16年連続青汁メーカー売上げ1位の山本漢方製薬の山本 整代表取締役社長が、グミサプリ市場に参入することを明らかにした。すでにグミ専用の製造設備を導入済で、竣工次第に3アイテムがドラッグストア店頭にデビューする。創業49年になる同社では、医薬品、健康食品、健康茶、機能性表示食品などを開発・普及に取り組んできたが、国民の間に高まるヘルスケアニーズを踏まえ、兼ねてからグルーバルで毎年10%の販売増が見込まれているグミサプリ市場への挑戦を計画していた。山本社長は、「変化する健康ニーズに合わせてグミのサプリ市場創造にチャレンジするとともに、さらに既存商品の拡販体制を強化し、販売店様の利益となる商品を提供していきたい」と来年の創業50周年への意気込みを語っている。(流通ジャーナリスト・山本武道)
2024年1年間の状況
―― 1977年2月に創業してから今年で49年目。毎年、新しい利益商品を開発し全国のドラッグストアや薬局などのルートへ提供していますが、この1年間はどのような状況でしたか?
山本整社長(以下、山本社長):大麦若葉青汁をはじめ200種類を超えるバリエーションのおいしい健康茶・民間茶、そして製薬会社ならではのノウハウを生かしたセンナ・センブリ、ヨクイニンなどの医薬品に至るまで、様々な商品を販売店様に提供してきました。
とくに主力商品の『大麦若葉粉末』は、16年連続で青汁メーカー売上げ1位の実績を続ける大ヒット商品となった背景には、中間流通業様と販売店様のご協力、タレントの原田龍二さんを起用したCM、原田夫人も登場していただいたご夫婦のユニークなCMの放映があります。
そして健康食品では、『乳酸菌大麦若葉』、『30種類の国産野菜&スーパーフード』、さらには機能性表示食品分野では日清オイリオ様と出会い共同開発した『MCT大麦若葉粉末』に加えて『桑の葉若葉粉末青汁』のCMを放映しており、いずれも製品の売上げに大きく貢献しました。
医薬品部門では、モナリザのCMによって愛用者が増えている『ヨクイニンはとむぎ錠』は、イボ・肌荒れに効果がありますので、一度購入された方はリピートしていただいており、しかも高齢者にも飲みやすくした「顆粒タイプ」を発売してから、売上げはさらに急上昇し、今もなお好調に推移しています。
―― 毎年、国民の健康づくりに貢献する画期的な商品を相次いで開発され、販売店へ提供されていますが、2025年は、どのような新しい市場への参入を計画されていますか?
山本社長:昨年、完成した10番目の工場を通じ、今年も販売店様の利益商品を開発して提供させていただく計画を進めておりますが、その一つに、毎年、市場拡大が見込まれているグミのサプリメント市場へ挑戦することにしました。
10年以上前から、アメリカに店舗視察に行った際、グミのサプリメント市場が広がっていることに興味をもち、個人的には好きではないグミに興味を持ちました。
日本国内にグミのサプリを製造する工場が少ないこともあって、当社としては初めての参入になりますが、第10工場内の専用設備に、健康食品・サプリメント系グミへの活路を拓くために、ドイツ・シンテゴンテクノロジー社のコンスターチを使わないグミ成型を導入しました。専用設備が竣工次第に、ドラッグストアや薬局などに向けてデビューします。
なぜ今、グミサプリなのでしょうか?
――初の参入になりましたが、なぜ今、グミサプリなのでしょうか?
山本社長:これまで国内外の展示会には、機会あるごとに参加してきました。展示会の視察は、新しい商品を開発するためにも欠かせません。つい最近も、当社のスタッフとともにアメリカの展示会を粒さに見て回りましたが、国民皆保険下にないためセルフケア意識の高いアメリカ国民は、積極的に健康食品やサプリメントを愛用しています。中でもサプリ系グミ市場はグローバルで毎年、10%の販売増が予想されていることに着眼しました。
米国の業界専門誌のNBJによりますと、2021年度のサプリメントマーケットの剤型で一番多く使われているのがグミで、すでに錠剤を抜いたそうです。アメリカにおけるサプリ系グミには、子供向け、美容系、睡眠補助(メラトニン)、便秘改善、免疫機能維持、CBDなどの製品がありますが、形態はボトル、セイフティキャップが採用されていて、サプリメント、医薬品メーカー、流通やベンチャー企業の参入が相次いでいます。
ビタミン系のターゲットは子供で、美容系や便秘改善などの商品群、メラトニンやCBDは、ほとんどがベンチャー企業でした。
――デビューする3アイテムは、2月に開催されたアルフレッサ ヘルスケア主催の「2025ライフサポートフェア」で来場者に紹介されましたが…。
山本社長:デビューするグミのサプリの一つ目は、忙しく食事が乱れがちな時など、摂りきれないビタミンをグミで気軽に摂ることができる『1日分のビタミングミ』、二つ目が、リンパ球の循環を改善することで、“むくみ”を解消する効果があるとされている『ヒハツグミ』、三つ目には国産オーガニック大麦若葉を使用。青汁ドラッグストア売上げNO.1が作る栄養満点の『大麦若葉グミ』です。
会場では、来場者にはグミのサプリの食感を味わっていただきましたが、評判はとても良かったですね。サプリメントの剤型といえば錠剤タイプが多く、水とともに飲まなければなりませんが、グミは水なしで食べられますので、多くの方々に愛用していただけるのではないかと確信しております。
様々な製品を開発する我々も、実際に開発した商品を愛用してきました。近くデビューするグミのサプリですが、私自身も寝る前にグミを愛用しています。食感がよく手軽に噛むことができるのが良いと思っています。CMは今のところ計画していませんが、別の販促展開を考えています。
この3品目のうち『ヒハツグミ』は、その成分の機能性に注目し研究を進め、機能性表示食品として申請する予定です。時節柄、時間はかかるとは思いますが、グミサプリ市場を広げたいという思いがあって、あえて当社では挑戦していきます。
『にじさんじ』とコラボし大麦若葉のプロモーション実施
――展示会場の一画に、「にじさんじ×山本漢方製薬 コラボ配信決定!」と表示されたポスターが掲示されていました。ユニークな企画ですね。
山本社長:たまたま私の知人から紹介されました。「にじさんじ」とは、ANYCOLOR株式会社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループが、当社の商品をレシピに使ったり、いろいろやってくれるというものです。
現在、所属タレントであるライバー数は152人(2024年9月時点)、グループチャンネル登録者合計5800万人以上(2024年4月時点)、グループ再生回数36億8000万回/年(2023年5月〜2024年4月)の「にじさんじ」のフアン層に向けて、大麦若葉のプロモーションを実施することにより、商品認知度の向上、若年層の顧客獲得、周辺商品の売上げ向上が期待できます。
「にじさんじ」の視聴者は、全国18〜34歳の男女を中心に熱狂的なフアンが多く、当社とのコラボでは、具体的にはライバーによるアレンジレシピ試食会、野菜摂取度を30秒で計測できるベジミルによる野菜不足チェックといった企画が想定され、起用ライバーのバーチャルライバーグループが、YouTubeで4月19日(土)20時に配信します。
来年の創業50年に向けた取り組みと今後は?
―― 来年の創業50年に向けて、現在、いろいろと準備されていることでしょう。具体的には、どのような戦略を展開されますか?
山本社長:創業半世紀、50年までに、いろいろと計画し実行していく予定ですが、グミのサプリ市場への参入は、アメリカの視察で売れ行きが好調なことを知っていましたから、やりたかったし、工場を拡大し第10工場内への設備が整ってきましたので、ここはチャンスなので取り組みを決めました。
アメリカで売れる剤型としては、食に近いグミに人気があり、サプリメントを抜いたということでしたから、当社はこれまで味を追求し、食品に近い形態の製品を作ってきましたので、国民の皆様の健康ニーズを踏まえ開発したグミのサプリの市場創造と拡大を見込んでいます。
「にじさんじ」とコラボしたのは、若い世代を取り込んで、青汁市場をさらに拡大していこうという思いがあるからです。何しろグループチャンネル登録者数、1年間の再生回数も桁外れですし、視聴者も18歳から34歳が中心ですから、若い人たちが「青汁を飲んでいる」と言い出したらと思うと期待感は、ものすごく高まります。
青汁ですが、今年も16年連続でメーカー売上げ1位を獲得し、『大麦若葉粉末』では原田さんのCMをはじめ、『乳酸菌大麦若葉』、『30種類の国産野菜&スーパーフード』、『MCT大麦若葉粉末』、『桑の葉若葉粉末青汁』のCMも引き続き放映していきます。
それに今年は、大阪で万博が開催されます。そこで当社では、世界中から来日する多くの観光客に向けて、大阪市内の戎橋の一画に万博の期間中(6月から6か月間)、17m×52mサイズの大きな看板で、当社の社名と青汁を認知していただこうと思っています。
機能性表示食品については、現状、3品目で、2025年度はさらに増やしていく予定です。ですが、最近はなかなか申請しても許可が下りないというのが実感ですが、厳しくなる中であえて機能性表示食品を出す意義は大きく、市場は拡大を続けています。だからこそ当社は、今もこれからも、機能性表示食品開発に期待しています。50年に向けた当社の取り組みに、ご注目ください。
<記者の眼>
来年の創業50年に向けて走り出した山本漢方製薬。陣頭指揮にあたる山本 整社長とは、様々な展示会でお会いする。つい最近、都内で行われたアルフレッサヘルスケア主催のライフサポートフェアでは、デビュー間近いグミサプリを、ドラッグストアの経営者らに紹介されていた。このグミサプリ、アメリカでの需要は増えており、様々なタイプの商品が開発され販売されている実情を見てきた山本社長は、日本国内での市場拡大を見据えて参入を決めた。
愛知県小牧空港(県営名古屋空港)からタクシーで5分ほどの地に、山本漢方製薬の工場が立ち並ぶ。現在10か所。ここから医薬品、漢方薬、健康食品、機能性表示食品、健康茶等々が製造され、中間流通業を通じ全国のドラッグストアや薬局などに配荷される。
同社にとって初めて参入するグミサプリは、昨年、完成した第10工場内に専用の製造設備の建設が進められていた。山本社長自らグミサプリの製造設備の現場にお連れいただき、出来上がるまでの工程をご説明いただいた。設備が竣工すれば、どの程度の完成製品がベルトコンベアで運ばれてくることは聞きそびれてしまったが、「健康食品・サプリメントグミへの活路を開拓するために、変化する国民の健康ニーズに合わせてグミのサプリの開発に挑戦しましたが、CMの放映は今のところ考えていない」(山本社長)という。
ただ山本社長には、「グミのサプリは若い世代にも認知させたい」という考えがあり、4月19日20時から「にじさんじ」(グループチャンネル登録者5800万人、グループ総再生回数36億8000万回/年)の若い世代(18歳〜34歳)の視聴者に向けた大麦若葉のSP活動がYouTubeで配信される活動が“起爆剤”となって、グミサプリへの波及効果も期待している。
インスタグラムで、様々な活動を配信する山本漢方製薬ならではの「にじさんじ」とのコラボ。初めての試みではあるものの、ヤング世代の間に大麦若葉の愛用者を増やし、さらにグミサプリへの関心が高まる絶好のチャンスではないだろうか。