
摩耶堂製薬が、膀胱炎薬「腎仙散」(第2類医薬品)のパッケージをリニューアルし、2026年10月中旬から順次発売を開始した。今回の刷新で目指すのは、商品の認知拡大だけではない。膀胱炎に悩みながらも、治療や相談に踏み出せずにいる人たちに、市販薬という選択肢を届けることだ。1967年の発売から約60年。長年培ってきた医薬品の価値を、現代の生活者に改めて伝える挑戦が始まった。
膀胱炎は、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などを伴う身近な疾患だ。しかし、症状があっても「人に相談しにくい」「仕事を休めない」「病院に行く時間がない」といった理由から、対処をためらう人もいる。
摩耶堂製薬は、こうした生活者の実態を把握するため、2026年2~6月にアンケート調査や膀胱炎経験者へのグループインタビューを実施した。
就業中の男女256人を対象としたアンケートでは、47%が膀胱炎の経験があると回答。発症経験者の約8割が再発を経験していたという。ただし、調査対象は限定されており、一般人口全体の傾向を示すものではない。
調査から見えてきた課題の一つが、膀胱炎を効能・効果とする市販薬の存在が十分に認知されていないことだった。
そこで同社が着目したのが、生活者と商品の接点となるパッケージだ。
新パッケージでは、従来から親しまれてきたピンクを生かしながら、落ち着いた濃紺をキーカラーに採用。「膀胱炎の治療に」というメッセージを明確に打ち出した。薬局・ドラッグストアの店頭やECサイトで商品を見つけやすくし、何のための医薬品なのかが伝わるデザインを目指している。
「腎仙散」は1967年に発売された、15種類の生薬を配合した一般用医薬品だ。抗菌作用を持つとされるウワウルシをはじめ、利尿や抗炎症などに関わる生薬を組み合わせ、膀胱炎、腎炎、ネフローゼ、腎盂炎、むくみ、尿利減少の効能・効果が認められている。
新パッケージは12包入り(4日分)と22包入り(7日分)の2種類。希望小売価格はそれぞれ税込1,680円、2,838円。全国の薬局・ドラッグストア、ECサイトなどで販売する。
もちろん、膀胱炎が疑われる症状には適切な医療機関の受診が必要な場合もある。特に発熱や腰・背中の痛みを伴う場合、症状が悪化する場合などは、自己判断を避けて医療機関に相談することが重要だ。
今回の取り組みで注目したいのは、新しい医薬品を生み出すのではなく、すでに存在する医薬品の価値を、生活者の視点から見つめ直したことだ。
薬があっても、その存在や用途が伝わらなければ、必要とする人の選択肢にはならない。摩耶堂製薬は、ロングセラー商品のパッケージを通じて、医薬品と生活者との距離を縮めようとしている。