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大正製薬HDが国内最大7,100億円のMBOで非上場へ
SM事業の営業体制の見直しと自社ECサイト拡大を推進

11月24日、大正製薬ホールディングスがMBO(マネジメント・バイアウト=経営陣が自社の株式や一部の事業部門を買収して独立すること)実施を発表した。同社上原茂副社長が代表取締役社長の大手門株式会社がTOBを実施し、買付価格が1株8,620円で、総額は約7,100億円と日本企業のMBOでは過去最大。このTOBが成立すれば上場廃止となる見通し。

同社は、既存の各事業をこれまで同様に発展させていくだけでは、持続的な成長を実現していくことが困難であり、以下の施策を実行することで、更なる企業価値向上を実現することが可能と考える。

(i)セルフメディケーション事業における営業体制の抜本的な見直し及び自社ECサイトの拡大
(ii)高品質な製品の安定的かつ長期的な製造に向けた生産管理への梃入れ
(iii)海外事業における、製品ポートフォリオの拡大及び事業の拡大に向けた投資
(iv)医薬事業におけるオープンイノベーション、バイオベンチャーや製薬企業との技術提携等を通じた新薬開発
(v)採用方針や報酬制度等を含む人事制度の抜本的見直し

上記等の施策について大正製薬HDは、「中長期的な更なる企業価値向上のために積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましい」としながら、「事業構造の大きな転換や新たな取り組みを伴うものであり、当該施策が当社グループの業績に貢献するまでに、相応の時間と戦略的な投資を含む各種先行投資が必要になることを考慮すると、短期的には当社グループの財務状況や業績の悪化をもたらすリスクがある。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実行した場合には、株価の下落や配当の減少等、当社の株主に対して多大な悪影響を与えてしまう可能性がある」。

こうした悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から企業価値を向上させるためには、MBOの手法により、同社株式を非公開化し、所有と経営を一致させ、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、公開買付者、取締役、従業員が一丸となって各施策に迅速かつ果敢に取り組むことができる経営体制を構築することが、今回のMBOの目的となる。