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第2ストーリー<サンキュードラッグ創業者・平野清治さん>

感謝される店であり続けるために粘り強く
困難に立ち向かう気持ちを忘れてはならない


平野清治さん

「異業種の小売店参入が相次ぎ競合店が増加している。これからは互いが協働して協業グループを立ち上げなければ、われわれの経営は成り立っていかない。大同団結して困難な時期を乗り越えよう。参加した会員企業は、もはや競争相手ではない。自らが体質改善をして近代的な小売業として発展させていこう」

ものすごい乱売の大嵐が吹き荒れていた医薬品小売業界の将来を見据えて、「これでは共倒れになる」として猛烈な戦いを繰り広げていた大型店経営者に呼びかけたのが、サンキュードラッグ創業者の平野清治さんだった。

やがて九州の大型店経営者が賛同して、マルゼン創業者の石橋幸路さんの誘いもあって協業グループの旗揚げに参加。ドラッグストアの基盤作りに駆け回った平野さんは、実はドラッグストアの今日の隆盛に大きく関わっていることがある。

ある日、AJD二代目本部長に就任していた平野清治さんから記者セミナーの案内が届いた。「通産省(現経産省)が進める POS(販売時点情報管理)の導入には、商品にバーコード(JAN コード) が貼付されていなければならない。そのためには、メーカーの方々に全面的にご協力をお願いしたい」と話した平野さん。この日の講師は、当時、流通システム開発センターに所属していた佐藤聖さん(現公益財団法人日本ヘルスケア協会常務理事)。バーコードの仕組みやPOSシステムについて詳細な説明を受けた。

平野さんは「AJDが率先してPOSシステム導入に取り組む」と宣言し、薬業界に採用を呼び掛け、以来、医薬品小売業界が取り扱うすべての商品に企業がバーコードをソースマーキングして、POSシステムが稼働したことは言うまでもない。POS導入は、ドラッグストア業界にとっては、まさに大きなエポックであった。

これまで、いろいろなことに遭遇し、人間としていかにあるべきか、困苦に打ち勝つためには?など、平野さんは、「今後、さらに競合の荒波が押し寄せることは間違いない。だからこそドラッグストアは、地域住民から愛され、信頼され続けるために努力しなければならない。われわれは来店客に感謝し、そして感謝される店であり続けるために、粘り強く困難に立ち向かう気持ちを忘れてはならないことを次世代経営者たちに託したい」と話していた。

ドラッグストアが医薬分業に対応するケースが少ない中、平野さんは、医師が発行する処方箋料10点(100円)が5倍(500円)になった1974年9月に実施された医療費改定に対応。いち早く処方箋の応需体制を整え、調剤センターや調剤専門薬局、調剤併設型ドラッグストアを運営するなど、新しい業態づくりに取り組んだ。平野さん思い入れは、サンキュードラッグ二代目社長の平野健二さんに受け継がれている。