アルフレッサ ヘルスケアが2月15〜16日に「2024 LIFE SUPPORT FAIR(ライフサポートフェア)」を開催(東京都立産業貿易センター浜松町館)する。これに先駆けて同社・代表取締役社長で営業本部長を兼任する西田誠氏に「2024 LIFE SUPPORT FAIR」の見どころと、昨今のドラッグストア業界についてインタビューをさせていただいた。(取材・記事=佐藤健太)
――2024 LIFE SUPPORT FAIRは「New Gate〜新しい時代の新しいドラッグストアを創造〜」というメインテーマを掲げています。どのような想いがあるのでしょうか。
西田社長 今開催は「New Gate〜新しい時代の新しいドラッグストアを創造〜」をテーマに展開します。予測困難なVUCA (ブーカ=Volatility・変動性、Uncertainty・不確実性、Complexity・複雑性、Ambiguity・曖昧性)時代と言われています。少子高齢社会やwell-beingの実現、DX推進など、社会環境は千変万化し、業界環境も同様に売り場の変化や新しいテクノロジーを求められる新時代に突入しています。より「深化」と「進化」が重要視される時代になっています。
今回のLIFE SUPPORT FAIRは、それらを踏まえ「健康寿命の延伸」「働く女性の応援」「PHR(パーソナルヘルスレコード=生涯型電子カルテ)活用による顧客づくり」の3つの提案を主軸に展開します。
「健康寿命の延伸」は、高齢者層を元気に活動できるアクティブ・シニア、介護予防の必要性がある高齢者のギャップ・シニア、要介護のケア・シニアの3つに分けた提案となります。アクティブ・シニアには、①たんぱく質等を中心とした食事・栄養のご提案②運動、ウォーキングサポートのご提案③口腔環境改善と更年期予防のご提案。ギャップ・シニアには、①栄養補給と免疫力強化のご提案②アイフレイルと認知機能改善の提案③ロコモ対策の提案。ケア・シニアには、①区分別介護食の提案②タッチケアと二次感染予防の提案を実施します。
「働く女性の応援」は、女性特有の疾病や悩みの理解の情報などのライフジャーニーでの悩みに合わせた店頭販促や誘客方法、職場のサポート支援や子育て支援の情報を展示します。特に「不定愁訴の悩み」として①フィジカルバランス(体の悩み)の提案②ホルモンバランスの乱れによる悩みの提案③自律神経の乱れによる悩みの提案。「肌の悩み」として、①肌タイプ別の提案(普通肌・敏感肌・疾患肌)②デリケートゾーンの悩みの提案③インナービューティーの提案などをご紹介します。
前者2つと毛色が違いますが「PHR活用による顧客づくり」に向けた情報発信にも注力します。①PHRを活用したヘルスケアプラットフォームの提案②IOT デバイス活用による顧客管理の提案③PHRによる顧客づくりの提案③ウエルアップ測定機器のご紹介などです。これらは、IOT デバイスを中心としたセルフコンディショニングチェックによるセルフプリベンション(自己予防)市場開拓のご提案となります。
「LIFE SUPPORT FAIR」は、当社の方向性を業界関係者の皆さまで共有していただける場になると共に、当社にとっての集大成ともいえる展示会です。ドラッグストア関係の皆さまにはぜひお越しいただきたく思っております。
――コロナ需要が一巡している中でもドラッグストア業界は好調に推移していますが、西田社長はどのように分析していますか。
西田社長 ドラッグストアは「近くて便利」というワンストップショッピング性がストロングポイントです。超高齢社会かつ、高齢者を含めた単身世帯が増加している中、OTC医薬品・調剤から日用品、食品まで一箇所で揃えることができる業態として支持を拡大し続けています。
かつては子供たちと同居し、GMSやNSCなどで1週間分の買い物をまとめてしていた層が、子供が独立し、実家から離れ、「大量・多品目を必要としなくなった」、ご自身も高齢者となり「車に乗って遠くまで買い物に出られなくなった」「病院でもらった処方箋を持ち込みたい。調剤を待っている時間に買い物を済ませたい」など生活や体、考え方に変化が生まれています。ドラッグストアは、そのニーズに応える最も身近な買い場となっています。
今後リフィル処方箋が普及していくと、かかりつけ薬局の存在意義が高まり、多くの患者はドラッグストアをより活用するようになるでしょう。これは利便性を高めるだけではなく、患者と薬剤師の距離を縮め、もちろん服薬指導や残薬管理は当然、日常生活の困り事やセルフメディケーション(自己治癒)やセルフプリベンション(自己予防)の相談窓口としての存在感を強めていくことになります。その結果、ドラッグストアは「医療費の抑制・皆保険制度持続などの社会課題の解決に寄与する業界」や「街の健康ステーション」としてさらに価値を高めていくでしょう。
また、コロナ禍では、生活者のヘルスケア意識が高まったことで、マスクや消毒液にとどまらず、「病気にならない体を作ろう」とサプリメントなどの予防領域の商材が活況となりました。コロナ需要は一巡しましたが、以前はドラッグストアを活用しなかった層が、リピーターとして固定したこともドラッグストア業界が好調である要因だとも考えられます。
――ここ数年でドラッグストアや薬局にもDX化の波が押し寄せている感があります。
西田社長 DX化もドラッグストア業界にとって非常に大きな課題であると認識しています。オンライン処方箋・電子お薬手帳の普及、マイナンバーカードと健康保険証の統合など目先1年を展望してもDX化が進んでいきます。常々、社内には「つなげる力が重要」と話しており、これまで卸売業として商品と人、商品と商品、メーカーとメーカーなどをつないできましたが、ヘルスケアにおけるDX化においては情報と情報をつなげることが何よりも大切になることを意味しています。
例えば、電子お薬手帳には患者の処方歴を確認することができます。現在は、「どんな医薬品を服用しているのだろうか。新たに処方された医薬品との相互作用はどうなのだろうか」という確認で終わっていますが、この情報は予防領域でも大いに役立つものだと思います。医師が管理する電子カルテにも同様のことがいえます。
2025年には団塊世代が後期高齢者になり、日本における平均寿命はさらに延伸していくと予測されています。ですが、健康な状態を意味する健康寿命と平均寿命には大きな乖離があります。男性の平均寿命が81歳・健康寿命が72歳、女性の平均寿命が87歳・健康寿命が75歳。驚くことに男性で9年・女性で12年も健康ではない期間があるのです。先述の通り、「健康寿命の延伸」は今回のLIFE SUPPORT FAIRのテーマの1つでもあります。この両者の乖離を埋める重要な点は、60代のうちから10年後を見据えた上で予防・健康管理をしていくことだと考えています。
「情報と情報をつなげる」と前述しましたが、電子カルテや電子お薬手帳の情報(治療の情報)とドラッグストアでのOTC医薬品やサプリメントの購入情報など(予防の情報)をつなぎPHRとして一元化することで、治療と予防の精度は飛躍的に高まります。現在、治療と予防には、情報というハードルがありますが、これをいかに低くしていくかが今後の日本にとって重要な課題になると思います。当社も、つなぐ役割のプロフェッショナルとして、この分野にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。