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イオン吉田社長「ツルハ・ウエルシアのシナジーはスケールだけではない、社会課題の解決に貢献できる」<ツルハ・ウエルシア、経営統合へ>

イオンの取締役兼代表執行役社長・吉田昭夫氏

2月28日、ツルハHDとウエルシアHDの経営統合、その後のツルハHDのイオンの連結子会社化が発表された記者会見で、イオンの取締役兼代表執行役社長・吉田昭夫氏は以下を語った。2兆円規模のドラッグストア連合体の誕生についての見解でもある。(以下、吉田社長のコメント)

少子高齢化による健康サービスへのニーズがさらに高まっていく昨今だが、今回の資本業務提携は強いパートナーシップに基づきドラッグストアの連合体を創成し、既存の枠組みの成長にとどまらず、ヘルス&ウエルネスに関わる新たな事業を作っていく。健康社会をリードしていく企業になるという大きな志とビジョンに、3社が共鳴したものだ。

ツルハHDとイオンはこれまでも縁があり、1995年に双方の当時の経営トップが各々の持っている力を結集してスーパードラッグストアの真のナショナルチェーン構築を目指し、業務資本提携をしたことに合意したことが始まりだ。ウエルシアHDは2000年に業務資本提携に始まり、2014年には日本一のドラッグストアチェーン構想の実現に向け、イオンの子会社になった。ウエルシアHDはイオングループのヘルス&ウエルネスの中心的存在として順調に業績を拡大し、現在では業界を牽引する企業に成長した。

ドラッグストア業界においては、旺盛な出店とラインロビング、インバウンドの取り込みによって、売り上げシェア・規模の拡大に成功してきた。だが昨今、ドラッグストア業界を取り巻く経営環境が大きく変化している。出店競争による出店余地の減少、競合との価格競争の激化、薬価も継続的に引き下げられている。ドラッグストア業界は成長期を経て、成熟期、やや低成長期に入っているものと認識している。

他方で高齢化による健康に関わるニーズは高まっている。少子高齢化の進展によって、現行の社会保障制度は維持についても課題になっており、公的保険外のサービスのマーケット拡大も見込まれる。いわゆる健康寿命を伸ばすことを目的とするサービスのウエイトが上がってくるだろう。こうした環境を鑑みて、今日健康社会を実現していくことにどこまで積極的に関与していけるかがドラッグストア業界で重要なことだと考えている。

私たちは(資本業務提携と経営統合によって)スケールメリットの獲得や、介護・ヘルスケア領域の進出などによって企業としての競争力を得るためではなく、健康に関わる社会課題の解決にこれまで以上に貢献できると考えている。手の届く価格でヘルス&ウエルネスに関わる商品・サービスが全国どこにいても手に入るようにすること、医療・健康、ヘルス&ウエルネスのサービスを都市部と地方関係なく享受できる社会を実現すること。こうした社会課題の解決に貢献できる存在意義のある企業に我々はなりたい。

今後、経営統合の実現により国内で最も大きなスケールメリットを獲得することになる。今後の成長により、中期的には日本の企業としてアジアで存在感のある企業となり、海外においても、地域生活者により高いレベルのヘルス&ウエルネスの実現に向けて積極的に関与していくことを視野に入れている。

両社のシナジーについては、ツルハHDとウエルシアHDはエリアで補完関係にある。お互いに統合の効果が得やすい関係だ。ツルハHDは北海道、東北、中四国、九州に店舗密度が高く、ウエルシアHDは関東と関西に高い。エリアの補完性がある。言うまでもなく、統合により規模のエコノミクスの創造にもなる。両社の規模だけではなく、イオングループのリソース、すなわち食品などの商品調達力、物流機能、カード決済、ポイントシステム、PB商品の開発力を併せて活用することで、さらにシナジーを生み出していければと考えている。

今回の経営統合は、端的に言うとツルハHDはイオンの持分法適用会社となることを予定している。そのためにオアシスから13.6%のツルハHD株を買い取ることと、独禁法クリアランスを取得することを予定している。

次にツルハHDとウエルシアHDの経営統合を行う。具体的な方法としては、株式交換により、ウエルシアHDをツルハHDの完全子会社とする。今回の目標を達成するためのより良い方法がある場合、3社合意のうえ、その他の方法を取り入れる。

経営統合を完了の後に、ツルハHDはイオンの完全子会社となり、イオングループにおけるヘルス&ウエルネス事業を担う中核子会社になる。ここで働く従業員、特に若い人材が将来にわたって健康社会を自ら作り上げていく、そういったことに夢を持てる会社に成長していくことに期待をしている。

今回の経営統合については3社が対等の立場で十分に協議の上、慎重かつ迅速に進めていきたいと考えている。