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店頭価格、一部値下がりも、主食は夏場に再値上げの動き

株式会社インテージが、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)をもとに、食品・日用雑貨など主な消費財を対象として店頭販売価格の値上げについて調査した。


[ポイント]
◆食用油は店頭価格が最高値より値下がりも、主食は夏頃から再上昇の動き
◆9月は小麦粉128%、袋ラーメン・カップラーメン123%、本格値上げ起きる3年前を2割上回る価格に
◆値上げ幅の大きい食品は販売減少顕著。キャノーラ油4割減、小麦粉3割減など軒並み2ケタ減
◆日用雑貨の価格は食品に比べ値上げは小幅も高止まり。ただ販売数量は食品と違い堅調


図表1



高騰した食用油など一部値下げも、
夏場以降に主食で再度の値上げの動き


今秋も商品での値上げが報道されるなど、物価上昇の流れが続く2023年。それでは生活者が実際に影響を受ける店頭価格はどのように変化しているのでしょうか(図表1)?1つのトレンドに価格高騰の代表的な商品に挙げられる食用油の値下がりが見られます。値上がり前の2020年平均と比べ、キャノーラ油は今年2月の190%をピークに170%台に、サラダ油も4月の155%から9月は138%に下がりました。他の調味料は、まだ高止まり傾向ですが、今後食用油に続く動きがみられるかは注目です。

一方で夏場以降に再度価格が上がってきたのが主食です。小麦粉は9月に128%を記録。食パンも7月から上昇を始め、120%近くで推移しています。6月頃には一時落ち着きを見せていたそば、うどんも再度の価格上昇の傾向が見え始めました。袋ラーメン、カップラーメンなども大手メーカーの値上げなどもあり9月には123%に達しており、今後の動きが注視されます。


価格が高くなった食品は、
販売数量の落ち込みが目立つ形に


値上げが続く中、実際の購買行動にはどのような変化が出ているのでしょうか?スーパーマーケットでの食品の売り上げを見ると、価格が上がっていた商品の多くで販売数量が大幅に落ちていました。

今年9月と、多くの商品に値上がりが波及する前の2年前の同月を比べるとキャノーラ油が41%減と目を引きます。その流出分の一部がサラダ油に流れ込み97%増と大幅に増加していました。またマーガリンの23%、砂糖の20%を始め、多くの調味料で2ケタの減少が見られていました。

主食でも小麦粉の30%減やカップラーメンの20%減など大きく減少した商品があり、加工食品でもサバ缶や魚肉ソーセージが20%以上減、嗜好品でもレギュラーコーヒーが22%減など幅広い商品での購入減が起きています。コロナ禍の巣ごもり需要からの減少や、今年9月が異例の猛暑だった影響などもありますが、値上げが生活者の購買行動に大きな変化を与えていることは間違いないようです。スーパーマーケットに限らず全業態を通じても、これに近い傾向が見られ、販売数量の減少は顕著となっていました。


図表2



日用雑貨は高止まり傾向
ただし価格が上がっても販売数量の減少は見られず


日用雑貨についても見てみましょう(図表3)。一昨年夏ころから始まる値上げの動きの中、食品ほどの大きな動きは起きていませんが、今年に入ってからティッシュペーパーやトイレットペーパーなど紙製品や洗濯用洗剤などで店頭価格が高い状態が続いています。


図表3



ただドラッグストアにおける日用雑貨の販売数量を見ると、価格が上がっていても販売数量が2ケタ増の商品もあり底堅い数字が見えます(図表4)。ドラッグストアは値上げ期やコロナ禍に来客数が大幅に増えた業態で、その影響もありますが全業態で見ても販売数量は堅調。図表4の数字よりは少し落ち込みますが、2021年の同月と比べてもプラスになっている商品も出ていて、食品とは大きな傾向の違いが見られました。


図表4