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JACDSが「そらぷちキッズキャンプ」見学会
「踏み出すその一歩が世の中を変える」

眼下に広がる広大な「そらぷちキッズキャンプ」の敷地。子どもならずとも思わず走り出したくなる

春は菜の花、秋にはコスモスが咲き誇る、自然豊かな北海道滝川市の丸加高原のふもとに、約16ヘクタールの草地と森に囲まれた施設がある。その名は「そらぷちキッズキャンプ」。難病とたたかう子どもたちの、「外で遊びたい!」という夢を叶えるために造られた、国内唯一の医療ケア付きキャンプ場である。この施設を長きにわたり支援してきた一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は先ごろ、協力メーカーを招いた施設見学会を開き、Hoitto!編集部もそれに帯同した。「そらぷちキッズキャンプ」の成り立ちと流通業界が施設を支えてきた軌跡、さらに継続的な支援の必要性をお伝えする。(取材と文=八島 充)

市立病院の医師らもボランティアとして活動

そらぷちキッズキャンプは2004年にボランティア団体として発足し、2008年に一般財団法人、2010年に公益財団法人に認定された。活動に賛同する個人や企業らの浄財を原資に2007年より北海道滝川市でキャンプ場の整備を始め、2012年に主要施設が完成している。

2016年には、ハリウッド俳優の故・ポール・ニューマンがアメリカで創設したSiriasu Fan(シリアスファン)というネットワークの公認を受けた。同ネットワークが定める医療ケア付きキャンプ場は安全性やサービス面で厳格な基準が設けられており、「そらぷちキッズキャンプ」はそれをクリアした、中東を除くアジア唯一の施設となる。

小児がんや心臓病など、難病とたたかう子どもの数は全国に約20万人と言われる。医療の進歩で貴重な命が救われる事例は増えたが、闘病中あるいは治療後でも外で遊ぶ機会はほとんどない。そうした子どもたちとその家族にとって、「そらぷちキッズキャンプ」はまさに、夢の施設と言える。

現在は、医療棟はもちろん食堂・浴室および宿泊棟を完備した通年利用可能な施設となっている。医療棟には専任の看護師がおり、滝川市立病院の医師・スタッフもボランティアとして施設に出張している。

充実した設備と人的サポートにより、これまで難病を抱える子どもとその家族1,000人以上を無料で招待してきた。コロナ禍では受け入れ人数にも制限があったが、コロナが5類移行となった今後は、全国の子どもを集めた大規模なキャンプも再開される見通しである。

子供らの受け入れに持続的な支援が必要

敷地の取得と事務棟の整備には、ユニ・チャーム創業者の故・高原慶一朗氏が立ち上げた「高原基金の森」の多大な援助があったという。高原氏が踏み出した一歩が業界内外に共感を呼び、JACDSをはじめとした多くの民間企業・団体が、施設の支援に名乗りをあげている。

【ご参考】上記のほか全国の産学やその団体から多くの支援を受けている

ただ、施設の完成はゴールではなく、難病の子どもとその家族の受け入れを継続するには、将来に渡り安定した支援が不可欠となる。JACDSによる今回の視察ツアーは、その重要性を協力メーカーと共に確認する目的で実施された。

JACDSは、そらぷちキッズキャンプが組織化され間もない頃に、現副会長の根津孝一氏の指揮により支援を始めている。その根津氏が、「施設が北海道にあるのだから」という理由で、札幌に本社を置くサッポロドラッグストアー(現サツドラHD)オーナーの富山睦浩氏を担当に任命し、現在に至る。

富山氏

そらぷちキッズキャンプの理事も務める富山氏は、「担当を引き受けた当時は医療棟が出来たばかりで、宿泊棟を含め施設を充実させるには、さらなる資金が必要でした。そこでJACDS加盟社の店舗に募金箱の設置をお願いし、賛助メーカーには企画商品を作ってもらうなどで寄付を募ってきました。大きな震災で活動が途切れかけたこともありましたが、昨年は2,500万円強を寄付しています。今後は募金箱の設置店舗を増やすほか、正・賛助会員にCSR活動の一環として参画を呼びかけ、持続可能な支援の形をつくっていきたいと考えています」と語っている。

見学を通し施設の意義を肌で感じる

今回JACDSの呼びかけで視察に参加したメーカーは、オムロンヘルスケア(HC)、クラシエホームプロダクツ(HP)販売、山崎製パンの3社・5名。一行は現地で細谷亮太代表理事(聖路加国際病院顧問・小児科医)、佐々木健一郎事務局長兼執行理事ほかスタッフに歓迎され、半日がかりで施設を見学している。

「そらぷちキッズキャンプ」の全景を示したジオラマ。16ヘクタールは東京ドーム3.5個分の広さである(クリックで拡大)
絵本に出てきそうなツーリーハウス。子供らの喜ぶ顔が目に浮かぶ(クリックで拡大)
眼下に広がる広大な敷地を眺めながら、誰の目も気にぜず入浴できる大浴場
可愛いいイラストがかけられた多機能トイレ。もちろん、オストメイト用のシンクも備わっている
雪道などの悪路も走行可能なキャタピラ付きの車椅子。日本ではあまり見ることができない躯体がここにはある
診療スペースはプレイルームをイメージしたつくりで、子どもらが怖がらないように配慮した
窓際に設置された病床は2つ用意されている
積み木のおもちゃのような点滴の支柱

なおオムロンヘルスケアは、同社電子体温計の発売50年の記念事業として、今年2月に売上の一部を施設に寄付したばかり(関連記事@Hoitto!:https://hoitto-hc.com/3854/。山崎製パンも独自商品を開発しドラッグストア店頭で販売し寄付に当てた実績を持つ。またクラシエもグループを挙げて支援を続けており、活動に感銘を受けた同社社員がリタイヤ後に施設の広報スタッフになったというエピソードを有している。

今回現地の訪問は初めてという方も複数いたが、皆一様に施設の意義を肌で感じ、支援の継続あるいは、新たな形での支援の検討を約束していた。

以下は、視察したメーカー担当者の感想コメントである。

「周年の節目も活かして貢献を検討」
 オムロンHC国内事業本部 事業本部長
 大川 力也 氏

――一企業として、またJACDS賛助会員として、そらぷちキッズキャンプにどのような支援が可能かを検討してきました。丁度昨年はオムロンの電子体温計が発売50周年で、その感謝の印として売上の一部を寄付させていただきましたが、意義深い記念事業になったと感じています。

現地の視察は2回目ですが、訪れるたび施設の重要性を感じ、改めて何をすべきか考えさせられます。今年はグループの創業90周年、血圧計の販売から50年、さらにオムロンHCも誕生10年を迎えます。こうした節目も活かしながら、効果的な貢献の形を、JACDSとも一緒に考えたいと思います。

「利用者の目線で活動する姿勢に感銘」
 クラシエホームプロダクツ販売 代表取締役社長 上嶋 一善 氏

弊社グループは8年ほど前にそらぷちキッズキャンプと出会ってより、様々な形で支援をさせてもらっています。私自身は初めて現地を訪ねましたが、難病の子どもとそのご家族の目線で活動している施設とそのスタッフに胸を打たれ、今まで以上の貢献をしたいと思いました。今日の体験をしっかりと持ち帰り、会社全体に伝えていく所存です。

「食の視点での協力を追求したい」
 山崎製パン札幌工場長 池谷 公雄 氏

4月に札幌工場長に赴任したばかりの私に、このような機会を与えてくださったことに感謝申し上げます。今日の視察で、難病の子どもたちとその家族の想いに応える施設の素晴らしさをに感じ入りました。ことに弊社は生活者を“食”で支える企業であり、その視点でどのような協力ができるのかを追求したいと思います。

「社会への貢献度を競う新たな競争をすべき」
 JACDS会長 池野隆光氏

最後に、「そらぷちキッズキャンプ」の評議員でもある池野隆光会長のコメントを紹介する。

ーー今回のような見学会を通して、施設の存在を広く知っていただくPR活動が大事だと考えます。秋には弊社ウエルシアHDも施設に取引先をお連れして、皆で支援のあり方を話し合いたいと考えています。

私たちの周りには重い病気や障害を抱える方が大勢います。そうした方々と日々接するドラッグストアが、何もしない、何もできないという状況は許されません。「私たちが踏み出した一歩で世の中を変える!」というくらいの気概が必要です。

これからのドラッグストアは、安さの競争ではなく、病気や障害を持つ方にどれだけ貢献しているかを各々が競う、新たな競争を展開していくべきではないでしょうかーー

そらぷちキッズキャンプ公式H P:http://www.solaputi.jp