
キリンホールディングスが10月13日、子ども向けブランド「キリン 強いぞ!ムテキッズ」から、「キリン 強いぞ!ムテキッズ タブレットプラス バリアビタミンC」を発売した。プラズマ乳酸菌500億個とビタミンCを配合した、水なしでかんで食べられるチュアブルタイプのタブレットだ。同社が子ども向けにタブレット商品を開発するのは初めて。商品開発では、子どもが食べやすい味や硬さだけでなく、保護者が安心して毎日手渡せることも重視した。過日開催された新商品発表会では、管理栄養士の川口由美子氏が子どもの食事や生活習慣について講演。子どもの健康を支えるには、栄養バランスだけでなく、食事を楽しむ環境や運動、睡眠を含めた日々の習慣が重要であることを紹介した。共働き世帯の増加などを背景に、子どもの健康を手軽にサポートしたいというニーズが高まる中、キリンは商品と啓発活動の両面から、親子の健康習慣づくりを目指す。(取材と文=ヘルスケアワークスデザイン・笠原亜紀世)

発表会の冒頭では、一般社団法人母子栄養協会代表理事で管理栄養士の川口由美子氏が「子どもの健やかな毎日を支える食事と生活習慣」をテーマに講演した。川口氏は、子どもは体の大きさに対して必要な栄養量が多く、特にカルシウムや鉄など、成長に必要な栄養素を意識して摂取することが大切だと説明。一方で、保護者が栄養バランスを細かく気にし過ぎると、食事そのものが負担になってしまう可能性も指摘した。
子どもの食事については、食べるのに時間がかかる、偏食がある、むら食いをするといった悩みを抱える保護者が少なくない。川口氏は、食べるのに時間がかかる背景には、かむ力や食具を扱う力が発達の途中にあることも関係していると説明。大人と同じペースで食べることを求めるのではなく、子どもの発達段階に目を向けることが必要だとした。
また、偏食についても、味や食感の感じ方は大人と子どもで異なることから、無理に食べさせようとしないことが大切だという。健康を損なうほどの偏りでなければ、すぐに食べられるようになることを求めず、少しずつ食への関心を育てていく姿勢が求められる。
そのためのポイントとして川口氏が挙げたのが、家族で食卓を囲む「共食」だ。大人がおいしそうに食べている姿を見ることで、子どもも食べてみたいという気持ちが生まれることがある。食事中には叱ったり、食べることを強要したりするのではなく、季節の食材や料理について会話しながら、楽しく食べる環境をつくることが重要だとした。
さらに、食事だけでなく、運動や睡眠を含めた生活習慣全体を整えることも欠かせない。特に、適度に体を動かしてお腹が空くリズムをつくることは、子どもの食生活を考える上で大切な視点となる。こうした講演内容からも分かるように、子どもの健康づくりは、特定の栄養素を補うことだけで完結するものではない。日々の食事を基本としながら、無理なく続けられる生活習慣を親子で育てていくことが重要になる。

キリンが子どもの健康領域に取り組む背景には、共働き世帯の増加や、忙しい日々の中でも子どもの健康を手軽にサポートしたいという保護者のニーズがある。同社は2025年から「子ども健康プロジェクト」を始動し、これまで培ってきたヘルスサイエンス研究の知見を生かして、商品・啓発活動・サービスなどを組み合わせた取り組みを進めている。
同プロジェクトでは、全国の幼稚園や保育園で子どもの健康習慣づくりに関する啓発活動を展開。2026年3月時点で累計6000園に実施し、年内に1万園への展開を目指している。また、2026年3月には「キリン 強いぞ!ムテキッズ」ブランドから子ども向け健康飲料を発売。今回のタブレットは、同ブランドの新たな商品として開発された。「キリン 強いぞ!ムテキッズ タブレットプラス バリアビタミンC」は、プラズマ乳酸菌500億個とビタミンCを配合したヨーグルト味のチュアブルタブレット。水なしでかんで食べられるため、家庭内だけでなく、外出時にも取り入れやすい。1日4粒を目安とし、1袋で約15日分となる。対象年齢は、歯が生えそろう3歳以上を設定している。
商品開発で重視したのは、子どもと保護者の双方にとって受け入れやすい商品にすることだ。同社が子ども向けタブレットを開発するのは初めてであり、従来の大人向け商品とは異なる視点で、形状や配合を一から検討した。開発では、子ども目線、保護者目線、社内の複数部門による評価という3つの視点を取り入れた。子どもにとっては、おいしく食べられることに加え、無理なくかめる硬さや、毎日続けたいと思える味であることが重要になる。一方、保護者にとっては、原材料表示を確認して納得できることや、安心して子どもに手渡せることが求められる。
特に工夫したのが、チュアブルタブレットとしての硬さの調整だ。子どもが無理なくかめることと、製造・流通の過程で割れたり欠けたりしない強度を両立させる必要があった。また、おいしさを追求する一方で、保護者の視点も踏まえ、原材料の選定にもこだわった。甘さを出すために砂糖やブドウ糖、甘味料を使用するのではなく、子どもが食べやすい味づくりを目指して試作を重ねたという。
開発担当者は「自分の子どもに毎日手渡したいと思えるか」という問いに何度も立ち返ったと説明する。開発に携わる社員にも子育て中の親が多く、家庭での実感を商品設計に反映。味や食べやすさ、安全性など、複数の観点から評価を重ね、納得できる品質に仕上げた。同社は、体調管理は一日で成り立つものではなく、毎日の健康習慣の積み重ねが大切だと考えている。商品を特別な日のために摂取するものとしてではなく、日々の食事や生活習慣を基本としながら、子どもの健康を支える選択肢の一つとして提案する考えだ。
今後は、学校や幼稚園、保育園など教育機関との接点を生かし、サンプリングや体験機会を通じて商品の認知を広げる。また、食育活動とも連携し、子どもが楽しみながら健康習慣を身につけられるよう取り組む。中長期的には、プラズマ乳酸菌を軸とした子どもの健康領域での商品・活動を拡充し、2030年にブランド売上高100億円規模を目指す。子どもの健康を考える上では、保護者が栄養面の不安を抱え込み過ぎず、食事や運動、睡眠を含めた生活全体を整えていくことが重要だ。キリンの取り組みは、商品を提供するだけでなく、親子が日々の健康習慣を考えるきっかけをつくるものとして、今後の展開が注目される。
「キリン 強いぞ!ムテキッズ タブレットプラス バリアビタミンC」
https://mutekids.kirin.co.jp/supplement/