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ケアマネ福田英二の徒然日誌その6 四姉妹

2024年5月1日(水)雨 メーデー、令和はじまりの日


遠方にいる高齢の親族をお身内が世話をするのは、とても大変だ。

私も母親を亡くした時に、母の兄弟姉妹たちが高齢で駆けつけることも出来ず、母を私たち兄弟だけで看取りから葬儀までをしたことを思い出す。今回は高齢の姉の転院の場面である。

数日前から連絡が取れない、安否を確認してほしい、そんな電話がかかってきた。一人暮らしの姉を気遣っての相談から事態が動いていく。翌朝駆け付けた職員が姉を発見し、救急搬送となった。危機一髪で助かったのは幸運だったが、そこから妹たちの苦悩が始まる。

姉が田舎から東京に出て一人で暮らしている。田舎の妹たちには「都会で活躍する素晴らしい姉」と自慢の種であった。時々は田舎に帰ってきて一緒に食事をしたり、近くの神社に詣でたりと、都会の風を運んでくる姉と仲の良い姉妹だった。そんな姉が突然入院して次の病院に移るという。妹たちには憧れの大都会の様子は実際には分からない。電車の乗り方からバスの乗り換えなど、地名も住所も初めて聞くことばかりだ。


「東京に行ったこともないし、電車に乗ったこともないんです。どんなふうに行ったらいいんでしょうか?」と、悲痛な声が電話の向こうから聞こえてくる。今時そんな・・と思わずにはいられない。〇〇線で〇〇駅まで来て、〇〇線に乗り換えて・・・と一応の順路を教えるが、知っている方は簡単だが知らない人には「知らないことばかり」である。

「華のまち東京」も今や国内にありながら「外国のよう」な場所になっているのかもしれない。私は日本人なのか?それとも東京人なのか?文化とはいったいどこに行ったのか?そんなことも考えてしまう風景だった。

余談だが件の姉はその後、妹たちの住む近くの施設へ移るという。やっとこれで仲良く姉妹が故郷で暮らすことになるのかもしれない。故郷は遠きにありて・・・