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フェムケアも5.6%増で318億円
消費者の対策意識向上、更年期関連商品が増加


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、サプリメント(機能志向食品)と健康志向の明らか食品・ドリンク類(健康志向食品)を対象としたH・Bフーズ総市場を総括分析した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2023 総括編」にまとめた。この調査では、訴求効能別に分析したほか、コンセプト別や注目成分別、形状別、チャネル別の市場動向についても分析した。さらにH・Bフーズ市場を2050年まで長期予測した。コンセプト別市場編ではフェムケア、メンズケアなど、注目成分別ではNMNなど新たな領域についても考察した。



2022年は新型コロナウイルス感染症流行に関連した特需が落ち着く一方で、新たな健康への悩みへの注目度が高まったことで、市場は前年比3.7%増の2兆6,677億円が見込まれる。

サプリメント(機能志向食品)市場はコロナ太り対策商品やスポーツサポート商品などが大きく伸びてコロナ禍でも拡大してきた。2022年はこれらの伸びは落ち着くが、脂肪対策商品や筋肉サポート商品など定番カテゴリーの好調に加え、ストレス緩和・睡眠サポート商品の伸長で市場拡大が続くとみられる。

健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)市場は外出自粛の影響を大きく受けて2020年は縮小したが、2021年は脂肪対策商品の堅調な需要に加え、新商品の実績が上乗せされたことにより回復した。2022年は外出自粛の緩和や猛暑を追い風にドリンク類が回復に向かったほか、「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)のヒットや大型脂肪対策飲料ブランドの発売により前年比4.7%増が見込まれる。

2023年の市場は、脂肪対策商品やストレス緩和・睡眠サポート商品の需要が引き続き旺盛であることから拡大が続き、前年比1.7%増の2兆7121億円が予測される。

H・Bフーズ市場は長期的には3兆円規模の市場になると予測される。国内食品市場において長期的な高齢化、人口減少は課題であるが、H・Bフーズはサプリメントを中心に50代以上が主なユーザーとなる品目が多く、若年層でも健康需要の高まりで利用者が増えており、健康意識の高まりと活発な商品投入によって市場は今後も拡大する可能性が高いと予想される。2040年頃までは中高齢者人口が増加し、参入各社による積極的な商品開発、新商品投入が続くことで市場は活性化するとみられる。



更年期や妊娠前から授乳期の女性向けに訴求している商品を対象とする。サプリメントが市場のほとんどを占め、大豆イソフラボンが代表的な関与成分となっている。なお葉酸摂取訴求商品については、プレママ・マタニティ訴求をしていない栄養機能食品や、美容効果のみを訴求した商品は対象外である。

2020年の市場は新型コロナ流行の影響でインバウンド需要が消失したため伸び率は鈍化したが、2021年はフェムケアの認知や対策意識向上により再び大きく拡大した。

プレママ・マタニティ向け商品は出生率の低下がマイナス要因の一つとなっているものの、更年期対策商品は対象人口の増加とともに伸長していくとみられる。また、膣内環境に関する機能性表示食品など、新たな需要開拓が期待できる商品も登場しており、今後も市場は拡大するとみられる。



特定保健用食品と機能性表示食品のノンアルコールビール・ドリンクを対象とする。オフ・ゼロ訴求などライトな健康訴求のノンアルコールビール・ドリンクは対象外である。脂肪に関するヘルスクレームを持つ商品が主力であり、ローズヒップ由来ティリロサイドや難消化性デキストリンを関与成分とする商品の規模が大きい。

2010年代中ごろに商品投入が増加して市場が本格化し、拡大が続いていたが、オフ・ゼロ訴求商品との競合や参入企業の注力度低下により一時縮小に転じた。2019年にサントリービールが“内臓脂肪を減らす”と表示した機能性表示食品を発売したことで市場は再び拡大した。

コロナ禍で“内臓脂肪を減らす”などの訴求が消費者の健康志向の高まりと合致し需要を獲得したが、2022年は外出機会の増加などで伸びは鈍化するとみられる。

2023年はこれまでノンアルコールビール・ドリンクでは存在しなかった、記憶力や免疫機能に関するヘルスクレームの商品が登場しており、今後も幅広い訴求で商品展開が進むと期待される。



NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を主成分とする商品を対象とする。抗酸化・抗加齢が訴求効能であり、2023年3月時点では対象商品はサプリメントのみである。

2020年に厚生労働省が食薬区分を見直し、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」にNMNが収載されたことで新規参入が増加し市場が本格化した。原料価格が高いことから最終商品も高価格となっており、継続購入できるユーザーが限られるという課題があったが、2021年ごろから原料価格の低下に伴って値下げする企業が現れ、ユーザーのすそ野が広がり、市場は拡大している。

2023年にはTV番組で取り上げられる機会も増加しており、消費者認知が進むことで市場拡大が続くと予想される。