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公益財団法人日本ヘルスケア協会 今西信幸会長インタビュー
昨年9月に公益認定!日本ヘルスケア協会の新たな方向性とは?

3月17日、18日に東京で年次大会・活動発表会を開催!

2022年の最大のエポックを挙げるとするならば、「日本ヘルスケア協会(以前は一般財団法人)の公益財団法人化」だろう。ヘルスケアは、ご承知の通り非常に幅が広く、多くの業種業態・職能が複雑に絡み合いながら日進月歩している分野であり、それが故に「この分野での公益認定はなかなか難しい」と囁かれてきた。しかし昨年9月、日本ヘルスケア協会が公益認定を取得し、ヘルスケアに関係する多くの業界人を驚かせた。今回、公益財団法人日本ヘルスケア協会の今西信幸会長にインタビューに登場いただき、同協会のこれまでと、未来について聞いた。(取材と文=佐藤健太)


――まずは公益化を目指したきっかけをお聞かせください。


今西信幸会長

これまで当協会は日本のヘルスケア推進を図るため、「健康まちづくり」「セルフチェック」「野菜の機能性表示」など多角的なチャレンジをしてきました。活動していく中で、「もっとレベルの高い挑戦をして、多くの生活者の役に立てる存在になりたい」と考えるようになりました。

「公益」とは、「社会のために」という意味を持っており、ヘルスケア推進は、超高齢社会に突入している日本においてその中心的なカテゴリーだと認識しています。ですが、良い人材なくして、高レベルな公益活動を望むことはできません。よりレベルの高い取り組みを、スピード感を持って実施し、社会に貢献していくには、より多くの優秀な人材を巻き込んでいく必要が出てきます。

当協会がこうした環境を得るためには公益財団法人化は避けて通れない道のりであり、約4年間の時間を要しましたが、価値のある時間的投資だったと振り返っています。目的が営利目的ではなく、社会貢献という意識を持った人が集まって活動できる団体にしていくには、どうしても公益化が不可欠なのです。

ヘルスケアに対する世の中のニーズが高まっていますし、経済的に言えば、先進国のGDPの4割をヘルスケア産業が占めています。日本は産業別構造が先進各国と異なっていたため分かりにくい環境ではあるのですが、日本が先進国であり続けるためには、ヘルスケア産業を伸ばしていかなければなりません。そのためには先述の通り、ヘルスケアに優秀な人材を巻き込まなければなりません。

新型コロナウイルスの流行を経て、生活者の予防意識が急激に高まりました。それは大変良いことだとは思うのですが、「予防」という意味合いは非常に抽象的です。今までは「治療にあらずは、医療にあらず」として、当たり前のように医療の中心は治療でした。しかし、これが継続したままでは、医療財政がパンクしてしまいます。

これは「必要なときに、必要な医療を」という環境の喪失になりますので、生活者にとって大きなデメリットなのは間違いありません。当協会はこうした環境を回避するために、予防分野でのエビデンスを確立し、それを評価基準にすることで結果の良し悪しを明確にしていきたいと考えています。

これまで日本社会は、食品企業や製薬企業、日用品企業などに産業分類されてきましたが、しかしウィズコロナ社会になり、「その企業が何を作っているか?」のみでは分類し切れない世の中になったと感じます。現在多くの方々が関心を持っている話題として、「公的医療費(保険制度)」があり、国家予算の2分の1(約43兆円)を占めるほどのボリュームになっています。この数字はオーストラリアや韓国の総国家予算を超えるほどの金額です。

男性の平均寿命は82歳、健康寿命は72歳で10歳も乖離しており、女性の場合は12歳も違ってきます。国や行政は、こうしたことを国民に伝えてこなかったこともあり、「人間は平均寿命まで元気に生きられる」と信じていましたが、実態は違います。どのように健康で長生きできる環境をつくっていくか。これを証明するのが、当協会の役割であると認識しています。


――公益化後の活動についてお聞かせください。


現段階では「研究助成事業」「セミナー事業」「情報収集・提供事業」「普及啓発事業」といった4つの活動をメインに考えています。

「研究助成事業」は、公衆衛生の向上及び高齢者福祉に関する研究活動にかかる関係者の 活動を公募により助成します。初年度は100万円の研究調査を5本助成することとし、2022年12月1日に公募開始、2023年1月末に応募を締め切りました。選考委員会の結果を4月中旬に公表する予定です。

「セミナー事業」は、ヘルスケア、セルフチェック等に関する時機に応じたテーマを選定し、有識者を講師としたセミナーを開催します。すでに2022年9月22日には「フレイル予防のオンラインセミナー」を、11月24日には「人々と地球の健康(プラネタリーヘルス)」 のシンポジウムをハイブリッド開催し、参加者からは高い評価を得ました。

「情報収集・提供事業」はヘルスケアの推進に資するエビデンスを収集し、新たに創出する学術的な活動を行うヘルスケア学会活動、ヘルスケアを推進するに際して、具体的な課題・問題の解決を図る方策を検討し、条件整備を行うヘルスケア協議会活動、また中長期的には学会、協議会活動のうち活発なものを常設研究機関として当協会附属研究所に順次移設します。


2023年3月17・18日は、明治大学駿河台キャンパスにて第4回年次大会を開催する予定となっております。

「普及啓発事業」は、当協会の活動成果を、ホームページでの報告及び出版・動画制作などにより、一般市民の方々に公開し、ヘルスケア及び健康寿命延伸に関する最新かつエビデンスに基づいた正しい情報を発信していきます。

これら活動の他にも、従来から実施している「野菜果物の店頭表示に関するサンドボックス実証結果の社会的実装」、「必要とされるサンドボックス実証実験テーマの拡大」、必要な部会等の新設と既存部会の強化・整理、昭和女子大学グローバルビジネス学部への寄附講座の提供、2025年大阪関西万博計画への協力、毎月の定例記者会見の開催等の諸活動を継続していく予定です。