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ケアマネ福田英二の徒然日誌その10〜回復過程?

2024年5月21日(火)曇りのち晴れ 対話と発展のための世界文化多様性デー


ようやく鷺宮地域包括支援センターの 1 か月が過ぎた。

過ぎてしまえばあっという間だが、正直毎日が疲労感の連続だ。朝職場に入るとやり残しの仕事や問い合わせに、それこそ息つく暇もない。昼ごはんも休憩もあったもんじゃない。気が付けば終礼が鳴っている。その1か月が過ぎた。

想像はしていたが疲労感など吹き飛んでしまうほど、とにかく「やらなければいけないこと」が多いのだ。

慣れない職員と運営の不味さを差し引いても、それほど「問題を抱えた高齢者が多い」ということであり、包括ケアが抱える課題が多いということでもある。

仕事にやりがいがあるのはいいが、よくよく冷静に考えれば、介護保険が始まって25年地域包括ケアを取り組んで20年、なぜいまだにこの混乱が続いているのか素朴な疑問が沸き上がる。「もう少し楽しく」と言っては言いすぎだが、効率よくできないものだろうか?


確かに問題を抱えた高齢者が増加しているのだろうが、そんなことはとっくの前に分かっていたことでもある。一人暮らし高齢者の増加や団塊の世代の高齢化など、関係者でなくとも知っていることである。 しかもその課題が将来的にもっと大きな問題になることも、当事者のみならず様々な分野で認識されている。

では、何もやってなかったのかと言えばその逆で、現場も担当者もそれこそ「必死に」取り組んできた。3年ごとの介護保険の改正は次々と新しい取り組みを提案して、より良い高齢者対策に取り組んできた。ついには「地域共生社会の実現」という、介護保険創設時には思いもよらない提案も出てきた。

この 10 年で認知症の高齢者数は増加した。これは診断できる医療機関が増えたこともその背景にある。 見過ごされてきた病気が早期に発見できているからだ。とすればこの混乱は、知らず知らずに通り過ぎていた課題が見えてきたということなのかもしれない。

わが看護師の大先輩ナイチンゲールはいみじくも「病気は回復過程」といった。 病気は知らず知らずのうちに進行する、病気と認識されて初めて治療が始まる、というこの回復過程の指摘はまさに現在の状況に合致している。

この混乱が少子高齢化や介護のそして、地域包括ケアシステムの 「回復過程」となることを念願する。くたびれてはいるが前向きに進んでいこう・・・