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2030年、医療用医薬品市場は9.4兆円と予測【富士経済】

マーケット調査会社の富士経済が、2020年8月から2022年4月までに行った医療用医薬品の市場調査結果を総括分析するとともに、今後の医薬品開発や患者数の動向、法規制の変化などを考慮しつつ、2030年まで市場を予測した。この調査では、国内の医療用医薬品市場を17の疾患で区分し、ジェネリック医薬品やバイオシミラーへの切り替わり状況も併せて、将来を展望した。

富士経済グループ公式サイト:https://www.fuji-keizai.co.jp

2020年の市場は新型コロナウイルス感染症流行の影響による患者の受診控え、コロナ対応優先による不急医療の延期や通常医療の提供機会減少、マスクなどの予防策による感染症全般への罹患の減少などから、前年比2.3%減の8兆5,497億円となった。

2021年は受診を控えていた患者や通常医療の提供機会などが戻りはじめ、市場は回復に向かった。また、新型コロナワクチン製剤・治療剤の政府への販売額が加わり、市場は前年比5.4%増の9兆111億円となった。
2022年はさらに新型コロナの影響が和らぎ、また、新型コロナワクチン製剤・治療剤の販売額が増加するが、市場は前年に急拡大したこともあり、前年比0.8%増にとどまると見込まれる。なお、新型コロナワクチン製剤・治療剤の販売額は2023年以降、大幅に減少する。

今後の市場は、薬価改定や保険制度改革などの影響を受けつつも、抗がん剤や免疫疾患治療剤で治療効果の高い高薬価な製品が相次いで発売され、適応拡大も進むとみられ、また、アルツハイマー型認知症治療剤でも高薬価な製品の発売が予定されていることから、微増推移が予想される。

2021年2位であったオンコロジー領域 固形がん治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大を主因に市場拡大し、2030年には疾患区分別の最大規模となる。また、3位であったCNC(中枢神経系)領域疾患治療剤はアルツハイマー型認知症に対して抗βアミロイド抗体といった抗体医薬品が相次いで発売されて市場拡大していき2位となる。一方で、2019年に1位であった生活習慣病治療剤はジェネリック医薬品への移行や薬価改定の影響から年々市場縮小し、3位となる。


免疫疾患治療剤、整形外科領域疾患治療剤、皮膚科領域疾患治療剤といった生物学的製剤やJAK阻害剤との関連性の高い市場は拡大し、順位が上昇すると予想される。

最もCAGRが高いとみられるのは、皮膚科領域疾患治療剤である。アトピー性皮膚炎や脱毛症といったアンメットニーズの高い疾患に対して、生物学的製剤や経口剤、外用剤で新薬が登場し、市場を押し上げるとみられる。免疫疾患治療剤は生物学的製剤やJAK阻害剤がけん引し市場拡大が進む。アンメットニーズの高い疾患が多く分子標的治療剤を中心に開発が急がれているオンコロジー領域 血液がん治療剤についても今後市場拡大する。
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>
2022年4月~5月