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クローズアップ企業「太陽化学」②
テーマ:素材の太陽化学
「腸内環境」「睡眠」「フェムケア」から「疲労感低下」まで
エビデンス重視の”独自”ヘルスケア素材を展開する太陽化学



本稿で連載は2回目となるが、1回目は「太陽化学は、なんの会社?」というテーマでお届けした。リードの下部に同記事のリンクを掲載しているので、そちらも合わせてお読みいただきたく思う。今回は、「素材の太陽化学」として同社が有するヘルスケア素材にクローズアップしてみよう。同社は、世界シェアNo.1のグァー豆食物繊維や国内シェアNo.1のL-テアニンを中心に緑茶抽出物、アムラ、モリンガなどエビデンスに裏打ちされたヘルスケア素材やFe(鉄)に代表される栄養機能素材を多角的に有しており、原料供給やOEM、最終製品と幅広く展開している。近年ヘルスケア意識の向上からサプリメント市場が好調に推移しているが、同社のヘルスケア素材は腸活・血糖・脂肪燃焼・ストレス・睡眠・リラックス・フェムケア・妊活など、市場で注目されるキーワードに対応している。現在、自社オリジナル製品を開発するドラッグストアや薬局は数多い。太陽化学は、原料供給や最終製品だけではなく、「企画から納品までワンストップ」「原料メーカーの高品質素材を使用」「機能性表示食品の届出もサポート」を強みにオリジナルサプリの開発にも取り組んでいく。取材を通して、ドラッグストアや関連メーカーと同社のコラボレーションは、ビジネスの可能性を広げると感じた。(記事=佐藤健太)

連載1回目の記事→ https://hoitto-hc.com/8800/


高まる腸活・血糖へのニーズ
グァー豆食物繊維は両者に対応できる


インドでは「体に良いもの」と知られるグァー豆

太陽化学のヘルスケア素材で最初に紹介すべきなのが「グァー豆食物繊維」だろう。同社は世界40ヵ国以上にグァー豆食物繊維を供給する企業であり、豊富なエビデンスから日本における機能性表示食品制度はもちろんのこと、国外ではFDAのGRAS認証やコーシャ認証、ハラール認証なども取得している。インドにおいてグァー豆は「体に良いもの」と知られており、昔からカレーに混ぜて食されてきた食品素材でもある。

国内の一部のドラッグストアでは最終製品として加工して販売されている素材でもある。前回も多少紹介したが、グァー豆食物繊維とはインドやパキスタンなどの乾燥した地域で栽培されているグァー豆から採れるグァーガムを、酵素分解で低粘度化した水溶性食物繊維だ。

水溶性食物繊維は、腸内細菌の栄養源として発酵・分解され、短鎖脂肪酸を作り出すことで腸内環境を整えるプレバイオティクスとして知られる。その中でもグァー豆食物繊維は、他の水溶性食物繊維よりも短鎖脂肪酸の酪酸を多く作るため、その優位性は非常に高いことをここで強調しておきたい。

グァー豆食物繊維

太陽化学は子会社・タイヨーラボを通じて、グァー豆食物繊維(機能性関与成分:グァーガム分解物)を「腸まで届き善玉菌(ビフィズス菌)を増やして腸内環境を良好にする」「糖の吸収をおだやかにし、食後血糖のピーク値を抑える」などで機能性表示食品の届出をしており、ヘルスクレームを明確化したオリジナル製品開発の提案にも取り組んでいくという。

ここで市場に目を向けてみよう。富士経済の調査によると、食物繊維や乳酸菌を中心とした腸活関連の原料成分6品目の市場は非常に好調で2023年は前年を超えた480億円(103.4%)、プレバイオティクスの最終製品の市場も同様に4,616億円(102.7%)と活況だ。また機能性表示食品の市場全体を見ても、6,000億円弱と飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大しているが、約半数が生活習慣病を予防するヘルスクレームであるといわれており、当然その中に血糖訴求も含まれている。




コロナ禍を経て、消費者のヘルスケア意識が高まり、それに呼応するかのように拡大し続ける腸活・血糖訴求のサプリメント市場。グァー豆食物繊維は、両者に対応できる稀有なヘルスケア素材であり、健康産業界、とりわけ消費者に身近なポジションにいるドラッグストア関係者は注目すべき素材であるといえる。

これに加えて太陽化学は、緑茶抽出物である茶カテキンとエピガロカテキンガレート(EGCg)を機能性関与成分とした機能性表示食品も届出しており、「内臓脂肪の低下」や「脂肪を消費しやすくする」などのヘルスクレームを表示できる。こちらも生活習慣病予防に向けたものであり、新たな市場創出に向けてグァー豆食物繊維と同時に注目したい素材群であろう。


睡眠・ストレスのサプリ市場を
黒子として支えてきた太陽化学のL-テアニン


太陽化学がグァー豆食物繊維とともに注力するヘルスケア素材がL-テアニンだ。L-テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸(旨み成分)であり、睡眠の質向上やストレス緩和をサポートする素材として知られている。

ドラッグストアの売り場に目を向けると、L-テアニン、GABA、グリシン、5-ALAなどの機能性表示食品が「睡眠・ストレス対策」として1つのコーナーを作るほど販売に注力しているカテゴリーであり、一般用医薬品の睡眠改善薬の市場規模を優に超える規模まで成長させた。これは市場動向を見ても素直に表出されている。



一般的なサプリメントは、新型コロナウイルスが流行していたタイミングで市場が活況化し、それが一巡した2022年には反動減が発生、その後は市場がシュリンクする傾向にあったものの、ストレス緩和・睡眠サポート市場に関しては、反動減どころか2022年には164億円と2021年比で124.2%にも拡大している(調査:富士経済)。

もちろんドラッグストアの販売力も大きいのだが、この市場拡大は「初回購入した消費者がストレス緩和・睡眠サポート製品を高く評価し、リピーターとして市場に残りながら、新規顧客を取り込めた」という、販売力と製品力のシナジーが発生し、市場をベストな状況に持っていけたことが要因と考えられる。

実は、この市場を黒子として支え続けてきた企業が太陽化学なのだ。同社は25年にわたって緑茶研究を継続し、酵素法による高純度のL-テアニンの大量製造に世界で初めて成功した。これによって国内No.1のL-テアニン供給メーカーへと成長を遂げ、拡大するストレス緩和・睡眠サポート市場に欠くことができない存在となった。

同社は、L-テアニンを機能性関与成分として機能性表示食品を届出しており、機能性表示食品として製品化する際には「起床時の疲労感や眠気を軽減」と「ストレスをやわらげる」といったヘルスクレームをパッケージに表記できる。これを引っ提げ、L-テアニンを原料供給と最終製品にとどまらせず、グァー豆食物繊維と同様にオリジナル製品の開発にも取り組んでいく方針だ。


常に新たな可能性を持つ素材を探求し
研究を重ねて新たな市場創出を目指す


アムラの果実

グァー豆食物繊維とL-テアニンの他にも、太陽化学は新たな可能性を持つ素材を探求し、研究に研究を重ねてエビデンスを確立し、新たな市場創造に向かう。

同社は独自のNDS(Nutrition Delivery System)技術を持つ。これは次回で詳細を記事化するが、簡単に説明すると「栄養素を胃に負担をかけずに腸まで届ける技術」であり、この技術を活かした代表的な製品として、鉄味を感じにくいFe(鉄)製剤があげられる。

さらにはインドに製造拠点を持つというつながりを大切に、アーユルヴェーダ素材の機能性や加工方法の研究を進め、インド原産のアムラ(果物)から得られるエラグ酸(機能性表示食品、ヘルスクレーム:手の表面温度回復)、モリンガから得られるモリンガ種子由来グルコモリンギン(機能性表示食品、ヘルスクレーム:疲労感・腰の負担低下)などを開発している。

いずれも妊活やフェムケア、アクティブシニアなど、今後成長すべき市場や社会課題に対応する製品たちであり、太陽化学が持つ「新たな市場を創造し、新たな価値を提供する」という技術・素材で支えるソリューション型企業としての姿勢の表れでもある。リードにも記したが、同社は「企画から納品までワンストップ」「原料メーカーの高品質素材を使用」「機能性表示食品の届出もサポート」を強みにオリジナルサプリの開発にも取り組んでいく。同社とのコラボレーションはドラッグストアや関連メーカーなどヘルスケア業界にとっても大きなメリットがあるだろう。(次回に続く)

モリンガ