高知県北川村で生産される柚子(ゆず)を使用した「ユトワ ハンドクリーム」の販売を記念して、北川村立北川中学校の生徒が東京都有楽町の東京交通会館マルシェで発売イベントを開催した。同品は、ゆずの生産地として知られる高知県北川村の村立北川中学校の生徒と、化粧品メーカーのウテナ、ドラッグストアのウエルシアが共同開発した商品。発売イベントは買い物客で賑わう11月3日(金・祝)に実施され、「ユトワ ハンドクリーム」サンプル配布はもちろん、ゆずサイダーやゆずジャムを販売。産学協同で生まれた商品アピールに多くの通行人が足を止めた。(記事・写真=中西 陽治)
「ユトワ ハンドクリーム」は、「北川村の良質なゆずを全国の人に知ってもらいたい」という北川中学校の生徒と、ウテナ、ウエルシアが共同開発した商品。本来廃棄されてしまう〝ゆずの種〟から抽出した「ゆず種子油」を潤い成分として配合している。
北川中学校の3年生がパッケージデザインから店頭POPまで考案し、ウテナが商品化し、全国のウエルシアグループで限定販売される。商品パッケージは北川中学校の生徒によるゆずの絵が採用。商品名の「ユトワ」とは〝柚子(ユズ)を永遠(トワ)に〟というメッセージが込められている。
東京交通会館マルシェにて発売記念イベントが開催され、北川中学校の生徒・教員・校長はもちろん、北川村役場担当者、ウテナ社員、ウエルシア社員が「ユトワ ハンドクリーム」をはじめとした北川村のゆず製品をアピールし、200個準備された「ユトワ ハンドクリーム」サンプルは瞬く間に配布終了となった。
イベントでは、北川村のゆずに関するクイズが出題され、回答者にサンプルが手渡された。
ゆずは果肉から果皮までを様々な用途に用いられるサステナブルな果物。その一方で〝種子〟だけは再利用されず破棄されていた。
北川村のゆずの種から良質なオイルが抽出できることを知ったウテナは、2016年からヘアケアブランド「ゆず油」に使用し、種の有効活用のみならず、北川村産ゆずのブランディング、ゆず農家支援、ふるさと教育など、北川村とともに様々な課題解決に取り組んできた。
ウエルシアはこの活動に賛同し、2021年より北川村産のゆずを使ったサワーやシャーベットを開発し販売を行っている。
2022年5月には3者による包括連携協定を締結し、商品開発や収穫支援を通じ、ゆず産業を中心とした北川村の発展に取り組んでいる。
北川中学校の西岡校長は「このプロジェクトは『北川村のファンを増やす』ために立ち上げられました。パッケージデザインやPOP作成について生徒のアイデアを採用し、普段の生活では経験できない専門的なことが学ぶことができました。商品開発を通じて、自分たちの村の魅力が何なのか、改めて考えるきっかけになったと思います」と話す。
イベントに参加した中学生徒は「『ユトワ ハンドクリーム』を作るうえで大変だったのは、〝他人の目線に立って〟どういう商品デザインにすればお客さんが買おうと思ってくれるか、という点でした。ターゲットが30代以降の女性なので、全然違う世代の気持ちになるのが大変でした」「楽しかったのは、POPのデザインです。ウエルシアさんで置いている手書きの棚POPも自分たちで考えて、どうすれば目を引くか、を考えるのはやりがいがありました。この経験を生かして次はゆず食品を考えてみたいです」と笑顔で語ってくれた。
サンプル配布に参加した来場者に話を伺ったところ「高知がゆずの生産地であることは知らなかった。私はツバキオイルよりゆずの油のほうが柑橘系の香りで好きです。アップサイクル商品が流行っていますし、今後は、人が作る気持ちのこもった商品が普通になるのかもしれませんね」「ゆずの香りに誘われてサンプリングで立ち寄ったが、柑橘系のゆずの種から油が摂れるのには驚いた。今後ハンドクリームの成分にも注目してみたい」「自分より年下の中学生が頑張って考えた、と思うと応援したくなるし、〝自分も〟という気持ちになる」と興味深くイベントを見つめていた。
ウエルシアHD執行役員で商品・物流担当の桐澤英明氏(ウエルシア薬局副社長兼商品本部長)は、「昨年実施した共同開発品第1弾の『ユトワ 洗顔石けん』は大変好評で完売となりました。特に地場の高知県では、ウエルシアグループのよどやでの販売が好調でした。地域の魅力ある産業を支える意味でも、その土地に住む方々が元気になっていただけるような商材に脚光を当てていきたいですね」と販売する立場として意志を示した。
2023年11月21日にウテナ(2019年年より開始)とウエルシア(2020年より開始)は北川村で、ゆずの収穫支援を実施。両社から総勢23名の社員が参加し、約3トンのゆず果実を収穫した。
江戸時代から続く北川村のゆず栽培は、品質の高さから国内外の評価が高い一方で、人口減少や後継者問題などの課題を抱えている。その課題解決のため、ウテナとウエルシアは包括連携協定前の2020年からゆずの収穫支援を行っている。
■ゆずの種をアップサイクル
本来捨てられるはずだった〝ゆずの種〟からオイルを抽出し、保湿成分として配合。
■乾燥を防ぎうるおいを与え、なめらかな手肌へ
「うるおいヴェール成分」として加水分解ヒアルロン酸、ハトムギ種子エキス、アロエベラ葉エキス、グリセリンを配合。
■さわやかなゆずの香り
使うたび気分がリフレッシュされるさわやかなゆずの香り
■生産地・高知県の中学生と共同開発
「北川村ゆずを全国の人に知ってもらい、村の産業に貢献したい」という想いを持った北川村立北川中学の3年生と、ウテナ、ウエルシアで共同開発。商品パッケージには生徒がステンシルで描いたゆず果実のイラスト。
価格:657円(税込参考価格)
容量:40g
販売:全国のウエルシアグループ店舗(一部除く)
※商品パッケージの7つの柚子の絵は北川中学校の7人の学生が一人一つずつ描いたデザイン