総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、医療用医薬品市場について、今後の医薬品開発や患者数の動向、法規制の変化などを考慮しつつ、2032年までの動向を予測した。その結果を「医療用医薬品の国内総市場フォーキャスト2022-2032」にまとめた。この調査では、国内の医療用医薬品市場を19疾患に区分し、ジェネリック医薬品やバイオシミラーへの切り替わり状況も併せて、将来を展望した。
<調査結果の概要>
■医療用医薬品の国内市場
・新規アルツハイマー型認知症治療剤は話題性が高く、2020年代前半は医療用医薬品市場の成長ドライバーに
・2020年代後半はバイオシミラーの影響が強まり、新規ブロックバスター※が登場しなければ2027年以降縮小へ
※従来の治療体系を覆す薬効を持ち、他を圧倒したり、全く新しい市場を開拓したりする新薬
新型コロナ患者の受診控えなどの影響を受けた市場は2022年から回復基調にあり、特に、2023年以降オンコオロジー治療剤や自己免疫疾患治療剤を中心に伸びると予想される。また、注目される新規アルツハイマー型認知症治療剤のあるCNS(中枢神経系)領域においても伸びが期待される。
しかし、2027年以降は現在市場をけん引している抗体医薬品や免疫チェックポイント阻害剤のバイオシミラーが市場投入されはじめ、マイナス成長に転じると予想される。従って、2032年の市場は8兆6,958億円、2022年を起点とした年平均伸長率は0.8%にとどまると予測される。
<注目市場>
■ジェネリック医薬品(バイオシミラー、その他ジェネリック医薬品)の市場占有率
・医療用医薬品市場における占有率は、2032年にバイオシミラーが2.6%、バイオシミラーを含むジェネリック医薬品は約20%へ
2022年はバイオシミラーが医療用医薬品市場の1.2%、バイオシミラーを含むジェネリック医薬品が約15%を占めた。
政府による医療費削減の動きは今後も続き、ジェネリック医薬品、特にバイオシミラーに強い影響を与えるとみられる。2032年の医療用医薬品市場における占有率は、バイオシミラーが2.6%、バイオシミラーを含むジェネリック医薬品が約20%と、2022年時点より高まると予測される。なお、その他生活習慣病・循環器疾患治療剤市場ではジェネリック医薬品の影響が特に強く、約50%をジェネリック医薬品が占めると予測され、疾患区分によって占有率は大きく異なってくると予測される。
<調査期間>
2023年8月~9月