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第3ストーリー<千葉薬品創業者・齋藤茂昭さん>

物販中心からカウンセリングサービス提供店へ
脱皮しなければならない


齋藤茂昭さん

ドラッグストアをこよなく愛した千葉薬品創業者の齋藤茂昭さんとの思い出は、たくさんある。まだ見ぬ地のアメリカ流通業、特にドラッグストア業界の話を始めると止まらなかった。成田空港で帰国を待ち齋藤さんに突撃インタビューを再三させていただいた時も、食事の時も、ご自分で運転のベンツに乗り、ご一緒した千葉薬品の新しい業態店を視察した際にもドラッグストアのことばかり。

齋藤さんは、北海道の富良野で育った。毎日、野山を駆け巡って過ごした斎藤さんは、単身、青函連絡船に乗り薬剤師を目指し上京。明治薬学専門学校(現明治薬科大学)を卒後、薬剤師試験に合格し国立療養所東京病院に勤務。そして31歳の時に夫人の陽子さんと二人で千葉市内に4坪の薬局を開店した。

地域住民の健康づくりをサポートするなど、やがて薬局から新しい業態のドラッグストア運営にチャレンジする傍ら、再三のアメリカ流通業視察でドラッグストア経営を学び、新しい店づくりに進めていった。

齋藤さんが進めたドラッグストア作りは、単なるドラッグストアではなく、異業種とのコラボレーションに目を向けてのものであり、その一つに、AJDとの共同運営によるモデル店舗のスーパーマーケット&ドラッグストアのコンビネーションストアがある。商品開発、陳列、販売促進活動、スタッフ教育等々、その運営ノウハウは、すべてAJDの会員企業に提供された。

スーパーマーケット運営に力を注いだ理由は、「人間の日常生活に欠かせない食料品をも供給できるという新しい機能を持った店舗が必要になる」からであり、生鮮産品に関わり鮮度管理、照度管理、温度管理などに全力を注いできた齋藤さんは、スーパーマーケット+ドラッグストアのYACS(Young&Clean)の運営も始め、24時間営業店舗もオープンさせた。近年、食品の取り扱いが目立ってきたドラッグストアの今日を見れば、齋藤さんの先見性には驚かされるばかりだ。

齋藤さんの業態開発は、アウトドア専門店(フィッシング、カヌー、スキー等々)、介護用品店を付加させたドラッグストア、調剤室併設型店舗、無菌調剤室を導入し高カロリー輸液の調整業務対応店舗、ドライブスルー調剤、さらに高齢者施設の運営、デイサービス(日帰り)といった業態開発にも及んだ。

「物販が先行したドラッグトア経営は、やがて行きづまるだろう。物販に接客技術を持ったスタッフがいて、常に悩みを抱えて来店する生活者にアドバイスをしなければならない時代が必ず到来する。早急に物販中心の経営形態からウンセリングービスを提供する店へと脱皮しなければならない」と、お会いするたびに話されていた。