薬系卸の大木ヘルスケアホールディングスは2月6日、7日に東京流通センターで開催される「2024 OHKI春夏用カテゴリー提案商談会」について、メディア関係者に向けた事業部による事前説明会を実施した。大木が得意とするカテゴリー「医薬品」「健康食品」「コスメ&バラエティ」など各カテゴリーの見どころが披露された。【前編】(医薬品、健康食品、C&V)
「医薬品」事業部では6つの提案を軸に展開。カテゴリーを細分化した上で、創造的な提案を行う。
第一に、再びインバウンドに向けた医薬品需要の掘り起こしを行う。コロナ禍以前の2019年に売れたものとは違った需要が生まれている。当時は中国を中心に日本の『神薬』と呼ばれ好評だった市販薬を、今度は『新神薬』として発信する。
現在の「医薬品」のインバウンド需要は、より高単価で効き目のあるものを求められおり、こうした市場の変化に対応して新しい商品を展開する。
『新神薬』の一例として、中国で「日本軟膏」と呼ばれ人気が高まっている皮膚疾患治療薬「リンデロン」(シオノギヘルスケア)、店頭販促物のイメージ戦略が響いている角質剥離剤「イボコロリ」(横山製薬)や、スマホ疲れなどに対応する点眼液「サンテメディカルプラス12」(参天製薬)、また例えば「ビタミンC」などは〝肌の抗酸化作用〟といった新たな需要の切り口を生み出し「神薬」を再定義する。
第二に、好評を博している「推し活×医薬品」の販促物を充実させ、推し活の時に役立つ商品を取りそろえる。ポイントはどんな推し活をするときに商品が活躍するか、を具体的に掲示することだ。
コンサートを見に行く人は、〝推し〟をよりはっきりくっきり目に焼き付けたいため、当日でもアイケア商品を購入する傾向にある。店舗の成功例ではイベント当日のブルーベリー含有商品の売り上げが5倍になったこともあるという。当日も売り上げに影響する。
またアイドルやグループを応援する人は〝推し〟のイメージカラーを好み、商品選択でも「何色か」にこだわる傾向にある。そこで効果効能や風味とは別に、商品パッケージのカラーを意識した提案を披露する。
第三に「販売体験をアップグレード~メーカー様お取組み紹介~」を行い、生活者と企業との新たなコミュニケーションツールを紹介する。
養命酒製造のコミュニケーションの実例では、長野県駒ケ根市で行っている「養命酒」工場見学を通じ「行ってよかった」というロイヤルカスタマー育成に役立ってることを説明。体験を通じて認知度向上とファンを増やすメーカーの提案を整理し、情報共有し発信する。
第四の「体験型医薬品」では、見る・触る・聞く・においをかぐなど、感覚的マーケティングを医薬品売場にプラスする。
第五に「パーソナル診断で自分に合ったお薬を」提案する。
若い世代に流行している自己診断ツール「MBTI診断」を提案の導入に盛り込み、〝失敗しない買い物〟をアピールする。悩みの個人差に気付きを与え、パーソナル化した医薬品提案を実施する。
第六に「実は多い天気痛(気象病)」の紹介。梅雨や台風の際、気圧の変化で起こる不調に応じたカテゴリーを創り上げる。
気圧の変化に対し「頭痛の予測をするアプリ」を提案し、事前に準備していく啓発を行ったうえで既存製品の活躍を拡げていく。
「健康食品」事業部では、大木の考える「病気にならないようにするだけでなく、健康なうちにもっと健康になる」という健康食品カテゴリーに対する考え方を、各商品に付与していく。
中高年に差し掛かってから健康を気にするのではなく、「若いうちから〝健康ステージ〟を高めていき、少しでも健康な細胞を維持していく」という発想だ。
具体的な提案として第一に「野菜不足」の啓発から「青汁」による対応を推進する。
昨今の気候変動や日本経済の変化を受け、高騰する野菜の価格に対して青汁で対応する人が増えている。大木の調べでは、年間の野菜価格の変動と、青汁の関係性を見ると、野菜が高騰した時に青汁需要が伸びる傾向にあるようだ。
今年は暖冬で野菜が安いが、夏の猛暑や気温の変動要因など不安要素はまだまだ続くと考えられ、「青汁」の需要伸長を見据えた先回り提案を実施する。
「青汁」単体の需要喚起と並行して、ビタミン、ミネラル、食物繊維といったサプリとクロスした棚提案も行っていく。
第二に、富士フイルムヘルスケアラボラトリーの機能性表示食品「メタバリア」が3月にリニューアルするのに対し、新規関与成分の「6-パラドール」が加わり、機能性の幅が広がったことを店頭で後押しする。
第三に「インバウンドニーズに対応した商品の提案」、第四に「たんぱく質の摂取方法」の幅を広げる提案を行い、たんぱく質摂取の重要性を伝えたうえで、食事ではたんぱく質と同時に余分な脂質やカロリーをとりすぎてしまうことから、プロテインの活用を促進する。
第五に「アミノ酸はプロテイン売場、スポーツ売場にあるのはなぜ?」という切り口から
アミノ酸とプロテインを目的別で提案。健康維持、スポーツ時、ダイエットなど生活者が選びやすい棚を紹介する。
第六にツルハHDの実例を軸にした「管理栄養士の活躍vol2」。ツルハグループ店舗では管理栄養士が〝名乗り接客〟を行っており、栄養相談から健康食品の推売に成功している。ツルハの事例を基に、チェーンストアとしてばらつきのない健康提案のシステムを紹介。
管理栄養士による商品提案を強化する、メーカーによるセミナーの模様も披露する。
第七の「健康食品からのフェムケア提案」では「サンファイバー」(太陽化学)を実際に大木社員が体感した模様をレポートする。
第八に「大木とメーカーの協業実例」での「ロートV5」(ロート)のアイケアサプリ提案を紹介する。大木の提案方法で出荷実績が伸長した機能性表示食品「ロートV5」の成功実例プロセスを紹介し、店頭活性化へと導く。
「C&V(コスメ&バラエティ)」事業部では、入口提案で美容情報ツール「C&Vタイムス」を紹介し、情報発信ツールによるメルマガ会員の獲得までの実績を示す。
「C&V」カテゴリーでは以前よりSNSで「フェムケア」の情報発信を行ってきた。引き続き、女性の悩みを「あるある」と感じてもらえるような共感力を武器にした訴求を行う。
店頭の「フェムケアカテゴリーの導入」を支援するため、フェムケアの店頭POSを上げるための対策として、「大木の進めるフェムケア活動」の概念を軸に、生活者と製品を〝つなぐ〟テーマで展開を行う。
具体的には、女性のライフステージを4つに分けて訴求を行う。
第一に、中高生を「はじめて世代」と定義し、女性の一生に対し包括的な知識を提供し、中高生本人はもちろん親世代にもアプローチする。
第二の情報感度が高い世代「おとなになりたて世代」は、情報リテラシーをSNS発信で引き上げる。
第三は出産後から更年期前の世代を「戸惑い世代」と定義し、店頭対応可能なセルフケアを提案する。
第四は更年期世代を「ゆらぎ世代」とし、更年期に起こりうる心身の諸問題に対し「温めることであらゆる不調を改善できるのでは」と包括的な「温め」訴求を展開する。
美容分野では「美容サロンの単価が高くなったことで、店頭で代替品を探す傾向にある」ことに着目し、エビデンスある化粧品と、スキンケアのニーズに応需する。
また、タイパ(タイムパフォーマンス)、コスパ(コストフォーマンス)、スペパ(スペースパフォーマンス)をテーマとした店頭活性化策を披露。例えば、限られたスキンケア棚のスペースで、オールインワンタイプを取りそろえる、といったスペパ対策のヒントが示される。