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オートミール市場、2022年も好調に推移【デザート、米飯類、めん類の国内市場】

マーケット調査会社の富士経済が、加工食品(27カテゴリー403品目)のうち、他の機能系商品との競合などがみられるチルドデザート、マルチパックアイスが好調なフローズンデザート、健康意識の高まりで需要が増加しているドライデザート、高騰する小麦に価格優位性を持つ米飯類、本格志向商品のニーズが高いめん類、オートミールや栄養バランス食(ソリッド)が好調なその他ステープルの計6カテゴリー66品目の調査を「2023年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめた。



高タンパク質のギリシャヨーグルトは、2020年に新型コロナウイルス感染症流行の影響で健康意識が高まり、免疫力を高めるプロテインの摂取需要が増加したことで市場が拡大している。2022年も同様の要因から伸びており、特に主要ブランドが好調である。加えて、メーカーによる新しいフレーバーの投入、高タンパク質商品としての店頭露出の増加で、市場は二桁増が予想される。

日常からスポーツまで幅広いシーンでタンパク質摂取の需要が高まっていることに加え、今後も参入メーカーはラインアップ強化を図るとみられるため、2023年も市場拡大が続くと予想される。



オーツ麦でできた商品を対象とする。砂糖や塩入り、味付けタイプのほか、トマトやオニオン、ドライフルーツ、ナッツなどを加えた商品も含む。

新型コロナの影響で健康意識が高まり、豊富な食物繊維と低糖質、栄養バランスの良さを併せ持つことから注目が集まった。また、TV番組やSNSでの露出が相次いだことで、ユーザーが中高年から若年層に広がり、2020年以降市場は大きく拡大している。

2022年は店頭露出の増加に加え、健康意識の高まりから米の代替として選択されることが増えている。グラノーラなどを製造するメーカーの参入もあり、市場は前年比60.4%増が見込まれる。

今後も、豊富な食物繊維などと栄養バランスの良さを訴求することで、米や他のシリアルフーズの代替として需要を獲得すると予想される。また、食べ方が分からないという課題を解決するため、参入メーカーがレシピ提案を強化しており、主力ユーザーの50代以上に加え若年層の需要を獲得することで、2023年の市場は拡大が予想される。



2020年4月に発出された緊急事態宣言の際は、備蓄用として新規購入するケースがみられた。その新規ユーザーがリピートユーザーとなったことや、外出自粛による内食需要の高まりで市場は拡大している。

2022年も簡便性の観点などからユーザーの定着が続いており、10食パックなど入数の多い商品や、トライアル層を取り込む単品商品も好調であることから、市場拡大が予想される。

調理の簡便性や味への評価が認知されることで、ユーザーは増加するとみられ、急増する需要を背景に上位メーカーでは生産体制を強化している。小麦を使用しためん類やパンと比較して値上げ幅が小さいことから主食としての価格優位性もあり、2023年の市場は前年比4.3%増が予測される。




2022年は、市販用は高品質な商品やご当地・専門店監修商品が個食需要を獲得して好調を維持している。また、大手冷凍食品メーカーが新規参入し、今後に向けての好材料となるとみられる。業務用は外食や給食を中心に、新型コロナの影響による落ち込みから回復に向かっている。

1食完結型で個食に向いており、今後も市販用は新商品発売や商品リニューアルを通じて個食需要を取り込むとみられる。業務用は外食に加え中食やテイクアウトへ販路を広げていることから、2023年の市場は拡大が予想される。





チルドデザートは、タンパク質摂取需要を背景にギリシャヨーグルトが伸びているものの、手作り風デザートは値上げの影響で、プレーンヨーグルトやハードヨーグルトはチルド売り場におけるドリンクを含めた他の機能系商品との競合によって、それぞれ縮小するとみられ、2022年の市場は微減が予想される。

定番商品のコモディティ化やコスト増による商品ラインアップの集約がみられ、2023年も市場は微減が予想される。

フローズンデザートは、市場の9割弱を占めるアイスクリーム類のうち、マルチパックアイスクリームが上位ブランドの根強いリピート需要を獲得しているほか、GWやお盆に観光地の客足が大幅に増えたことでソフトクリーム・シェイクミックスが回復に向かっているため、2022年の市場は拡大するとみられる。

2023年は、業務用のソフトクリーム・シェイクミックスにおいて高付加価値商品の発売が予想されるほか、冷凍ケーキの参入メーカーが市販用のラインアップを強化することや、アイスクリーム類で健康を訴求した商品が発売され新規ユーザーを獲得することが期待され、市場は前年比2.5%増が予測される。

ドライデザートは、こんにゃくゼリーを含む一口タイプゼリーが健康意識の高まりによる需要の取り込みや、こんにゃくゼリーの主要メーカーによる積極的なフレーバー投入と広告展開によって伸長している。しかし、規模の大きいドライゼリーが他のデザート全般と競合して低迷していることなどから、2022年の市場は微増にとどまるとみられる。

2023年はドライゼリーの低迷が続くほか、コロナ禍で手作り需要を獲得したデザートベース(レトルト)は縮小するとみられる。こんにゃくゼリーを含む一口タイプゼリーは伸びるものの、その伸びは前年に比べると落ち着くことから、市場は前年の規模にとどまると予想される。

米飯類は、めん類やパンなど小麦製品の値上げにより価格優位性が高まり、多くの品目が好調である。また、無菌包装米飯・レトルトライスや包装餅が、新型コロナ以降の新規ユーザーのリピート購入を受け伸長しているため、2022年の市場は拡大するとみられる。

2023年は、無菌包装米飯・レトルトライスは引き続き伸長するほか、冷凍米飯類(バラタイプ)は大手メーカーの注力度が高いこともあり伸びが続くことから、市場は前年比0.9%増が予測される。なお、包装材料費や物流コスト上昇の影響でメーカー特売の機会が減少し、包装餅は縮小するとみられる。

めん類は、カップめんやチルドラーメン、冷凍中華めんが、本格志向の付加価値商品によって伸長していることなどから、2022年の市場は拡大するとみられる。

ご当地・専門店監修による本格志向商品が引き続き伸長するほか、業務用が客数回復によって伸びることから、2023年の市場は前年比1.2%増の1兆2,477億円が予測される。

その他ステープルは、市場の75%以上を占めるパンで、輸入小麦の政府売渡価格の上昇に伴う値上げにより、菓子パンの需要減退や食パンの廉価品への需要集中が起きている。しかし、単価が上昇しているため2022年は市場拡大するとみられる。また、健康意識の高まりを背景にオートミールや栄養バランス食(ソリッドタイプ)が伸びている。

2023年も、パンは引き続き値上げの影響によって伸びるほか、オートミールは米代替需要の獲得やユーザー層の広がりで伸長し、市場拡大するとみられる。



<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

<調査期間>
2022年9月~11月