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特別インタビュー:アルフレッサ ヘルスケア 西田 誠 新社長
トータルヘルスケア企業としての持続的成長を目指す

経営トップ特別インタビュー
アルフレッサ ヘルスケア 西田 誠 新社長


トータルヘルスケア企業としての
持続的成長を目指すアルフレッサ ヘルスケア



人々の精神(こころ)と身体(からだ)のトータルヘルスケア企業として、誠心誠意・誠実に中間流通業の使命を果たし社会に貢献します――アルフレッサ ヘルスケア株式会社の新しい代表取締役社長に、取締役専務執行役員で営業本部長だった西田 誠(にしだ まこと)氏が就任した。セルフメディケーション(自己治療)とセルフプリベンション(自己予防)事業に取り組む同社は、年2回の展示会を通じドラッグストアや薬局に様々な情報と差別化商品を提供し、年商2466億円(2022年度実績)を達成している。この4月、経営トップに就任した西田新社長に、『ヘルスケア卸売業の役割と課題』を聞いた。(インタビュー・文◎流通ジャーナリスト・山本武道)


■全国行脚で取引先のトップに会い、分かったこと


アルフレッサ ヘルスケア・西田 誠 社長

――アルフレッサヘルスケアは、商品開発力と営業力、人財力に定評のある企業として取引先から支持されてきました。私が本社を訪ねると、お会いする社員の方々が笑顔で迎えてくださり、「いつもお世話になっております」と声をかけていただける、とても温かい心が感じられる企業として交流してきました。その企業の新社長に就任されてから6か月が経過しました。それまでは全国行脚で、多くの取引先のトップにお会いになられたと思いますが…。


西田社長 今年4月に社長に就任するその1か月前から、当時の勝木尚社長(現代表取締役会長)と共にお取引様を訪問し、できるだけ多くのトップの方々に時間をとっていただきお会いいたしました。その行脚は5月中旬まで続きましたが、私自身にとってはとても貴重で有意義な時間でした。

業界規模も大きくなっているので、当社が勝ち残っていけるように、社長としてさらに先のことも見据えていかねばなりません。社員が結集することではじめて成果に結びつく。社長自らが何もかもこなすのではなく、できるだけ社員に仕事を任せ、経験を積んでもらうことで成長させていかなければならないと思っています。なので、社長としては、目標に向けて先頭に立たねばならないでしょうが、社員の力を認めて信頼し、結集させ、動きやすい環境を醸成していきたいと考えています。

今後の日本の人口に目を向けると、労働人口も減っていくため、雇用環境は確実に厳しくなってきます。そんな世の中、私が小売業界に携わっていくことでとても大切だと思うのは、「いかに働き手が輝けるか?」ということです。それは働き手だけではなく、企業にとって、ひいてはお客様にとっても重要になってきます。社員の適材適所を見極め、前向きに、やりがいを持って仕事をしてもらうことは、長期雇用にもつながりますし、それは間違いなく顧客満足にもつながるでしょう。


■今、なすべきは「人財の育成」


――社長に指名された際、アルフレッサ ヘルスケアを今後どのような会社にしたいと思われましたか。そのために、今なすべきことは、どのようなことでしょうか。


西田社長 社長としてまず社員に「さらに良い状態の会社を作っていきたい」と話しました。当社の基本理念を忠実に守り、実践し、外部環境が変わっても揺るぎない企業にしたいと思っています。そして自身が考えたことは、「今以上に業績を伸ばすだけでなく、入社した社員全員が、『この会社に入って良かった』と思えるような会社でありたい」ということです。当社は生活者を支える健康インフラ企業ですから、社会貢献という点においても、知り合いや家族にも胸を張れる企業といえます。そして働く人々が長く勤務でき、お取引先様にも信頼され、支持されるような息の長い会社作りを目指したいと考えました。
 

――今のお話をお聞きして、働く人は会社の財産、つまり人財であることを再認識いたしました。企業は人なりですね。


西田社長 人財の育成はとても重要です。まさに、これからの企業は「人、人、人」。商品を開発するのも人、販売するのも人、利益を生み出すのも人。だからこそ当社にとっては、その育成は欠かせません。経営トップとしてここが一番のポイントだと位置付けています。多くの人財がスキルアップし、日々モチベーションを高めていきたい。お取引様にも、こうした当社の理念を受け止めていただき、共に繁栄していきたいと思っています。


■モノづくり、そして展示会の機能と役割


大いに盛り上がった2023 ソリューション提案商談会


「人生100年時代の店舗イノベーション」としてかかりつけ薬局の改変も大々的に提案された

――貴社は多くの差別化商品を開発し、利益商品と売り方を提供する年2回の展示会(ライフサポートフェア/ソリューション提案商談会)を開催しています。毎回ユニークなセルフプリベンション商品(SP商品=アルフレッサ ヘルスケアの専売商品)が登場し、人気を集めていますが、モノづくりと展示会の機能と役割にについてお聞かせください。
 

西田社長 モノづくりでは、セルフケア、セルフプリベンションに関連したヘルスケア商品が増えています。当社のSP商品も然り、当社はヘルスケアに特化した企業ですので、健康を創造する商品を開発してきました。

現在、勝木会長が中心となってSP商品を開発していますが、開発にあたって4つの指針を掲げています。それはエビデンスがしっかりと取れている「本物であること」、長期にわたって商品を育成してもらうため「季節性がないこと」、製・配・販で「適正な利益が確保できること」、産地や原料など「他社に真似ができないこと」。これに適った商品のみがSP商品に選ばれます。


皆様から厚く支持をいただいている「インクリア」「たもぎ茸の力」「記憶の番人」「薬剤師のおすすめ アルカリ天然水」など、いずれも4つの指針に合致し、売り手にも買い手にもメリットがあると非常に高い評価を得ています。

販売方法や棚割りに関しては、当社が大切に作り上げてきたCDT(コンシューマー・ディシジョン・ツリー=消費者購買意思決定ツリー)やMD(マーチャンダイジング)を活用し、お取引先様の立地やニーズに合致した形で提案しています。NB商品についても同様に、魅せ方に工夫を凝らしながら、個々の商品の持つブランド力や親しみやすさを考慮した上で販売・棚割り提案に落とし込んでいます。その提案における理論や実績を披露させていただく場が、ライフサポートフェアやソリューション提案商談会といった展示会なのです。

私が営業を統括するようになってからは、展示会は単純に商品を展示するだけではなく、当社からの提案を来場者様にご理解いただけることに重きを置いています。ですから社員には、買いやすく選びやすいCDTを提案し、来店客の購入決定要因を絞り込み、購買に結びつけられる理論を学ぶことの重要性を伝えています。


■開発力のあるメーカーとのコラボにも力を入れたい


プロテインやアミノ酸などの提案も見られた(2023 ソリューション提案商談会)

――御社の展示会は、まさに商品とお客様を繋ぐ役割を果たしていますね。最近では、規模の大小を問わず様々なメーカーが展示するようになってきました。


西田社長 中小のNBメーカー様の中には、素晴らしい開発技術を持っておられてもほとんど世の中に知られていないという企業様も多数いらっしゃいます。それは非常にもったいない話ですので、当社はそうした企業様とのコラボレーションに力を入れてきました。これも当社が大事している繋ぐ役割でもあります。

かねてから、さまざまな提案をしてくださるメーカー様の工場に訪問しましたが、企業の理念や商品の品質、トップの人柄も確かでしたので組む価値はあると思いコラボしました。同社が提案してきたのはプロテイン。これはアスリートたちからの需要が多い商材ですが、実は高齢社会になればなるほどに、フレイル問題が俎上に上がっており、需要増は間違いないと思いました。自社独自の開発力を活かして、高齢社会におけるフレイル問題のソリューション活動をしたいとのお考えをお持ちでしたので、ご一緒することになり当社の展示会でもプロテインを提案していただくこととなった次第です。

近年、このような企業様からご連絡をいただくことがあり、私が社長になってからは、さらにその数は増えてきています。メーカー様にその理由を聞くと「御社に商品をお任せすれば大切にしてくださるから」と言ってくださり、大事に開発した商品を当社に託してくださる。とてもありがたいことです。過去には失敗もありましたが、成功の元であると捉え様々なメーカー様と交流を深めています。

■10年後を見据えた目標


――今後の目標について教えてください。


西田社長 2025年に10兆円産業形成を目指すドラッグストア業界。国民のヘルスケア推進に寄与するために、情報を添えて商品を提供していく拠点としてのドラッグストアに期待が高まっています。

当社はセルフメディケーション、セルフプリベンションを中心とした企業活動をしてきました。これからも、商品とCDT・MDを含めた情報を融合させ、よりお客様が手を伸ばしてくれるような売り場提案の強化と、潜在需要や新たな市場を切り開く商品提案との両輪で、ドラッグストア業界の発展に寄与していきたいと考えています。

親会社のアルフレッサホールディングスは、健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できる「ヘルスケアコンソーシアム」の実現を掲げ、10年後の年商を4兆円、営業利益700億円以上を見据えています。その実現に向けて当社も、健康寿命の延伸・地域医療への貢献を目指し、「人々の精神(こころ)と身体(からだ)のトータルヘルスケア企業」として、これから起こりうる様々な変化に対し柔軟に対応できる企業風土と人財育成に取り組んでいきたいと思います。



<取材を終えて>


展示会の入り口で来場者を迎える西田社長(右)と勝木会長(左)

終始、笑顔で答えてくださった西田新社長。とても清々しいインタビューだった。西田新社長は、年2回開催される展示会の入り口では、いつも詰めかける来場者を笑顔で出迎えている。

「展示会場の入り口に立つのは、来場していただいた多くのお取引様への感謝の表れです。せっかく時間を作っていただいたのに、私が不在であってはいけません。どなたが来られるか楽しみですし、声をかけてくださるのも嬉しいですし、お顔を見るとホッとします。会場では、当社の社員が、来場された方々に様々な商品と情報を提供していますが、かえって来場者からいろいろと情報をいただけることも少なくありません」

そう話す西田社長は、7月に開催されたソリューション提案展示会で、開会から閉会まで飲まず食わず、閉会間際の16時30分までトイレにも行かなかったそうだ。

西田新社長はこともなげに、こう話してくれた。「立っていて、とにかく楽しい時間なんですよ」。この一言が、西田新社長の人柄、そしてビジネスへの姿勢が大いに表れていると感じた。