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医療の世界へLet’s Go!!!新人薬剤師・チルロッチの「とある薬剤師の日常」14

第14回:「在宅編」
~患者さんの家に向かう訳~



こんにちは!5月になり、新生活も始まってから時間も経過してきた今日この頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 私は薬剤師として2年目となりましたが、まだまだ新入りの気持ちは変わらず、後輩が出来ていることに違和感があるくらいです(笑)。さて、今回は在宅への訪問を主なテーマとしてお話しできればと思います。ドラッグストア勤務ではありますが、調剤薬局としての職能を、体験談を踏まえつつお話しできればと思います。


在宅に向かうまでの流れ


まず在宅の話をする前に、どのようにそういった患者さんを見つけるかというところから、行動する必要があります。私が所属している会社では、店舗に来局される患者さんの中でも、「継続的に来局される方・多くの薬を服用していて周囲に薬剤管理をしてくれる人がいない方・子供の内から重い疾患を患っている方・計量調剤で時間がかかる方など」、来局するのに苦労するような患者さんにお声がけすることから始めています。また、場合としては医師のほうから在宅をお願いされる場合もありますし、医師の往診に同行するようなケースもあります。そのため、意外と在宅に関わる機会は薬剤師にも多く、私自身も今年1月入社ではありますが、10件以上は訪問させて頂いております。まだ経験としては浅いんですけどね(笑)。

実際に在宅訪問を行う事が確定してからは、病院から処方箋をFAXで飛ばしてもらい、その内容をまず調剤・鑑査します。その後、患者さんが滞在している時間に合わせて訪問し、その内容について報告書という形で病院宛に共有します。介護保険が適用される場合には、ケアマネも含め共有することで、各業種間での連携も取れるような体制となっています。


調剤薬局として在宅を行う理由とは?


こういった在宅のサービスを行う理由としては、もちろん患者さんが来局する負担を減らすという観点もありますが、他にも保険薬局としての理由が存在します。それは、保険調剤を行う上での加算をとるためという点です。

ここからの内容は、あくまで保険薬局の経営としての視点となります。初歩的な内容とはなりますが少しでも興味がある方は是非見てください!そもそも保険調剤とは、調剤報酬という点数表によって基本的には1点=10円としてカウントされ、この点数が高いほど薬局側にお金が入ってくるシステムになっています。この点数表の中に、「地域連携体制加算」という点数があり、これはいくつかの要件を満たせば、その分ベースとなる点数がアップするという仕組みになっています。そしてこの要件の1つに、今回のテーマにもなっている在宅患者さんへの指導実績回数というものが関与してきます。そのためよくある例としては、この地域連携体制加算を充実させるために、一定数の在宅患者さんを確保していく必要があるということです。これは本部からも、よく店舗に対して言われる点になります(笑)。

その他にも在宅を行うメリットしては、お薬カレンダーによる薬の管理が可能になったり、介護保険利用者や子供医療適応の患者さんでは自己負担額が安い状態で在宅医療を提供出来たりと、様々なメリットがあります。薬局経営のための在宅推進にならないよう、薬剤師-患者さんの両方がWin-Winとなるような在宅医療を行う事こそ、実際に求められているのではないかと個人的には思っています。


在宅訪問を実際に行ってて思うこと


ここからは実際に私自身が患者さんの家に伺って感じたこと・考えたことなどを独自の視点でお話しできればと思います!

今現在、自分が所属している店舗で特に多い例としては、小児に対する在宅が多いです。その理由としては先ほどもお伝えした通り、子供医療によって自己負担額が安く提供が出来るためです。また、てんかんなどの疾患を有する場合、急なタイミングで体調を崩しやすい点や、長期的に抗てんかん薬の薬を服用するケースもあります。加えて子供に対する処方だと、まずシロップや粉薬であることが多いので、調剤にも時間がかかります。そのため、患者さんを待たせないためにも、出来上がってから患者宅に電話する在宅訪問の方が、お互いにとってもWin-Winといえる形になります。

薬が準備出来て在宅に向かう際、最も気を付けないといけないことは患者さんの背景を細かく知っておくことです。私が所属する店舗の場合、毎回同じ薬剤師が担当している訳では無いので、薬歴を細かく見てバックグラウンドを知っていかないと、「なぜこの薬が出たのか?」も分からないですし、そもそも多くの種類の薬を併用していることが多いので、その把握も一苦労です。いざ患者さんの家に着いた後も注意すべき点があり、患者さんの住んでいる状態を細かくその場で把握しなければいけません。「この患者さんは実は人工呼吸器つけていたんだ」や「高齢な方なのに寝るのは2階なんだ」など、入室してから知ることもしばしばあります。薬局に来てもらう時よりも情報量が多く、それを臨機応変に整理してアドバイスを行うといった技術が求められます。そのため在宅に行く前は、いつも気合を入れています(笑)。

もちろんそういった経験をすることで、薬の知識以外にも勉強となる面もあるので、本当に在宅は奥が深いと思います、、、。これからもしばらくは苦戦しながら、在宅を少しずつ自分の物にできればと思います。以前から言っている通り、私自身の1つの目標として高齢者への長期的なケアを行える薬剤師になることは今も変わりません!

長いこと自分語りをしてしまいましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。薬剤師のみならず、薬に関わる様々な職種の方に見てもらえると光栄です!

梅雨・夏が近づいてきて体調を崩しやすくなる時期でもありますので、お互い無理はないよう頑張っていきましょう! ご拝読いただきありがとうございました。