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医食同源から医食”農”源へ
地域創生医 桐村里紗のプラネタリーヘルス 第16回


古代中国、周王朝の頃。

医師には4つのランクがあり、王の食事の調理・管理を任される医師が最高位で、これを「食医」と言い、その次は、今の内科医にあたる「疾医(しつい)」、その次が、外科医にあたる「瘍医(ようい)」、その次が、「獣医」であったと言います。

食は、薬として人の心身の健康に影響を与えるもので、それが、今日の「医食同源」「薬食同源」と言われる考え方につながっています。

漢方薬に使用される生薬は、生姜やハトムギ、シナモンなど、食材としても使われるもの。

そう考えれば、医食同源、薬食同源という考え方は、突飛なものではなく、ごく自然に感じられます。

いつから、薬は、食とは別物になったのでしょう。

漢方薬では、1つの成分を抽出する現代医薬品と違い、原料を丸ごと使います。

その意味で、生薬は、食材と同じ、複雑な成分が絡み合いながら全体性として作用します。

一方で、現代医薬品は、全体の中から単一の成分を抽出してつくられます。

これは、食材や生薬とは全く違う作用を発揮し、単一成分が単一のターゲットにシャープに作用します。その代わり、副作用も出やすいものです。

現代医薬品が登場して以来、これと食を同じに扱ったり、比較したりすることが難しくなりました。

さらに、天然成分からの抽出であれば、同源と言えなくはないですが、化学合成であったり、最近では遺伝子組み換え技術で人工タンパク質を合成することも可能となっており、こうなると完全に同源ではなくなったといえます。

もはや、この医薬品を食と同じに扱うことは当然ながらできません。

でも、食材について、私たちは、その価値を見誤っている可能性があります。

例えば、『ネイチャー』誌に発表された、りんごの抗酸化力とビタミンCの研究では、100gの生のりんごには5・7㎎のビタミンCしか含まれていなかったにもかかわらず、ビタミンC1500㎎に相当する抗酸化力があったと明らかになっています。

ビタミンCだけにフォーカスすると、りんごには大した量入っていません。

でも、生のりんごには、ビタミンC以外にも、抗酸化活性を持つ多くの成分が含まれ、それらが全体で協力し合って働くことで、ビタミンCの量以上に高い作用が得られたと考えられています。

※Nature.2000 Jun 22;405(6789):903-4.

多様な成分が全体で作用する食材を、単一の成分が効果を発揮する医薬品と同じスケールで評価してきたから、そのポテンシャルを過小評価してしまったとは考えられないでしょうか?

私たちは、多様な要素が絡み合う全体がどう振る舞うのか、今のところ正しく評価することができていません。

食材に含まれる多様な成分、腸内環境を構成する多様な腸内細菌、人の体内の多様なホルモンや情報伝達物質など、高度な解析で細部まで明らかにしても、こうした要素が絡み合った全体の働きについては、正直なところよく分かっていないのです。

リダクショニズムからホーリズムへ。

部分から全体へ。

これまで、局所に向けていた意識を、多様な要素が絡み合う全体性に広げていくこと。

これは、今、転換点を迎えている私たちに必要な視座なのではないかと思います。

次世代の科学、技術は、この視座から生まれるのではないでしょうか。

プラネタリーヘルスは、こうした視座から生まれたヘルスケア概念です。

分断された世界を繋ぎ直し、全体を捉え直してみる。

そのためにまず、医と食からさらに、「農」をつなげて、「医食農源」をテーマにディスカッションを始め、実践していきたいと思います。


https://planetaryhealth-initiative.peatix.com/?fbclid=IwAR3QP5UzeRCoi0Ys8mBCkZybfGp4uc7qlxLxQsxY1nbb-rrYOPjnU8AUPkg

第1部
基調講演 桐村里紗(PHI代表)
「プラネタリーヘルスと世界における日本の役割」
 〜人口最少県人口最少町から世界へ〜

特別講演
横山和成(立正大学地球環境科学部特任教授)
「微生物が奏でるシンフォニー」

第2部
パネルディスカッション「医食農源〜微生物がつなぐ人と地球」
プラネタリーヘルス・アクション宣言
<パネリスト>
・プラネタリーヘルス:桐村里紗
・医:田中善(医療法人仁善会理事長)
・農:横山和成
・食:丹羽真清(一社:食と農の生命科学研究会代表理事)
・ファシリテーター:佐藤洋一郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)

第3部
交流・懇親会(会費制・名刺交換会)


申し込み:peatix (https://planetaryhealth-initiative.peatix.com/ )

日 時:2024年3月3日(日) 13:00~16:30 (開場:12:30)
会 場:日比谷図書文化館(大ホール)zoomウェビナーオンライン同時配信
定 員:180名(会場出席:定員になり次第締め切り)WEB参加(500名)
主 催:公益財団法人日本ヘルスケア協会プラネタリーヘルスイニシアティブ(PHI)
後 援:(一社)日本オーソモレキュラー医学会、(一社)日本健康食育協会、(一社)次世代FVC研究所
参加費:会場参加 5000円(資料代含む)オンライン参加 3000円
   (懇親会:5000円)
    *参加登録いただいた方には、後日アーカイブ配信もいたします。