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AJD・平野健二本部長兼社長インタビュー

「未来を我が手に 核心 確信 革新」
強く勝ち残るドラッグストアに向かって

業界再編の大きな波が押し寄せるドラッグストア業界だが、ボランタリーチェーン・オールジャパンドラッグ(AJD)への注目度が高まっている。AJD加盟ドラッグストア企業の多くがローカルチェーンであり、各地域では大手ドラッグストア企業との競合が熾烈化しているが、AJD本部長兼社長の平野健二氏(サンキュードラッグ代表取締役社長兼CEO)は、「ドラッグストア企業が勝ち残るための方策は、何も企業規模の拡大だけではありません。ローカルチェーンだからこその強みを活かし、地域のニーズや社会課題に合致した独自の進化を遂げることが非常に重要だと考えています」と話す。AJDへの注目度の高まりは、平野氏をフラッグシップとしてローカルチェーンの勝ち残りを目指し、スピーディかつ大胆に取り組むAJDの姿に心を打たれる業界関係者が続出しているからだ。(記事・写真=佐藤健太)

――AJDが描く勝ち残るドラッグストアの姿とは?

平野健二本部長兼社長(サンキュードラッグ代表取締役社長兼CEO)

先日開催した2022AJDチェーン全国大会のテーマは「未来を我が手に 核心 確信 革新」でした。現象の裏にある本質を把握する「核心」、AJDの仲間たちと議論を深めて間違いないベースを共有する「確信」、新たな時代に向けて自らを否定・生まれ変わる「革新」。これらで勝ち残りを目指すという意味を持っています。

開催地はサンキュードラッグが店舗展開をしている北九州市。北九州市は、5年連続人口減少No.1、高齢化においては政令指定都市の中でNo.1です。人口希薄化においても、空き家予備軍率も非常に高い状況にあり、特に門司区の38.2%は全国1位となっています。

近未来的なビジョンで見ると、北九州市の課題は日本各地で発生し、AJD加盟社が店舗展開している地域でも他人事ではなくなります。これらの問題をAJD全体で今のうちから共有し、いかに乗り越えていくか具体的な戦略を練っておく必要があります。
こうした社会の中では「①コモディティの市場縮小」「②競合激化」「③買い場の喪失」が発生します。①は潜在需要を発掘しながら市場創造に結びつけること。②は足元商圏を確保すること、これが結果的に高齢者の来店促進にもつながります。③は買物充足率を高め、繰り返しの来店を促進することで生活インフラと進化することを目指すこと。

これらが勝ち残りの糸口になります。さらに高齢化・人口減では税収が少なくなり、これが原因で行政サービスの低下も懸念されます。そうなると、予防・健康サービスが地域を支える柱となるため、私たちドラッグストアの存在意義は必然的に高まります。AJDは、これに対応するフォーマットを目指しています。

――リフィル処方箋やメールオーダーなど調剤における環境も大きく変化しています。

リフィルは今年4月からスタートしましたし、メールオーダーに関しても、当たり前のものになると考えています。AJDは「リフィルをお持ちになる患者さんにドラッグストアがどのように介入していくか」が重要であると位置付けて議論をしています。そうすると薬局がバイタルチェックや症状確認、処方提案などができる機能を強化していかなければなりません。

また、このような環境変化によって、薬局と薬局経営にも変化が出てきます。リフィルによって薬局の経営は門前から解放される形となりますが、そうなると患者さんの視点では、単なる立地ではなく、「なぜこの薬局を選ぶのか?」という理由がなくてはなりません。「Pharmacy with No Medicine(米国から学んだ『薬剤のない薬局』)」。つまり、「薬剤のみに頼らずとも、地域のお客さまから支持を得られる経営というのはどういったものなのか?」をテーマに、AJDのメンバーは日々の議論とアメリカ視察などを通じ、2030年以降に生き残れる店舗フォーマットの実現に向かって取り組んでいます。

また、昨今「薬局のDX」という言葉をよく耳にします。これはドクターからの処方箋を何かしらのオンラインツールを用いて飛ばすだけの取り組みになりがちですが、そこだけに目をつけるのは短絡的だと思っています。特にAJDはドラッグストアが母体になっている企業の集まりですので、OTCの購買履歴やPHRからドクターに誘導することも可能です。このような強みと新たなデジタル技術を融合させていくことが、今後より重要となるでしょう。

――これまで平野本部長兼社長は、ID-POSのデータを活用したドラッグストア運営を提唱しています。

平野健二本部長兼社長(サンキュードラッグ代表取締役社長兼CEO)

かつては「売り上げ=客数×客単価」という公式が一般的でしたが、現在では通用しなくなりつつあります。客数は「ユニーク客数×来店頻度」であり、客単価は「1回客単価×来店頻度」になっており、よく見てみると、客数も客単価も来店頻度の関数になっていることが分かります。ユニーク客数は、マクロで見ると人口減少、ミクロでも高齢化による行動範囲縮小や狭小商圏化の加速によって減っていきます。そう考えると、1店舗あたりのユニーク客数はどんどん減少していきます。ということは、「来店頻度を上げるしかない」という答えに結びつきます。

「売り上げ=客数×客単価」というのはPOSの時代の言葉であり、ID-POSが出来て初めて来店頻度やユニーク客数を測定できるようになりました。私は「売り上げ=客数×客単価」という公式を間違っていたと言いたいわけではありません。ですが、ITの進化と商圏環境の変化に合わせて公式を書き換える必要があると考えています。

私の考えでは、来店頻度を増やし、年間客単価を高めるためには、ID-POSを活用し、お客さま一人ひとりの購買行動から潜在需要を読み解くこと、つまり、「DEEP DATA(ディープデータ)」を活用し、商品とお客さまをつなげることがとても重要だと位置付けています。狭小商圏化と人口減少社会において、「DEEP DATA」の必要性はさらに高まっていくことでしょう。

ーーありがとうございました。

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