2026 年は東日本大震災から15 年、熊本地震から10 年、さらに昭和南海地震から80年の節目。こと南海トラフや首都圏直下型地震の警鐘が高まる昨今、防災に対する意識の強化が求められている。プラネットが毎月お届けする消費財や暮らしにまつわるトピックス『Fromプラネット』 の今回(第241号)は、防災対策に関する意識調査(対象4,000人)。当記事を参考に、防災を“明日は我が身”と捉えるようにしたい。
地震のほか台風や火山噴火など自然災害発生が多い日本。2025年12月8日夜の青森東方沖を震源とする地震(マグニチュード7.5・最大震度6弱)では初の後発地震発生情報が発表されたのは記憶に新しいが、豪雨や大雪といった気象災害も激甚化の傾向があることから、防災用品の備蓄を進めている人もいるだろう。そこで今回、防災対策の意識の変化などを過去3回の調査との比較を交えて結果を紹介する。
基本的なこととして、自然災害発生への不安度をたずねた結果が図表1。「とても」が3割、「やや」が半数と、合計で82.1%の人が「不安に感じる」と回答した。具体的に備えが必要と考えている自然災害としては(図表2)、88.9%の人が挙げたのが「地震」。発生が懸念されている南海トラフ地震のほか、阪神淡路や東日本といった過去の大規模地震を連想することもあってか、全地域で8~9割と他を大きく引き離した。2位は「風水害」47.4%。近年激甚化する傾向がある水害や台風に懸念を覚えてのことだろう。これと関連性のある5位「斜面災害」とともに、地域別では中国・四国と九州・沖縄で高値を示した。「雪氷災害」は全体では11.8%と4位だが、降雪量の多い北海道、東北、北陸・甲信越で4~5割程度となったのは納得である。


自宅で防災用品や生活必需品の備蓄を行っているかもたずねてみたところ(図表3)、「備蓄している」は43.6%と半数を下回った。図表1で8割強が自然災害の発生に対して不安を抱いているなか、物資の備えは不十分な面があるようだ。一方「備蓄したいが、実施できていない」が32.0%であることから、4分の3の人は備蓄意向がある、と読み取ることもできる。
「備蓄している」比率の推移をみると、今回調査が過去最低となったのは少し意外な気も…。最高だったのは2024年の48.6%で、これに2018年の47.6%が続いた。両調査はそれぞれ能登半島地震、大阪北部地震・西日本豪雨の発生直後に実施しており、大規模災害に対する備蓄意識が高まったタイミングだったとも言えよう。

防災用品などの備蓄をしている・していない理由には、どういったことがあるのか。前者について備蓄を始めたきっかけをたずねたところ(図表4)、57.9%と最も多くの人が挙げたのが「大規模災害のニュースに触れたから」。自分が住む地域以外で発生した災害でも、「明日は我が身」と考えて行動を起こしたということだろう。これに続くのが「自治体の広報や新聞・テレビ・ネットなどの情報を見聞きして」36.7%。自治体やメディアによる備蓄に関する情報発信や啓発も契機のひとつになるようだ。また、「大規模災害を自ら経験したから」も16.9%と、一定数の人が挙げていた。

片や備蓄していない理由としては、「必要だとは思っているが、まだ準備ができていないだけ」が40.3%でトップ。過去調査と比較すると、2016年は26.9%と低位だったのが、2022年に39.5%と前回比約13ポイント上昇して以降は40%台を維持している。備蓄する意思がある人は確実に増えているが、行動に移せていない、ということか。
これに続くのが「賞味期限や使用期限などの確認や買い直しが大変だから」「費用がかかるから、防災用品は価格が高いから」が各4分の1強に。特に後者は2016年以降上昇傾向にあり、今回調査も2024年より2.9ポイント向上している。2016年調査で30.9%とトップだった「面倒だから」は、2022年以降は18%前後で推移しており、意識に変化の予兆も感じられる。

具体的に防災対策で自宅に備えているものをたずねた結果が図表6。トップは「飲料水」92.4%。日常使いと備蓄を兼ねて、ペットボトルを自宅に常備している人も多いためか、2位の「非常食」82.4%と10ポイントもの大差となった。以下、「ランタン・懐中電灯・ローソク」73.5%、「ペーパー類、ウェットティッシュ」「乾電池」「マスク」も6割以上の人が挙げている。上位15項目のうち過去調査と比較可能な10項目をみると、8項目で今回が最高値を示しており備蓄意識の高まりがうかがわれる。特に2016年と比較して増加幅が大きいのは「マスク」28.7ポイント(34.0%→62.7%)、「携帯用トイレ・簡易トイレ」26.1ポイント(19.7%→45.8%)だった。

防災用物資の備蓄は、実際に災害が起きた時の心配事を反映するもの。そこで、自分が住む地域で災害が発生したときに心配なことは何かを聞いた結果が図表7となる。75.5%と4分の3の人が挙げたのが「停電」、これに4.7ポイント差で続くのが「断水」70.8%で、この2項目は他を大きく引き離しており、同じライフラインでも「ガスの供給停止」は24.0%にとどまっているのとは対照的。
時系列でみると、2018・2024年は1位「断水」、2位「停電」だったのが、今回は入れ替わっているのが興味深いところ。図表6で「飲料水」を備蓄している人が9割を超えたように、水に関しては備蓄が進んでいるほか、給水車の出動も考えられる。ただ、電気は発電機やバッテリーを非常用に備蓄しようと考えても、価格や置き場所などの点で現実的には難しい側面もありそう。5位の「トイレが使えない」は、過去2回の調査では23%台だったのが今回は17.6%に低下したのは少し意外な印象。大規模災害のたびにトイレ問題が報道されることもあり、図表6で備蓄率が大幅に向上したこととも関連していそうだ。

備蓄以外に実施している防災対策としては(図表8)、「家具の転倒防止対策」は36.7%、ローリングストックを含む「備蓄物資の定期的な見直し」は26.2%が実施していると回答。「自宅や職場周辺の防災マップ」「避難経路・避難場所」といった“確認系”の備えも2割強にのぼった。全体的に年代が上がるほど実施率は高い傾向にあるが、特に若年層と高齢層の差が大きいのが、5位の町内会活動を含む「近所づき合い」。20・30代では8.0%前後に過ぎないのが、70代以上では27.6%と実に約20ポイントの差が。定年退職後に地域活動に力を入れる人もいるだろうし、“遠くの親戚より近くの他人”という意識も背景にはありそうだ。

大規模災害発生時の情報収集手段も聞いてみました(図表9)。トップは68.9%の「テレビ」、これに「インターネットのニュースサイト」59.6%が続きました。テレビ離れが言われる昨今ですが、災害時に最新情報を得るためテレビをつけっぱなしにする人もいるでしょう。ネットニュースは外出中などに情報を得るのに重宝しますね。同じネット情報でも「SNS」と「ニュースサイト以外」は各20.9%・16.5%にとどまりましたが、前者は20・30代で各41.0%・37.5%と高位に。若年層では災害時の情報源としてSNSを活用する人が一定数いるようです。

以下は、防災のために心がけていることや体験談、役立つものなどの自由解答の結果。“災害用”をうたっていなくても、身近なもの・趣味関連のものが役立つことがあるようだ。グッズ以外にも、習慣として行っていることや非常時を想定しての行動など、さまざまな対策があることがわかる。また、必要とはわかりつつ、対策ができていないという正直な声も寄せられました。いざという時に後悔しないためにも、わが家の備えを見直したいものだ。
【わが家の・私の備え】
● 2つの河川に挟まれている地域なので、台風などで大雨の時はとても心配になる。なので、2階に非常リュックや食品、貴重品などを置いている。(女性・60代)
● 被災地では低体温症の事例が多いとネットニュースで見たので、アルミホイルとラップ、カイロを多めにストックし、防災リュックに入れている。寒さは備えで対策できることも少なくないと思う。(女性・20代)
● 旅行用に購入したウォッシュバッグやヘッドライト、モバイルバッテリーなどが意外と災害用品としても使えそうだと感じている。(女性・30代)
● 新聞紙は折ることでいろんな容器や拭きものをつくれるし、体も温められて便利なのでたくさん防災リュックに入っている。(女性・20代)
● 趣味の登山用品のヘッドランプ、ヘルメット、防寒着など災害時に役立つものも出てきそう。(男性・60代)
● オール電化にはせず、電気・ガスとエネルギー分散している。(男性・60代)
● ペットがいるので、避難所でペットが受け入れられない場合を見越して、大雨、雪、台風などの前はガソリンを満タンにする。(女性・50代)
● ベッドの下に靴のほか、冬はダウンコート、夏は着替えを置いて寝る。(女性・60代)
● 大雨で河川増水しそうなときは「川の水位情報」が見られるサイトで随時チェックしている。(女性・50代)
【被災体験者の声】
● 阪神淡路大震災の経験から、安否確認や食料調達、入浴他すべて人との助け合いで乗り越えられた。大変な中、人のありがたさを感じた。(女性・70代以上)
● 東日本大震災の経験から、特に冬の寒さ対策は常に気をつけている。電気を使わない灯油ストーブに使用する電池の確保と予備用に多めに灯油を買っている。(女性・50代)
● 連絡がとれないのが一番の不安でした。だからスマホのモバイルバッテリーは準備すべきです。ハザードマップで確認していた避難場所も川の水が氾濫して車で移動できませんでした。避難場所に行けないことも考えて食料品や飲料水は最低1日分を準備しておいた方がいいです。(女性・50代)
● 以前旅先で大雨災害に遭遇し、水の恐ろしさを体感した。水位が上がるのは異常に速いので、早め早めの避難行動をすること。旅先での災害への心構えをもつことが重要であることを忘れないようにしている。(男性・60代)
【災害に備え、訓練参加や近所づきあいも】
● いざというときに子どもが自分で何が必要なのか、どうすればいいのか分かるように、防災訓練には積極的に子どもを連れて参加している。(女性・40代)
● 住んでいるマンションで有志を募って防災勉強会が始まり参加している。(女性・50代)
● 高齢者世帯なので隣近所の人たちにいざというときは助けてもらえるように頼んでいる。(男性・70代以上)
【必要とはわかっていても…いざというときの不安も】
● 防災グッズや備蓄食品を充実させたいが、保管場所をとるしお金がかかるしで準備できていない。(女性・40代)
● 水やグッズなど一通り用意はしているが、いざという時に冷静な判断ができるかどうか不安。(女性・20代)
● 準備が必要と強く感じながら、災害が起こらないバイアスにより中途半端なままの状態が長い。このままではマズイと思っているが、常に後回しである。(男性・50代)
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「防災対策」に関する意識調査を実施。
期間:2025年12月17日~18日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
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