ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

医療の世界へLet’s Go!!!現役薬学生・チルロッチの連載「とある薬学生の日常」④

第4回:「勉強編」

~薬学生にとっての「学ぶこと」とは~

こんにちは!少し遅いかもしれませんが、あけましておめでとうございます。皆さんは年末年始を有意義に過ごすことは出来ましたでしょうか?私は久々に大阪に里帰りをしており、学生らしくダラダラ過ごしていました(笑)。もちろん勉強も少しはしていましたよ…?さて、薬剤師国家試験まで残り1カ月を切り、薬学生にとってはいよいよ正念場となる時期がようやく近付いてきたようです。そこで今回は、私自身の経験も踏まえ、薬学部での「勉強」について。そして薬学生にとっての「学ぶこととは?」ということに着目し、お話しできればと思います。



薬学部に入学後…


国家試験の話をする前に、薬学部での勉強について触れたいと思います。以前にも記載しましたが、どの大学の6年制薬学部においても、低学年・高学年で内容が分けられることが多く、低学年では座学や実験の授業。高学年では実務実習や卒業研究、そして卒業試験が行われます。

まず、低学年でのいわゆる「お勉強」なのですが、私たちの学科では多くの領域を単位取得する必要があり、そのほとんどが必修科目となっています。そのため、単位をいくつも落とすとその時点で留年が確定してしまうため、定期試験の突破こそが入学後の第一の壁となります。薬学部の留年率は高く問題視されることもありますが、あくまで大学側が国家試験を受からすために知識を定着させるためのものであるため、これに関しては致し方ないとも思われます。私自身は、この定期試験を突破するためのお勉強のおかげで、高学年になってもあまり苦労なく卒業に向かうことが出来ました。ただ、勉強が好きなわけではないです。あとで楽をしたかったので(笑)。

4年次になるとCBT(薬学共用試験)という試験を、どの大学の薬学部でも受けることになります。これに受からないと、5年次に行う外部実習に参加することが出来なくなるため、実質留年となってしまいます。もっとも、ほとんどの学生はこれを乗り越えられるので、そこまで不安を感じることはありませんが。5年次からは座学のお勉強よりも、実際にその知識をどのように活用するのか?という、実戦形式にシフトしていきます。大学によって期間は異なりますが、約半年間の外部実習に加え、それ以外の期間は卒業研究を行う日々が続きます。また、その合間を縫って就職活動もしなければならないため、急に学生1人1人で考えることが増えるため、精神的に参ってしまう学生も若干名いると感じました。ただ、これを乗り越えれば、残りは卒業試験・国家試験のみとなるので、いよいよ薬学部の終わりが見えてきます。


「最後の壁」 薬剤師国家試験


卒業が近くなってきた学生たちに待ち受けるのは、またしても「お勉強」です。正直、低学年で学んだ基礎知識を再度覚え直して、国家試験のための対策をしなければいけないのはなぜ?と、感じることが多いです。もちろん現場で実用的な知識も求められますが、そうではない範囲も試験では設問として出題されるので、少し違和感を覚えます。将来的に問題の内容が変化していけばいいなと勝手に思っています(笑)。

さて、話が逸れてしまいましたが、結局は誰が何と言おうと、薬剤師として活躍するためには合格するしかありません。膨大な範囲の試験ではありますが、資格試験であることに変わりはないので、頻出問題や正答率の高い問題を効率良く反復して解くことで、点数はどんどん稼げるようになります。勉強時間が足りなくて試験に落ちるケースは良くありますが、落とし穴として1つあるのは、真面目な勉強をしている人ほど点数が伸びにくいこともあることです。言い換えると、参考書を1から学び直している人は、体系的にその分野の知識を知ることは出来ますが、試験では触れられないことまで覚えようとしてしまいます。

あくまで私の偏見ですが、そこまでいくと単なる趣味になってしまうので、「なんでこんな頑張っているのに報われないんだ!」という負のスパイラルに陥ってしまいがちだなと感じます。そういった学生も少なからずいることから、授業の教室や自習室がピリついていることもありました。数カ月後には、友達みんなで笑えているといいですが…。


6年制卒業の薬剤師にはなにが出来るの?


なぜあえて、先ほど勉強法の悪い例を挙げたのかというと、社会人になり座学をする時間が減っても、根本的な考え方は変わらないと感じたからです。その場に適応した手段・方法を用いることが出来なければ、どれだけ努力してもただの自己満足で終わってしまい、むしろ他人との意見の食い違いが発生しがちだと考えます。これはどの職場の方でも言えることではあると思いますが、医師・看護師・理学療法士などの多くの職種との懸け橋の役割をもつ薬剤師にとっては、それがかなり重要視されると思います。あえて6年制薬学部の意義を求められたなら、「お勉強をすることはもちろんだけど、それを通じて現場で柔軟に対応できる力を、学生のうちから身に着けて欲しい」と誰かが考えたのかなと思います。私自身の勝手な妄想ですが(笑)。

ふと、実習の時にベテラン薬剤師の方から言われたことを思い出したのですが、「6年制の薬学生には今の薬剤師業界を変えていく力がある!」とおっしゃっていました。その時は、「6年制を卒業したからといって、結局は薬剤師としてやることは一緒だし、あんま変わらんやろ」と内心思っていました。ごめんなさい、ベテラン薬剤師さん(笑)。

でも今考えると、人数がますます増えていく薬剤師業界の中で活躍するには、その環境で求められるイノベーションを自ら実現でき、多くの視点から考えて多くの発信が出来る薬剤師なのではないかと思います。6年制が始まってまだ10年ちょっとしか経っていませんが、その歴史を作っていかなければいけないのは、私自身なのだと認識させられました。

あくまで、お勉強を私なりに咀嚼してみた内容でしたが、薬剤師になってもそれが続くとなると気合を入れていかないとなと思いました。もっとも、小学校と同じ長さの大学6年間をもう一度行えと言われたら、二度とやるもんか!とはなりますが(笑)。

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。次回2月号は、勝手ながら国家試験に全力で臨むこととなるので、一旦休止させてもらいます。無事に合格し、3月号でまたお会いできればと思います!まだまだ寒い日が続くので、皆さんも体調にはお気をつけてください。では、次回もお楽しみに!