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JACDSが25周年記念式典開催

次の成長へ今一段のステージアップを

都内ホテルで催された25周年記念セレモニーの模様

ドラッグストアの産業化を目的に設立された日本チェーンドラッグストア協会(JACDS、池野隆光会長)が今年6月、創設25周年の節目を迎える。設立当時に2兆6000億円台だった市場は右肩上がりを続け、2023年の速報値で9兆円を超える規模に発展した。7日に都内ホテルで開催された25周年記念セレモニーでは岸田総理のビデオメッセージが届きお祝いムードに包まれた。セレモニーに先立つ記者会見で池野会長は、「地域社会に根ざすことを目的に商品と業態を進化させ、ここまで成長したが、これを持続できるか否かは今後の姿勢にかかっている」と語っていた。今年に入りドラッグストアや調剤薬局のM&A等の発表が相次ぎ、ヘルスケアの産業構造に変化の兆しが見られる。JACDSが次の周年セレモニーを祝うには、組織のステージを今一段上げていく必要もある。


伸長継続し23年度市場9兆円超

JACDSがこのほど公表したドラッグストア市場規模調査によれば、2023年度のドラッグストアの総売上高は、前年比5.6%増の9兆2022億円となった。2000年の調査開始以来23年連続の伸びとなり、2025年までに10兆円とする目標は確実に達成できる見込みとなった。調剤と食品が売上を牽引しているが、コロナ禍に停滞した化粧品も過去最高を更新し、ヘルス&ビューティを志向する業態の強みが現れた。(3月14日、「ドラッグストア売上高7年間の推移」表を追加)

セレモニーに先立ち開かれた記者会見


池野会長は記者会見で、「今日のドラッグストアの発展は、人口動態や社会環境が変化する中で地域に根ざした商品構成で業態を変化し、深化してきた証である。直近のコロナ禍も変化を怠らず、従来とは異なるマーケットの創造に取り組んできた。ただこの発展を持続させるか否かは今後の(協会の)姿勢にかかっている。10兆円産業化を実現できるよう、皆にお力添えをお願いしたい」と語っている。

DgSの機能充実を行政・医療が期待
セルメを阻害しない販売を望む声も

岸田総理のビデオメッセージに聞き入る式典参加者

25周年記念セレモニーは、岸田総理のビデオメッセージに始まり、林芳正内閣官房長官、竹内譲衆議院議員、さらに厚労省、経産省、日本医師会、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本OTC医薬品協会のトップ・幹部が挨拶し、式典に花を添えた。

林官房長官は2014年、JACDS政治連盟とともにヘルスケア議員懇話会を設立し、現在まで10年間、懇話会の会長を務めるなど協会とのつながりが深い人物。「我が国のセルフメディケーション、また協会が目指す『街の健康ハブステーション(健活スーテーション化構想)』を、制度・政策を活用して進めていきたい」と語っていた。

また竹内衆議院議員は、厚労副大臣時代からドラッグストアを理解し、公明党内のチェーンドラッグストア振興議員懇話会の会長を務める人物。「安倍内閣時代からセルフメディケーションやヘルスケアの方針が掲げられていたが、その実現にはドラッグストアの機能の充実が不可欠。近年問題となっているオーバードーズ(を念頭にした販売対策)も、セルフメディケーションを阻害するものであってはいけない。効果的な手段で実現可能な取り組みとなるようにしていきたい」とエールを送っていた。

また厚労省医薬局の城克文局長は、能登半島地震において協会が薬剤師と登録販売者を率いて支援に向かったことに謝辞を述べ、日本医師会の宮川政昭常任理事は、ドラッグストア業界との連携に向けて「健活ステーション化構想への協力を確約する」というコメントを残している。


次期役員の選任が業界の試金石

セレモニーはドラッグストアに対する期待の大きさを印象付けたが、その期待を背負うJACDSは5月に役員の改選期を迎える。池野会長の続投か新会長の誕生かが1つの目玉だが、いずれの場合も業界が次のステージに立つための大きな試金石となるだろう。

今年に入り、ドラッグストアや調剤薬局のM&A等のニュースが世間を騒がせ、2兆円規模のドラッグストア企業の誕生や、ドラッグストア企業が調剤市場を席巻する可能性も出ている。大手中心のこれら動きに中小のドラッグストアや調剤薬局は戦々恐々としている。業界の持続的発展に向けて、JACDSが加盟社の賛同をどう得ていくのかにも注目が集まる。

なおHoitto!は、6月16日の創設日までにJACDS25周年記念企画を公開する予定なので、もう少しお待ちいただきたい(八島)