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特別企画 日本ヘルスケア協会が目指す健康寿命延伸①
日本ヘルスケア協会 今西信幸会長インタビュー

予防分野のエビデンスを確立し、
健康寿命延伸の実現化を目指す

超高齢社会に突入して久しい日本だが、平均寿命と健康寿命の乖離が問題視されている。この乖離をいかに縮めていくのか。それは「病気になったら治療」という多くの人たちに根付いている考え方ではなく、「どう病気にならないようにするか?」という「予防=ヘルスケア」を生活に取り入れていくことが非常に重要となる。日本ヘルスケア協会は、ヘルスケア推進のために存在する団体であり、コロナ禍を経て国民のヘルスケア意識が高まった今、同協会への注目が集まる。本記事から、「日本ヘルスケア協会が目指す健康寿命延伸」という企画を立ち上げ、月1回のペースで同協会の取り組みや考え方を、インタビューや対談を介してお届けしたい。第1回目は、今西信幸会長がインタビューに登場。同協会の方向性について語っていただいた。(記事・写真=佐藤健太)

日本ヘルスケア協会オフィシャルサイト https://jahi.jp

――「ヘルスケア」は非常に幅広い意味を持ちますが、日本ヘルスケア協会は、どのようなポジショニングをしているのでしょうか。

今西信幸会長

日本の医療は「治療にあらずは、医療にあらず」「保険にあらずは、医療にあらず」という治療第一主義という側面があります。これまでは、こうした形の医療は成功してきたのですが、経済的な面で大きな課題を持っています。

高齢化の進展により、公的医療費が43兆円にも膨れ上がり、医療費だけでオーストラリアや韓国の総国家予算を超えている…。日本の公的医療制度はとても素晴らしいものだと思っていますが、これを維持していくためには私費を使った予防に力を入れざるを得ません。

ある種の希少な病気に効果を発揮する1億6,000万円の薬があり、その患者は年間20数名います。こうした疾患に対応する薬が開発されるほど公的医療制度を維持するのは難しくなります。

私も常々、「ヘルスケアとは予防であり、病気になってからお金をかけて治療するのではなく、病気にかからないように食事・栄養・運動・睡眠に配慮していくこと」と主張していますが、この環境下、一部の医師等の医療人は予防に目を向け、しかも、できる限り公費を使わない方向で考えられつつあります。日本ヘルスケア協会は、こうした考え方の医療人が増加していることをチャンスと捉え、エビデンスを確立しながら予防で貢献したいと思っています。

平均寿命は男性81歳・女性87歳ですが、ここ数年は自立した生活を送れる「健康寿命」と言うキーワードが出てくるようになりました。男性では9年間・女性では12年間、平均寿命と健康寿命に差があります。この乖離を無くしていくためには、エビデンスを重要視した予防へのアプローチが重要になってきます。これを確立し、世の中に発信し、ヘルスケアを推進していく組織が日本ヘルスケア協会です。

――超高齢社会に突入している日本ですが、多くの方々がネガティブに捉えがちになってしまいます。

日本の特徴を何かと問われれば、第一に挙げられるのは「最高齢国家」ということです。財政面での負担は大きくなっていますが、それをポジティブに捉えると「高齢社会に成功している国」と言い換えることができます。こうした切り口で日本のインフラや文化を世界にもっと発信していくべきだと思います。

例えば、なぜ今フランスで日本酒がブームになっているのか。それは、フランス人が日本に対して「健康長寿」というイメージを持っており、「日本で愛されているお酒は体に良い」ということが前提になっているからです。日本酒だけではなく、日本食や和菓子などにも同じことが言えるでしょう。

日本は他国よりも高齢化率が高く(約28%)、第2位のイタリアよりも4%も高いという現状です。日本は高齢社会を支えるインフラを国内だけではなく、アジア、さらにはヨーロッパに発信していけば大きな市場形成にもつながっていくと思われます。ですが、より良い高齢社会を実現するのは、必ずしも「医療=治療」ではなく、むしろ「予防=ヘルスケア」が果たす役割が大きいように思います。

こうした意味で、私は日本ヘルスケア協会を運営して行く上で、ヘルスケアに積極的な企業とコラボレーションしたいと思いますし、「ヘルスケアが日本の未来を支える分野」とお考えの企業・個人から入会してもらい、日々議論を重ねています。それが日本のヘルスケアの推進になるとすれば、企業だけではなく生活者にとっても大変有意義なことになります。

これから医療費は高齢化率が高まるにつれてさらに逼迫していくとされていますが、ヘルスケアをきちんと生活に取り入れていくことで健康寿命が延び、医療にお世話にならないアクティブシニアの増加にもつながっていきます。

――新型コロナウイルスの流行を経て、「食と健康」というキーワードがヘルスケアにおいてより鮮明になったと感じます。

今西信幸会長

私も生活者のヘルスケア意識が高まっていると日々感じています。日本という国は先進国の1つですが、ヘルスケアにおいては後進国ですが、その理由は、医薬品と食品それぞれを管轄する省庁が異なっていることが起因しています。戦術これまで医療や医薬の世界は「治療がすべて。医療とは公的保険」という考え方でしたが、ここにきて「ヘルスケア(予防)を大事にしないと医療が持続できない」という経済問題が出てきました。これを解決する1つが「食」なのです。

治療の中心は医療技術や医薬品ですが、予防の中心は「食」になります。どちらかといえば、これまで食は「エネルギー補給」という見方でとらえられてきました。ですが超高齢社会が到来したことによって、予防・病気にならないフレイル対策や介護など食の重要性が増しました。

例えば「糖分は体に悪い」という誤解が付きまとっていますが、これは大きな間違いです。コレステロールがなければ人間は生きることができませんが、「ありすぎてはいけない」という概念がないため悪者扱いされています。もちろん糖分は摂り過ぎてはいけませんが、脳を動かすためには必要不可欠です。

ですが、エビデンスを元にこうした情報を発信している人はごく限られています。ですので、日本ヘルスケア協会は学会(日本ヘルスケア学会)を下部組織に持っており、「これから予防の中心は食であり、体にも心にも大きな役割を果たす」ということを啓発していこうと考えています。

――ありがとうございました。

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