オムロンとキリンホールディングスのグループ会社であるキリンビールが、安心安全な飲料の供給に向け、オムロンによるキリンテクノシステム(KTS)への出資について株式譲渡契約を締結した。キリンビールが保有するKTSの発行済み株式のうち60%をオムロンに譲渡することで、持分比率がオムロン60%、キリンビール40%となる。
近年、消費者の食品・飲料に対する安心安全への関心が高まっており、製造現場では、食品・飲料の安心安全を確保する高度な品質管理や品質検査へのニーズが拡大している。一方、製造業における人手不足の深刻化が加速しており、人に依存した工程の自動化は経営課題となっている。また、社会課題であるプラスチック使用量削減に向けては、品質不良による廃棄物削減が地球環境保全の観点でも重要視されている。従来からの課題であった生産性のさらなる向上に加え、食品・飲料に対する安心安全の担保と、プラスチックや生産エネルギー使用量の削減を通じた地球環境保全を両立するには、検査の高精度化や自動化、不良品の削減が急務となっている。
今回、オムロンがKTSへの出資に加わることで、検査データを活用した“製造業DX”ソリューションを共に開発し、食品・飲料業界の発展に貢献する。オムロンの高度な制御技術と、KTSの検査技術を融合させ、新たな提供価値(ソリューション)を共創していく。具体的には、検査データから不良となる原因を特定し対策することで、工程内不良を作らない製造現場を目指す。共創により生み出したソリューションを世界中の飲料業界のユーザーに展開することで、食品・飲料業界全体の品質改善・生産革新を促進し、不良品の削減などの地球環境保全にも貢献していく。
オムロンは、KTSへの出資を通じ、両社の強みを生かすことで、安心安全な食品・飲料の供給と、地球環境保全に向けた価値を共創し、企業価値のさらなる向上を目指す。
以下2社のコメント
オムロン株式会社 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長 辻永順太
「私たちオムロンの制御機器事業は、本年度よりスタートした長期ビジョンSF2030のもと、事業ビジョン「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」を掲げ、豊かな”医”・”食”・”住”を支える産業の持続的な発展と、人・地球の豊かさが両立した未来の社会を創造すべく事業を行っています。今回の出資は、”食”を支える食品・飲料業界の持続的な発展に貢献するための重要な位置づけになります。本出資を通じ、食品・飲料業界の生産現場で重要度が増す”キリンテクノシステムが保有する「検査機」“と、我々の価値創造コンセプト“i-Automation!”が融合することにより、提供価値を進化させ、「安心安全で充実した“食”」の実現に向けて貢献してまいります」
キリンホールディングス株式会社 常務執行役員 前原正雄SCM戦略、生産技術戦略担当
「キリンテクノシステムは、キリンビールのエンジニアリング部が、お客様の健康と安全を守る強い志で開発した光学技術をもとに事業化した、社内ベンチャーの草分け的存在で、今では国内外の数多くの食品飲料・医薬品メーカー様からの信頼を得ることができています。そして、私達キリングループが2019年からスタートした長期経営構想キリングループビジョン2027では、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しており、キリンテクノシステムはその実践のための重要な役割を担っています。今回の出資を通じ、キリンテクノシステムの提供価値を進化・拡大させ、世界のお客様の健康と安全に貢献してまいります」