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外食復活傾向でスーパーの売上鈍化目立つ

CCCマーケティング株式会社で『暮らす人と共に歩み、共に考えるシンクタンク』をコンセプトとする「CCCマーケティング総合研究所」が、2022年6月の「産業動向レポート」および「産業天気予報(https://www.cccmk.co.jp/thinktanks/industry-17)を発表した。

CCCマーケティング総研が発表する「産業動向レポート」および「産業天気予報」は、お買物レシートでTポイントが貯まる家計簿アプリ「レシーカ」を利用する人のレシートデータとCCCマーケティング総研の研究員による企業への調査を組み合わせ、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、外食、百貨店、ショッピングセンターの小売7業界における生活者動向と見通しを独自調査している。

2022年6月の「産業天気予報」

流動回復が続き、コロナ禍による影響を大きく受けていた百貨店やショッピングモールでも利用回復の動きが鮮明になってきた。外食の利用は一段と力強さを増し、休日の利用はコロナ禍前の利用に近い、もしくは超える業態も出てきている。時短営業を行う企業が多かった外食でも、利用拡大を受けて営業時間を拡大する企業が増加してきた。一方で、全国的に新型コロナウイルス感染者数は急増してきており、今後も注視すべき状況が続いている。

“外食復活”とも言うべき動きが加速する中で、スーパーマーケットの売上鈍化が目立っている。早期に内食疲れの影響を懸念した企業は惣菜強化を進め、利用減少を小幅にとどめることに成功しているが、多くの企業は内食疲れの緩やかな拡大と生鮮三品含む食品群の価格上昇を受けて、客数の伸び悩み、買い上げ点数の減少といった状況に陥っている。生産三品は肉・魚ともに価格安定が難しい状況が続いており、スーパーマーケットの強みとなるジャンルで集客改善を図ることが難しい状況。さらに今後は夏季シーズンに向かうため、6月のように気温が高い状況が続くと調理を敬遠する動きが強まり、さらなる内食離れが進む可能性もある。

コロナ禍においては内食の回復が一気に進み、スーパーマーケットはその恩恵を受けてきたが市場の変化を見込んだ動きを先んじて行ってこなかった企業は、一転して業績悪化に陥ることもあり得るような状況だ。こうした中で業績を維持しているスーパーマーケットの取り組みを見ると、「食のグローバル化」「惣菜強化」という点で共通項がある。コロナ禍で外食が大幅に利用減少する中で内食においても専門的な調理、外食で味わえたメニューを家庭内に取り込む動きが加速した。特にアジアンメニューはメーカーの取り組み強化により、専用ミールキットや調味料の販売が広がったこともあり、家庭の食卓に並ぶ機会も急増している。惣菜の世界においても同様でスーパーマーケットよりも早くアジアン料理の惣菜展開を進めたコンビニエンスストアではすでに準定番となるような売上となっているメニューも登場してきている。

今後もコロナ感染者数の動向により内食・中食・外食のシェアは綱引きが続くとみられますが、長く苦しんだ外食がやや押し戻し、内食がやや後退する可能性が高くなっている。スーパーマーケットはコロナ禍で伸ばした業績、新たに獲得した客層を維持できるか重要な局面に差し掛かっていると言える。食品の値上げなど、逆風要素もある中、コロナ禍で変化した環境変化を踏まえたMDの変更、内食疲れにも対応できる惣菜の強化など、早期の対応が必要となる。