症+他疾患の患者、終末期患者(主にガン末期患者)などが中心で、自宅で1人過ごすのが難しい状態のため、在院日数も長くなります。薬の変更を行う頻度は急性期よりも低いため、「薬剤師はそこまでの必要ないのでは?」と考える方も少なからずいます。

ただ、皆さんよく考えてみて下さい。

薬の種類や量を変更する時だけ、医師や薬剤師が関与すれば良いのでしょうか?

新しい薬を飲み続けて、薬によるちょっとした日常生活の変化には誰が気づけばよいのでしょうか?

昔から飲み続けている薬による影響を、誰が把握していなければいけませんか?

万が一、今飲んでいる薬で副作用が生涯続いた場合、誰にその責任がありますか?

これを誰がしなければならないのか。それを決めている法律はありません。しかし、薬を1回調剤して渡した時点で、その薬に対する今後の責任は、その処方をYesとした薬剤師にあると思います。渡した薬が体に与える影響について、渡された人のその後の人生をずっと保証することが、私の掲げる薬剤師像です。もっとも、それを100%成し遂げられる就職先はないため、「同じ患者を長い期間見ること」が出来る、慢性期病院を選ぶことにしました(少し熱くなってしまい、申し訳ありません)。


本当にここで働いていける?


病院で働くことを決めた私ですが、ここで多くの薬学生がぶつかる問題に悩みました。それは、業種ごとの収入格差です。平均の初任給を比較した場合、「病院<調剤薬局<ドラッグストア」といった形になっており、その格差は大きいと月10万程度となります。また、薬学部自体の学費も高額であることから、家庭事情的に厳しい人は、収入面から自ずと病院で働くことを諦めてしまう方がいることも事実です。私自身も、約700万円の奨学金を借りているため、正直病院で働いていいのか不安になることもあります。

また、慢性期の病院を選択する際にも、私の中で迷いが生じました。新卒で病院勤務を志望する薬学生は、急性期を選ぶ割合が圧倒的に多く、回復期・慢性期の病院を選ぶ方はほぼいません。感覚的には、急性期の1/5程度でしょうか。とにかく、同僚と呼べる仲間が少ないため、就活の際も相談がとてもしづらかったです。その点において、今後もかなり孤独さを感じる業種になるのかなと感じました。もっとも、私の場合は「私自身が成し遂げたいこと」が、これから働く職場にあると思えたので、最終的には入職を決意し、無事に就活を終えることとなりました。

以上が、私自身の就活ストーリーでした。正直、低学年の頃は「大学院に進学し研究者になりたい」や「製薬企業で新しい医薬品の開発に携わりたい」と思ったりし、様々な業種に憧れてきました。それでも紆余曲折を経て、本当に私がしたいことを見つけ出し、それを実行に移すことが出来ました。

次回は、チーム医療や多職種連携について、いち薬学生の考え方を共有できればと考えています!最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

ペンネーム・チルロッチ

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