2024年4月14日(日)晴れのち曇り
「オレンジデー」:二人の愛情を確かなものとするために、オレンジ、またはオレンジ色のものを贈り合う記念日。
大都市東京はまさに「高齢者の街」である。マスメデイアを飾る華々しい都市の様相の陰で、その栄華を満喫したであろう高齢者たちが「ひっそりと」息づいている。
夜の打ち合わせ会議中、ご家族からの緊急電話に対応する。
曰く「一人暮らしの家族と昨日と今日にかけてまったく連絡が取れない。心配なので様子を見てほしい…」との要請である。電話先の親族は高齢で動けないとのこと。翌日朝いちばんに駆け付ける約束をして電話を切る。が、やはり心配で落ち着かない。夜明けを待って朝一番に訪問した。
一人暮らしのその方は予想通り「ベッドの隙間」に倒れていた。トイレに立とうとしたのか、何か他の用事があったのか、発見時には「もしや…」と冷や汗をかいた。意を決して近づき、足元を触ると暖かい体温を感じる。声をかけると眠っているのか弱々しい声で「昨日からこの格好で倒れていた」と返答してくれた。
少しほっとして一通りのバイタルサインを確認し、いつも利用している訪問看護の事務所に応援を依頼する。二人がかりでその隙間から助け起こそうとするが、あまりにも部屋が乱雑でそれも難しい。緊急性の判断ができないまま119へ連絡し、その後地域の病院へ搬送となった。
部屋には最近亡くなられたパートナーの絵が飾ってあり、乱雑な生活用品がゴミ屋敷同然となっている。かつてはここにも幸せな家庭があり生活があったであろうことが見て取れる。
どのような経緯でこうなったのかは知れないが、年を取ることの残酷さを垣間見るできごとであった。
地域包括ケアシステムが誕生して20年になる。その結果がこうした風景を生み出したとすると、私たちはどこに向かって未来を作っていけばいいのだろうか…
(次号に続く)