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Hoitto!的 アメリカ視察レポート③
ナチュラル・オーガニックスーパーにみる食のトレンド
注目のEREWHONほかを視察

健康産業先進国のアメリカはすなわち、健康に資する食の最新トレンドを体感できる国である。ことにスーパーマーケットは胃袋を満たすのみならず、「国民の健康増進に貢献する」という使命感を持った企業が多数存在している。「Hoitto!的アメリカ視察レポート」の第3弾は、サラヤの米国視察チームの協力で実現した、ロサンゼルス近郊のオーガニックスーパーのレポートをお届けする。視察した店舗はいずれもサラヤの「LAKANTO」を定番売場で販売しており、JAPAN品質の自然派食品が同国で評価されていることが窺えた。(取材と文=八島 充)

日本と関係浅からぬ大注目の店舗
         ――EREWHON

EREWHON(エレウォン)は西海岸で最も注目を集めているスーパーの1つ。創業者は久司道夫氏という日本人で、食べ物で病気を改善する「食養」の概念に東洋哲学を加えた「マクロビオティック」を米国に広めた人物である。氏が1966年にボストンに出店した自然食品店の名は「natural food erewhon」で、以後「natural food」という言葉が世界中に広まっている。

オーナーが代わりロサンゼルスで多店舗化を始めたのは2011年以降で、2018年当時4店だった店舗網は9店に達していた。視察の道すがら新たな看板も見つけたので、近く10店となるようだ。

いずれの店舗も富裕層が多い住宅地に位置し、セレブ御用達のスーパーとして認知されている。最近ではインフルエンサーの宣伝効果もあり、健康志向の若者の聖地になっている。

素材・原料への強いこだわりを信条とし、NON GMOやオーガニックの認証をベースに、加工品も添加物あるいは砂糖不使用の商品を優先して仕入れている。その姿勢は「健康食品における小売業の最高峰」とも称され、多くの食品メーカーの目標となっている。

取材した店舗はビバリーヒルズのふもとにある「BEVERY HILLS店」。売場はスーパーマーケットとしてはややコンパクトだが、品揃えはかなり尖っていた。食品に健康や安心・安全を求める者、あるいは信条的な理由でベジタリアンやヴィーガンの食生活を求める者にとっても、宝の山であろう。

ミネラルウォーターもここまで豊富だと選ぶのに迷う

その代わり価格は同国のチェーンの中でも高額である。1ダース14ドルの鶏卵、32オンス(946ml)のプレミアム牛乳が15ドル、ミネラルウォーターのボトルも高いもので4ドルに迫り購入者を選ぶ。

砂糖不使用のポリシーは、日配品から加工食品に至る多くの商品に反映されていた。なおEREWHONは、モンクフルーツ(羅漢果)を原料とした代替甘味料の顆粒やシロップ、ジュース類をいち早く仕入れたことでも知られている。

代替甘味料のゴールデンラインに陳列される「LAKANTO」

菓子コーナーにはLAKANTOのチョコレートが

サラヤの「LAKANTO」は、顆粒タイプのフェイスが広く取られたほか、高額なリキッドやチョコレート菓子まで、いずれも手に取りやすいゴールデンラインに陳列されていた。

マッシュルームを原料にしたサプリメントもずらり

このほか、ダイエタリーサプリメントのコーナーには、当編集部も注目するマッシュルームのサプリメントがずらりと並んでいた。日本ではブームが終わった「KOMBUCHA」も、冷ケースやエンドに大量陳列されており、市場が完全に定着していると感じた。プロテイン類も、プラントベースの商品が豊富に揃っていた。

冷ケースに並ぶKOMBUCHA

プラントベースのプロテインも充実していた

青果の陳列演出はアメリカならでは!

飼育の環境にも妥協しない精肉群

生鮮コーナでは視覚に訴える陳列が目を惹き、高額なPBの肉や魚も揃う。牛肉に至っては100パーセントグラスフェッド(放牧飼育)の「和牛」も陳列されていた。要は、売場の全てにプレミアムな商品群が陳列されているのだ。

また、前述した「LAKANTO」もそうだが、EREWHONが推奨する商品は大胆にフェイスを広げている。また5年前に訪問した時よりPBが増加しており、自社ブランドの影響力が一層高まっている状況にあると感じた。

値頃感受け店舗数・売上も急成長
 ――SPROUTS FARMERS MARKET

プレミアム感の演出に振り切ったEREWHONに対し、SPROUTSはやや大衆の日常に寄り添ったスーパーマーケットという印象だ。同社の前身は1943年にサンディエゴに出店したジュース(フルーツ)スタンドだが、会社の設立は2002年とまだ若いチェーンである。直近の店舗数は全米に370店以上あり、うちカリフォルニア州に約130店が集中している。店舗の“売り”は農場直送の新鮮な野菜や果物で、訪問した「LosAngeles -VeniceBlvd店」の生鮮売場も、「FARMERS MARKET」の名にふさわしい演出が見られ、果物から穀類、菓子に至る量り売りコーナーも目を引いた。

多くの商品が複数の認証マークを印字している

日配品から加工食品に至る商品群は、PB・NBを問わずオーガニック、NON GMO、グルテンフリー、フェアトレード、コーシャ、パレオフレンドリー(旧石器時代の食生活を再現したダイエット食!)といった認証マークの印字が目立つ。

また、Natural Products Expo West 2023レポート(https://hoitto-hc.com/4145/)で触れたプラントベースフードも定番コーナーに揃っており、顧客の日常に溶け込んでいると感じた。

代替甘味料のコーナーは、ステビアとモンクフルーツのフェイスが同じ幅でつくられていた。モンクフルーツはほぼ「LAKANTO」で占められ、プラントベースを強調する値札で売り出し中だった。

値頃感の訴求が徐々に進行
  ――WHOLE FOODS Market

アマゾンロッカーの設置が進むWHOLE FOODSの店舗

WHOLE FOODSの創業は1980年で、オーガニックのスーパーマーケットとしては同国最大。国内店舗数は500店を超え、カナダ、イギリスにも進出している。

2017年にアマゾンの傘下となり、リアルとネットの融合が注目された。現在は店内外にアマゾンロッカーを設置するほか、プライム会員向けに無料の配送やピックアップといったサービスも導入している。段階的に価格も引き下げているそうで、かつて西海岸を代表する高級店も転換期を迎えている。

またアマゾンは2020年よりレジ決済無しの直営スーパー「Amazon Fresh」の出店を開始し、直近まで33店を開設している。将来はWHOLE FOODSにもレジ決済無しのサービスが導入される可能性もあるだろう。

オーガニックをうたった日配品が並ぶ冷ケース
動物福祉監査の認証を受けた精肉群
コーシャー対応のミルクもこれだけのボリュームで売られている

ここでも「LAKANTO」は、代替甘味料の代表選手となっていた

メイプルフレーバーのLAKANTOシロップを手にするサラヤのスタッフ