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オストメイト,高齢者,その介助者に寄り添うトイレの設置を

オストメイト、高齢者、その介助者に寄り添うトイレの設置を

SC業界にオストメイト対応トイレ普及の波

 何らかの疾患や事故のために人工肛門や人工膀胱を造設したオストメイトに対応するトイレを設置する施設・店舗が増えてきた。これまでは健常者のためのものが多く、腹部に装着したパウチに溜めた排泄物を破棄する必要があるオストメイトに対応していなかった。転機となったのは2006年12月、2,000㎡以上の建物に1つ以上のオストメイト対応トイレの設置を義務付けたバリアフリー新法(高齢者、障がい者等の移動の円滑化の促進に関する法律)の施行である。これにより公共施設や駅、ドラッグストアやコンビニエンストア、バラエティショップ、そしてSC(ショッピング・センター)業界へと、対応トイレの導入が広まっていった。多目的トイレの普及を先んじて進めてきた日本SC協会では、「これから新設されるSCはオストメイト対応トイレの設置が標準化されるだろう」とみている。バリアフリー法の施行以前に建設されたSCのリニューアル等にあわせ、対応トイレはさらに増えると考えられ、2025年に開催される大阪万博に世界中から訪れる方のホスピタリティの向上にも寄与することが期待される。(ヘルスケアジャーナリスト・瀬戸内 寛=せとうち かん)

■オストメイトの外出を阻む誤解を解く

オストメイト対応トイレの普及活動は、互療会を前身に1969年に患者団体として設立された公益社団法人日本オストミー協会によって始まった。目的は、オストメイトが排泄処理のために装着しているストーマ装具から、排泄物や臭いが漏れたりするトラブルが外出時に発生した際に、緊急処置ができる設備をトイレに設置し、オストメイトが安心して外出できる社会環境を整備することである。

オストメイトのピクトグラムを持続可能社会の目印に

オストメイトは見た目が健常者と変わらないため、多目的トイレを利用すると車いすの方や子供連れの方にクレームを言われることもあった。そのためオストメイトは、通常の便房を利用することも多く、結果的に十分な処理ができないというのが、これまでの実情のようだ。また、「多目的トイレを設置すればオストメイトも利用できるはず」と思い込んでいる施設の担当者も少なくなく、オストメイトの外出環境を整えるには、こうした誤解を解く作業も必要であった。

バリアフリー新法でSC・Dgs・CVSへ導入すすむ

SCほか各商業施設で設置が進むオストメイトに配慮したトイレ

同協会は1999年頃から、公共施設の身障者や多機能トイレのなかにオストメイト対応トイレを設置するよう要望してきた。2006年12月に施行されたバリアフリー新法では、2,000㎡以上の建物に1つ以上のオストメイト対応トイレの設置が義務付けられ、さらに対象施設が、不特定多数利用のデパートやSC等の建築物にも広がっていった。

現在では、公共施設、役所、病院、駅、公園、学校、ホテル、銀行・信用金庫、美術館、運動施設、税務署、飛行場、高速道路のインターチェンジ売店、SC,ホームセンター、百貨店、SM、ドラッグストア、CVS等々、幅広い施設に設置が進んでいる。多目的トイレとは別に一般のトイレ内にオストメイトブースを設けるケースも増えており、オストメイトが安心して外出できる環境が、ようやく整いつつある。

■新設SCのみならず既存SCにも設置の波

 日本SC協会の椿浩専務理事は、業界におけるトイレ設置の将来像について、以下のようにコメントしている。

「ウエルネスをキーワードとするSCが増えるにつれ、オストメイト対応トイレの設置が増えている印象です。正確な設置数は把握していませんが、2006年12月に施行されたバリアフリー新法では、不特定多数の者が利用し、または主として高齢者、 障害者など利用する建築物(病院、百貨店、ホテル、老人ホーム、美術館など)の床面積が2,000㎡以上のSCには、オストメイト対応トイレを1つ以上設置することを義務付けており、SCの新設数に合わせて対応トイレの設置は増えていくのは確実です。バリアフリー法の施行以前に建設され多目的トイレが未設置のSCにおいても、3年後に開催される2025年の大阪万博開催時にも考慮し、リニューアル時の導入が進むことになるでしょう」

また、同協会の岩村康次副会長(イオンモール代表取締役社長)は、「当社が運営するSCには、多目的トイレは100%設置されています。もともとSCはベビーカーで子供さんを連れて買い物をされる方も多く、一般的な商業施設に比べても、おむつ交換などのスペースのある多目的トイレの設置は進んでいました。今後は、オストメイトはもとより車椅子使用者や高齢者、さらにその介助者を含め、全ての生活者に気軽に来店してもらう場となるために、各々に対応したトイレの設置は必須だと考えています」と話している。

■オストメイト、高齢者、その介助者にも寄り添う

同協会によれば、全国に展開するSC数は3,169(2021年度)。過去3年間の新規オープン数は2018年:17,2019年:16、2020年:22、2021年:12で、2022年(1月~6月)もすでに19のSCが新設されている。多目的トイレの設置に積極的なイオングループを筆頭に、オストメイト、車椅子使用者、高齢者、それらの介助者に寄り添ったトイレの普及が、SC業界で加速していくのは確実である。その他の施設・店舗も是非、これに続いて欲しい。(了)

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先のイオンモールほか、ウエルシアHDやツルハHDの店舗が積極的に導入しているのが、さつき(祖父江洋二郎社長)が提供する「ZA FREE」(オストメイト配慮型トイレ)である。このトイレは便座の前部分が広く開口しており、オストメイトや高齢者が座った姿勢でスムーズに作業を行えるのが大きな特徴。限られたスペースでの設置が可能なため、施設・店舗はもとより、医療や介護の現場、さらに自宅用のトイレとしても注目を集めている。

ご興味のある方は「ZA FREE」の特設サイト(https://pri-zafree.com/)を訪問していただきたい。

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