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ヘルスケア・インタビュー/湧永製薬・湧永寛仁代表取締役社長に聞く
『世界の人々の健康創造―創業71年目の今とこれから』


「熟成ニンニク抽出液一筋に
国民のセルフアクティベーションをサポート」



人には様々な出会いがある。企業も同様だ。ある日の研究者との出会いによって、国民の健康創造に結びつくための新しい商品開発ストーリーの幕開けとなる。健康寿命延伸時代の到来に伴い、熟成ニンニク抽出液の研究に取り組む中で、その成分に抗老化作用があることを公表したのが、今年創業71年目になる湧永製薬だ。「信深之新を貫き、世界の人々の健康に奉仕する企業を目指したい」と語る湧永寛仁社長に、『世界の人々の健康創造―創業71年目の今とこれから』を聞いた。(取材と文◎流通ジャーナリスト・山本武道)


一人の研究者との出会いで始まった熟成ニンニク抽出液の開発ストーリー


――  1955年、湧永満之氏が湧永製薬(旧 湧永薬品)を創業して以来、なぜニンニクの研究・開発に取り組むことになったのでしょうか。

湧永 創業者 湧永満之は、常々「世の中の健康に貢献したい」という想いを持っていたと聞いております。その想いを講演会などで話していたことがきっかけとなり、ファーマコン製薬研究所のオイゲン・シュネル博士とご縁が生まれ、ニンニクの研究を始めることになりました。

当時、オイゲン・シュネル博士からは、「ニンニクは体に良いことが知られている一方、生のニンニクは胃への刺激がある。副作用を抑えながら、ニンニクの良さをさらに引き出す加工法があるはずだから、研究してみなさい」と助言をいただいたそうです。

そこから数年間の試行錯誤を繰り返した結果、辿り着いたのが「熟成」という方法でした。弊社は、治療という分野よりは、“予防”というところを目指し、さらにそこに最も適した素材として、熟成させたニンニク抽出液に辿り着いたのです。そういう意味でも、オイゲン・シュネル博士のアドバイスはとても大きかったと思います。


湧永製薬・湧永寛仁社長


――  この熟成という方法を用いた“熟成ニンニク抽出液”の研究を70年以上にわたって続けてこられました。ここまで長く、一つの素材を研究されてきたのは、どのような思いからなのでしょうか。



湧永 熟成ニンニク抽出液を開発してから、われわれは、これまで何らかの疾病の治療というよりは、体の根源的なものを強くする作用があるのではないかと研究を進めてきました。社内では熟成ニンニク抽出液のことを「基礎薬」という表現をしているのですが、体の基礎を作っていく、つまり健康の基礎を作っていくことが、この熟成ニンニク抽出液の本質であるという仮説は、長年の研究を通じて持ち続けてきたものです。

一方で、どれだけわれわれがそう信じていても、そこにエビデンスがなければ、あくまで仮説であり、イメージという形でしか残りません。だからこそ、長年の研究に終わりはなく、むしろこれまで考えてきたことを科学的に証明し続けていくことが、われわれの役割だと考えています。

最近ではS1PC®に関する抗老化作用の研究においても、これまで考えてきたことを裏付けるような成果が得られ、長年抱いてきた仮説がエビデンスとなって確信へと変わっていくような感覚でした。


抗老化研究で第一人者との出会い


――  つい最近、熟成ニンニク抽出液の成分であるS1PC®について、抗老化作用を示す研究成果が得られ、その論文が世界的科学雑誌『Cell Metabolism』に掲載されました。この研究は、どのような経緯で始まったのでしょうか。また、今井代表理事との出会いについてもお聞かせください。

湧永 2019年の後半に、熟成ニンニク抽出液中に含まれるSIPC®️という成分が、老化と関係している可能性があるという報告を研究部門から受けました。その報告を聞いた時には、抗老化という、ある意味、生命の根源的な部分に作用する可能性があることを嬉しく思いました。

そこから抗老化作用について2年間研究を進めましたが、質の高い研究を行おうとすると、自社だけで進めることは非常に難易度が高く、より最先端な知見や経験値が必要であると判断しました。そこで、抗老化研究の世界的第一人者であり、一般社団法人プロダクティブ・エイジング研究機構(IRPA)代表理事である今井眞一郎代表との共同研究を検討し始めました。

今井代表のご経歴を拝見したところ、私と同じ慶應義塾大学のご出身であることが分かりましたので、共通の知人を探しコンタクトを取り、われわれの研究成果を見ていただいたところ、「これはすごい」と評価してくださって、2022年の夏頃から共同研究が始まりました。この出会いは、紛れもなく、創業当時から研究を深めてきたからであり、これらの積み重ねが共同研究に繋がったと感じております。

その後、弊社の研究グループとIRPAの共同研究により、S1PC®️が加齢に伴う骨格筋機能の低下を制御することを世界で初めて発見し、その成果が世界的科学雑誌『Cell Metabolism』に掲載されました。その内容をマスコミの方々に公表しました。(関連記事:2026年5月12日付のHoittoヘルスケアビジネス所載➡️https://hoitto-hc.com/24336/)

私は、共同研究の成果が世界的科学雑誌に掲載したことについて、マスコミの皆様に「人類が昔から探し求めてきた方法に対する一つの回答となります。人の生命体は加齢とともに必ず老化していきます。年を追うことに体の弱りを感じてしまう人類への明確な答えであり、そして明るい希望をお届けできることを確信しております」と話しましたが、まさに抗老化は世界の人々の願いだと考えております。


信深之新を貫き、世界の人々の健康に奉仕する企業を目指す


――  2007年に社長に就任されてから、研究を通じて人々の健康や未来に貢献していくというお考えは、社長ご自身が大切にされている理念である「信深之新」ともつながっているのでしょうか。

湧永 これまでもお伝えしてきたように、弊社は新しい製品を生み出すことで社会にアプローチするのではなく、熟成ニンニク抽出液の研究を深め、得られたエビデンスを世の中に伝えていくことで、人々の健康に貢献していけると考えております。これは社員全員が「熟成ニンニク抽出液には絶対に効果がある」信じているからこそ、成せることだと思います。

「信深之新」とは、「信じて深めていくことで新しいことを発見する」という意味の言葉で、弊社として初めての社外取締役の任期満了時にいただいた言葉となります。「研究というものは信深之新である。湧永製薬はまさしく、その信深之新を体現している会社だということを私は感じた」とおっしゃられたのをお聞きして、これはとてもいい言葉で、弊社にもぴったりだと思いました。

今回の共同研究について発表した内容は、S1PC®の抗老化作用に焦点を当てたものでしたが、熟成ニンニク抽出液には1万以上の成分が存在しており、S1PCはその1つに過ぎません。熟成ニンニク抽出液には、まだ明らかになっていない可能性が数多く残されています。

だからこそ、これまでと変わらず熟成ニンニク抽出液を信じ、研究を深めていくことで、これまで知られていなかった新しい作用や可能性を見つけ出していきたいと考えています。それが、まさに「信深之新」という言葉であり、これからの湧永製薬が進んでいく道でもあると思っています。


1972年から諸外国へ進出


―― これからの湧永製薬が進んでいく道というお話がありましたが、その中で、海外展開についてはどのように考えておられますか。

湧永 創業当時から、湧永満之の「医薬品に国境はない」という理念のもと、海外展開を進めてまいりました。1972年に米国・ハワイ州にWakunaga of America(WOA)を設立し、ヨーロッパや欧米を中心に熟成ニンニク抽出液製品である「Kyolic(キョーリック)」を販売してきました。現在、WOAはロサンゼルスに拠点を移し、さらに事業を広げております。また、2017年にはヨーロッパでの事業拡大を目指してWakunaga of Europe(WOE)を設立しました。

1990年には、ワシントンDCで第1回国際ニンニクシンポジウムを開催し、熟成ニンニク抽出液をはじめとするニンニク研究を世界に発信する活動にも注力しております。

現在、特にベトナムで、熟成ニンニク抽出液製品を積極的に販売していただいており、日本製であることにも価値を感じていただいております。こうした海外での反応を見ると、これまで日本で培ってきた研究や製品の価値を、海外の方々にも届けていくことには大きな可能性があると感じています。

今後は東南アジアを中心に、マレーシアやタイなど、輸出をさらに活発化させ、これまで日本で培ってきたものを世界の人々の健康に役立てていきたいと考えております。


日本専門薬局同志会に期待すること


――  熟成ニンニク抽出液関連商品は、カウンセリングに長けた薬局のグループである日本専門薬局同志会(日専同)が、日々研鑽を積み販売されていますが、健康ステーションでもある薬局・薬剤師に対して、求めるものとは何かありますか?

湧永 薬局とは、医療機関との架け橋になることや、地域の健康相談所、高齢者の生活を支えることなど、色々な役割がありますが、今後、一番求められてくることとして「予防」が挙げられると考えております。日専同には、「病気になってから対応する」のではなく、病気になる前から健康を考え、支えていく「セルフアクティベーション」という考え方があります。

日専同では、そうした健康づくりをどのように地域の方々に提案していくかについて、日々ディスカッションを重ねております。そして、日専同会員の薬局は、セミナーで学びディスカッションするだけではなく、そこで得た知識や考え方を、実際に店頭で実践されています。そういった役割を担う薬局は、これからますます需要が高まってくるのではないかと考えております。

今後、日本は超高齢化社会を迎えることと予想されますが、私は高齢化が進むことが社会問題ではなく、高齢になっても元気でい続けられないことが問題の本質なのではないかと考えております。年齢を重ねても健康で、自分らしく生活を続けられる人を一人でも多く増やしていくことが、これからの社会に必要なのではないでしょうか。

熟成ニンニク抽出液は、人の身体の根源を作り、それを強くするものであると私たちは信じています。だからこそ、これまで70年以上にわたって研究を続け、そこから得られたエビデンスを世の中に伝え続けてきました。

地域の薬局や薬店が、こうした研究の成果を生活者の健康につなげ、病気になってから対処するのではなく、元気なうちから健康を考えることをサポートしていく。そのような取り組みが広がっていくことを期待しております。