医薬品小売業最大協業グループのオールジャパンドラッグ(AJD)は、加盟社に利益商品を提供する商品フェア(2024年春・夏)を開催し、新たに参加した35社を含む231社が自社製品をアピールし販売合戦が繰り広げられた。1日の買上額が前年度同期比10%増の180億2,454万円に達し、加盟社の買上高は37億2,474万円のコスモス薬品をはじめ、カワチ薬品、クリエイトSD、キリン堂の順。この4社の買上げ合計金額が152億8,112万円(前年比10%増)、総買上高総額の64%を占めている。(流通ジャーナリスト・山本武道)
2022年から2024年度までの3年間における上位10社の商品フェア(春・夏)の買上額の推移は表1(*表2は2022年から2023年の秋・冬の商品フェア買上げ上位10社の実績)の通りで、総買上げ金額前年比でクスリのサンロードが147%、次いで新生堂薬局が130%アップした。
定番(PB)商品買上げ賞はキリン堂2億4,000万円、千葉薬品1億8,000万円、コスモス薬品1億7,674万円が上位スリー、同商品の前年比アップ賞にカワチ薬品(296%)、AJDおすすめ選定品納入実績アップ賞に、千葉薬品が薬用育毛トニック『アキュレ』(153%)と汗とりパット『ベージュ・ホワイト』(122%)、クスリのサンロードが管理栄養士おすすめ『種抜きプルーン・レーズン』(200%)、サンキュードラッグが『しっとりメイク落とし』(800%)で受賞。
出展企業では、定番(PB)商品売上前年比アップ賞に和泉薬品工業株式会社が442%、総売上前年比アップ1位に味の素AGF株式会社が282 %、さらに大木の展示コーナーがアカデミック賞を受賞、同社の松井秀夫代表取締役会長が登壇し賞状を受け取った。
会場では、AJDとの共催による『冬場も売れる殺虫用品の販売コンクール』の告知、“おくすり屋さん”ブランドのとろみ調整食品、“管理栄養士おすすめ”ブランドのスナックやクルミ、ビタミンC配合のマスク、山本漢方製薬株式会社の大麦若葉青汁など上期選定キャンペーン商品が注目を集めていた。
今回から新規出展した企業では、キリンビバレッジ株式会社が株式会社ファンケルのロングセラー食事サポートブランド『カロリミット』とコラボした〝難消化性デキストリンの働きで食事の糖や脂肪の吸収を抑える〟機能性表示食品『カロリミット アップルスパーリング』、ダイエットに関心のある30〜40代の男女を対象とした機能性表示食品『カロリミット ブレンド茶』、押し麦の機能性表示食品を紹介したのは株式会社はくばく、自動販売機専用だったドリンクをドラッグストアに向けて拡販をはじめたポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社、さらに新型コロナウイルス唾液抗体検査キットを訴求したのはシミックソリューションズ株式会社。唾液を採取し15分待つだけで結果がわかるキットで、ドラッグストア業界に向けて普及する予定だ。
AJD加盟社に利益商品を提供してきた商品フェアの次回(秋・冬)の開催は、7月18日(木)に大阪市内のホテルニューオータニ大阪で予定されている。
<取材を終えて>
AJD二代目本部長の平野清治さんのご子息で、親子2代の本部長として活躍する平野健二さんと久しぶりに商品フェアでお会いした。相変わらずドラッグストアの経営理論は実践に基づいているだけに鋭い。かつてドラッグストアは郊外型が多かったが、高齢者人口の増大と核家族化によってドライバーライセンスを返上するケースが増えてきた中、出店立地は大きく変わってきた。
ではどうするか。平野健二本部長は、「人口が減少し高齢化による市場の縮小を見据え、生活者に近い場所にあるドラッグストアは最大の来店目的となる。目的とは価格の安さだけでなく、自分にとっていかに価値のある商品を見出すかにあり、そのための商品開発、共同による取り組みが重要だ」と話しており、利益の要となるPB商品のシェアを高める必要性も指摘する。
この1年間に、どのようなPB商品がデビューし販売事例ノウハウを共有し、さらに実績をアップさせるだろうか。共同販売機構として54年の歴史を続けてきたAJDにとって、年2回開催される商品フェアは加盟社の発展への大きなキーワードだ。
創設55年に向けてAJDは、“未来を我が手に 核心・確信・革新”をスローガンに、平野本部長は「AJDは何のためにあり、何を目指すのか」と加盟社に呼びかけている。物販も調剤も医療と介護も武器とした差別化へチャレンジして、さらなる成功への道を進んで欲しい。