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医薬品登録販売者はドラッグストア業界発展のキーマン

日本チェーンドラッグストア協会・池野会長の年頭のご挨拶を紹介します

10兆円産業化の達成が目前に迫る日本チェーンドラッグストア協会。2023年は「尊敬される企業集団」に向けた活動をさらに推し進める年となる。プラスチックごみの削減や食品ロス削減といった環境対策や、薬剤師や医薬品登録販売者の資質向上を優先の課題に位置付け、将来の成長への礎を築く考えである。

一般社団法人
日本チェーンドラッグストア協会
  会長 池野 隆光 氏

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。 新型コロナウイルスの感染や今もなお後遺症で苦しんでおられる多くの皆さまにお見舞い申し上げます。

昨年も 1 日の新規感染者が過去最高の 26 万人を記録した第 7 波があり、そして今現在もインフルエンザとのダブル流行が懸念される第 8 波が言われています。4 回目接種、さらに 5 回目のオミクロン株対応ワクチンの接 種が推奨されていますが、以前ほどの深刻さはないように見えます。医療の非常事態などは都道府県知事に委ねられ、国は全国旅行支援で外出を奨励するように経済活動を優先しています。抗原検査キットのスイッチ OTC 化が実現し今後の私達の役割も変化してきています。この様な大きな変化の中で JACDSが果たす役割は大きく、商品供給から地域支援まで幅広い領域で活動する事となりました。2023 年私達は以下に示す事柄について積極的に活動してまいります。

1)環境に配慮したリサイクル社会への取り組み

JACDS では、SDGs推進委員会等を通じ、プラスチックごみの削減や食品ロス削減に向けた環境に配慮した持続的な事業活動に向けて取り組んでおります。そして、多くの生活必需品を取り扱う事業者としての責任を認識し、使い終わった日用品の空き容器の回収などの実証実験を行ない実効性の確認をいたします。

2)ドラッグストア薬剤師の育成への取り組み

ドラッグストアの調剤比率は年々高まっています。調剤は薬剤師の専権業務ではありますが、OTC 医薬品や健康 食品、サプリメントとの飲み合わせの知識が欠かせません。2025 年から進行する後期高齢者は 1500 万人から 2200 万人に膨張する事で医療問題は大きく変わらざるを得ないのです。そのような観点からこれからのドラッグストア薬剤師の在り方に焦点をあてた「薬剤師フォーラム」の開催を予定しています。

3)医薬品登録販売者の資質向上への取り組み

医薬品登録販売者はドラッグストア業界発展のキーマンと言っても過言ではありません。その役割は、大き く、資質向上への取り組みが欠かせません。それが地域生活者への大きなメリットになります。JACDS では、学術・調査研究委員会が医薬品登録販売者による活動を想定し「JACDS 版受診勧奨ガイドライン」を作成しまし た。いまはまだ4症状についてのみとなっておりますが、各社の活用状況によっては、さらに症状を増やしていきたいと思います。

4)「食と健康」をドラッグストアの柱とする取り組み

食と健康は切っても切れない関係にあることは誰もが認めるところです。しかし、食の機能性をお客様にきち んとアピールすることはむずかしい課題です。JACDS では、ドラッグストア店舗において、実証実験を重ね、その報告書を公開しました。特に、店舗における表現においては、消費者庁と何度も意見交換し、健康に資する 「食」についての「考え方・扱い方」について取りまとめております。現在は、「食と健康アドバイザー制度」 の構築を目指して、街の健康ハブステーション推進委員会⇒健活ステーション推進委員会が活動中です。

5)行政書式統一等の行政改革要望の取り組み

各自治体で異なる行政手続書類の統一を要望しています。チェーンストアにおいては、都道府県、市区町村における申請書類の書式の違いが効率化の大きなネックです。DXが声高に言われていても、地方自治の名のも とにメスの入れられていない実態があります。デジタルの遅れは国や企業の生産性低下の原因でもあり改善提 案を行ってまいります。

6)JACDS 顧問会によるロビー活動の強化

昨年、協会内に顧問会を設置しました。これはシニア経営層の皆さまによる任意の会員組織であり、主に、 JACDS 政治連盟とも連動し、中長期の政策提言を行ないます。これまでの規制を緩和し、地域生活者の健康に寄与するため、医療用医薬品や検査薬、検査キットのスイッチ OTC 化をはじめとする多くの課題に対し、顧問会 を通じたロビー活動を展開してまいります。

7)他団体と連携し、ともに発展する

JACDS は、日本薬剤師会、日本保険薬局協会とともに、薬業三団体として、連携をより密にして、国民の健康・ 医療問題に取り組んでまいります。また、製薬団体や製薬卸団体とも意見交換をし、医薬業界全体の発展を目指していきます。さらに、流通小売団体とは深刻な物流問題などについて、効率的な共同配送等への取組みを研究し進めていきたいと考えます。

いまやドラッグストアは地域になくてはならない存在となり、業界自体も10 兆円産業に手の届く位置まで近づきました。社会的責任の重さを感じないわけにはいきません。それと合わせて、一般生活者の健康に関して、 医療や環境の問題などにも積極的に発言してまいります。 会長就任と同時に唱えました「尊敬される企業集団を目指す」活動を、本年はさらに加速したいと思います。

本年が皆さまにとって良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

2023(令和5)年1月1日

当サイトHoitto!は今年も、ヘルスケアの窓口機能を果たすドラグストア業界と、日本チェーンドラッグストア協会を応援して参ります。引き続きのご愛読をお願い申し上げます。(八島)