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特別対談 エフケイ・遠藤俊一社長×摩耶堂製薬・綾井博之社長
メンズヘルスケア推進で「日本の男性を元気に!」


超高齢社会に突入して久しい日本。さらに今後は人口減少がより顕著になり、その社会では「健康寿命延伸」と共に「労働寿命延伸」が重要視されてくるのは間違いない。特に男性は歳を重ねるごとに体内で生成される男性ホルモン・テストステロンが急激に減少していき、労働意欲・健康状態・生活の質に大きな影響を与える。ここで重要になるのが「いかに男性ホルモンを補充するか?いかに男性ホルモンを生成しやすい身体をつくっていくか?」という考え方だ。今回、埼玉県でカウンセリング型ドラッグストアのドラッグエースを展開し、地域から厚い支持を得ている株式会社エフケイの遠藤俊一社長と日本で唯一の男性ホルモン(メチルテストステロン)を配合するOTC医薬品「金蛇精」(第1類医薬品)を展開する摩耶堂製薬株式会社の綾井博之社長にご登場いただき、メンズヘルスケアの重要性について語っていただいた。(取材と文、写真=佐藤健太)


「根本治療」で健康寿命延伸に寄与するドラッグエース


――遠藤社長にお聞きします。貴社についての簡単なご説明と経営理念、重要視している事柄をお聞かせください。


エフケイ・遠藤俊一社長

遠藤社長 当社はドラッグストアのドラッグエースや調剤薬局のエース薬局、訪問看護ステーションのエース訪問看護ステーションなどを運営している企業であり、地域のヘルス&ビューティを支えるドラッグストアをビジネスの中核としています。もちろん疾患の治療にも対応していますが、どちらかと言えば、対症療法ではなく「根本治療」を目指しており、病気になりにくい体づくりを店頭・スタッフを通じてお客さまに啓発しています。

超高齢社会に突入している日本ですが、当社が店舗展開している埼玉県は、高齢者(65歳以上)数でいうと「これからが大変な時期」という状況にあります。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後、埼玉県では急激な高齢化の進行や生産年齢人口の減少が見込まれており、2010年から2025年にかけて、高齢者が約50万人増加すると推計されています。こうした環境下、当社は「根本治療」を掲げながら地域と関わることで、健康寿命延伸に寄与していきたいと考えています。

また、ドラッグエースは、店舗を狭山・川越・ふじみ野・朝霞などにドミナント展開しています。かつて商圏は広かったころは、今の大手ドラッグストア企業のように大型店を出店し、集客と売り上げがついてきましたが、現在は時代が変わり1km、立地によっては500mごとにドラッグストアが存在しています。

大手ドラッグストア企業の戦略は、かつての当社の考え方とあまり変わっておらず、品揃えを広げ、食品を増やして集客するという方針を取っていますが、私は「大手ドラッグストアは生活のための店舗で、なるべく安く買って、家族みんなのための買い物をする場所。しかし、当社はそうではなく“私へのごほうび”を買いに来る場所であり、楽しい気持ちで買い物ができる場所として選ばれたい」と社員によく話しており、大手と競合するのではなく、差別化をしていくことでの勝ち残りを目指しています。


ドラッグエース中福岡店


男性更年期障害のフォローは避けられない社会課題


――摩耶堂製薬は日本で唯一の男性ホルモン製剤「金蛇精」を製造販売しています。ドラッグストア市場におけるメンズヘルスケア推進の重要性についてお聞かせください。


摩耶堂製薬・綾井博之社長

綾井社長 昨年厚生労働省が発表した「更年期症状・障害に関する意識調査」の基本集計結果を見ると、「女性ホルモンや男性ホルモンの変化が健康に影響を与えること」については、40歳代以降の女性では、年代が上がるほど「よく知っている」の割合が高く、男性では、どの年代においても「よく知っている」の割合は1割程度という数字で、まだまだ認知が進んでいないことがわかります。「男性ホルモン」という単語を聞いたことはあるけれども、「体にどんな影響を与えるのか」「不足するとどうなるのか」ということまで知っている方はまだまだ少ない現状が、この数字に表出しているのでしょう。

女性の更年期障害のOTC市場は50億円から70億円と言われており、男性更年期障害にも同等の市場規模が期待できます。この潜在的な需要を掘り起こすには、お客さまに気づきを与えることが重要となります。それを実現できるのは、ドラッグエースのような地域に密着し、信頼を得ているドラッグストアではないでしょうか。人口減少社会や労働人口減少が進み、社会から生涯現役が求められる社会の到来。男性更年期障害へのフォローは避けては通れない社会課題となります。

また、「日本人男性の6人に1人が男性更年期障害の懸念」という数字も出てきています。しかしながら、男性更年期で医療機関を利用している患者は1.5%、60人に1人いるかいないかという状況です。残りの方々は、原因を理解しないままで身体的・精神的な不調を感じながら生活を…。誰に相談したらいいのかわからずに困ったまま…。という状況にあります。こうした方々をフォローし、気づきを与えていくことがドラッグストアの大きな役割だと考えています。

興味深いのが「医療機関への受診により、更年期障害と診断されたことがある/診断されている」という20代男性も、50代・60代と同じくらいの割合で存在していることです。この20代男性に注目してみると、更年期症状による1か月当たりの診療費・医薬品費は約10%が1万円以上、約51%が5千円〜1万円未満と他の性年齢と比較しても多く、積極的に治療に取り組んでいることがわかります。これまで男性ホルモンの減少は40代から顕著になると言われてきましたが、より幅広い年齢層に向けての男性更年期障害のサポートが必要になってくると考えられます。


メンズヘルスケアへの関心のきっかけが「金蛇精」


――こうした社会では、労働する方々の健康寿命をいかに延伸していくかがドラッグストアの重要な役割になると思います。特に労働力の7割程度を占める男性のフォローが大切になってきます。遠藤社長はストアブランドの「アミノリバース」(ゼリータイプのサプリメント)を開発・販売するなどでメンズヘルスケア推進にも積極的に取り組んでいますが、そのきっかけをお聞かせください。


金蛇精

遠藤社長 「金蛇精」を服用したことがきっかけです。当時60代に差し掛かるころで、体が疲れやすく、それがメンタルにも影響を与えてしまい悩んでいたところでした。もちろん男性ホルモンの存在は知っていましたが、自身に関係するものだとは思っていませんでした。そんなタイミングで、同品を製造・販売する摩耶堂製薬の営業担当者さんから「試してみてください」と「金蛇精」を提供いただき、服用し、その効果に大変驚きました。

私自身も「金蛇精」を服用するまでは、「男性ホルモンが低下している」ということに気づいていませんでした。おそらく、自分と同じような年齢で、同じような悩みをお持ちになっているお客さまはある程度存在しており、そうした方々に男性ホルモンの存在を知ってもらい、「根本治療」に役立ててもらいたいと考えたのが、メンズヘルスケアに関心を持った第一歩でした。

――ドラッグエースのような地域密着・カウンセリング型の店舗と、「金蛇精」を含む摩耶堂薬は親和性が高いと考えられます。

綾井社長 親和性は非常に高いと考えています。「金蛇精」は決して安価な医薬品ではありませんし、ましてや有名な商品ではありませんので、セルフ販売には向いていないと言えますが、一方でお客さまの環境・状態をよく知るスタッフさんによるカウンセリング販売の強い武器にもなり得ます。普段から信頼している店舗・スタッフさんに推奨していただくことが「金蛇精」の普及に不可欠な要素だと思いますし、地域密着のお店でこそ、ご販売いただきたい商品が「金蛇精」です。

ある調査で「男性は女性よりも、自身が更年期障害であると認めたくない人が多い」という傾向が明らかになっていますし、女性は更年期障害について、女性同士で相談や情報共有をすることがありますが、男性は誰にも相談せずに抱え込んでいるケースが大半です。そんなときに、普段の買い場として活用しているドラッグストアが“ヘルスケアステーション”として、薬剤師や医薬品登録販売者などのスタッフさんからの推奨や、売り場を通じた啓発などがあれば、男性更年期障害の理解も進んでいくだろうと思っています。


「金蛇精」と「アミノリバース」が生むシナジー


――ドラッグエースでは、メンズヘルスケアを切り口としたアルギニン配合のサプリメント「アミノリバース」をストアブランドとして取り扱っていると聞いています。


アミノリバース

遠藤社長 今でも「金蛇精」は時々服用していますが、男性ホルモンについて詳しく調べていくと、体内で生成できる成分であることがわかり、「生成しやすい体づくりが重要だ」と考えるようになりました。筋トレや運動、タンパク質の摂取などにプラスして、アルギニンやシトルリンを摂取していくことが男性ホルモンの生成につながります。

男性ホルモンの生成・摂取は、筋肉を作る、精力・視力・記憶力の向上など、体に良い影響を与える一方で、不足すると、男性更年期障害を発症し、イライラや集中力の低下、だるさ、メンタルの不安定などを引き起こしてしまいます。しかも年齢と共に男性ホルモンは生成されにくくなりますから、ケアをしていくことが不可欠でもあります。

こうした方々をターゲットにしたサプリメントが「アミノリバース」です。L-アルギニン2000mg、L-シトルリン400mg、L-オルニチン塩酸塩400mgを配合しており、普段は「アミノリバース」で男性ホルモンが生成されやすい体づくりを目指し、疲れやメンタルに不安が出てきた際や、ここ一番のときには医薬品の「金蛇精」を活用する。こうした使い分けが可能だと思いますし、両品にとって、良い影響が発生すると考えています。

「アミノリバース」はドリンク剤や滋養強壮剤を日常的に服用している方に訴求していきます。「お客さまに不足しているのは、ビタミンや強壮薬ではなく、男性ホルモンかもしれません」と啓発をしていきたいです。

綾井社長 欧米では男性ホルモンが不足すれば、医薬品で補充ということを当たり前のように行なっていますが、日本人は少し違って「男性ホルモンをつくれる体を取り戻したい」という気持ちがあると思います。普段はサプリメントや運動で男性ホルモンをコントロールし、何かのタイミングで不足したときに、「金蛇精」で補っていただく。日本では、医薬品とサプリメントを両輪とした推進の仕方の方が、受け入れられやすいのではないかと感じています。

「金蛇精」も「アミノリバース」も、「日本の男性の元気を取り戻す!」という同じベクトルを向いていますし、競合ではなく、共存していくことで日本のメンズヘルスケア推進に寄与できればと考えています。

遠藤社長 女性ホルモン・女性の更年期障害と比較して、男性ホルモン・男性の更年期障害はまだまだ認知されていません。店頭・商品を通じて、お客さまからご理解いただけるよう当社も取り組んでいきたいと思います。


――本日はありがとうございました。今後のメンズヘルスケア推進に大きく期待しています。


2023年7月21日、エフケイ本部・社長室にて