この記事は、女性ヘルスケア市場専門のビジネスメディア「ウーマンズラボ」からの提供です。

女性特有の不調へのアプローチとして、ヨガや運動、サプリメント、アプリ、認知行動療法など、さまざまな手法の活用が広がっている。一方で、どの手法にどの程度の根拠があるのかについては、まだ十分に整理されていない。ユーザーだけでなく企業や医療従事者にとっても、各手法の有効性をどのように評価すべきか判断は難しいところだ。そこで参考になるのが、AMED研究班が今年3月に公開した指針「働く女性における月経困難症・月経前症候群・ 更年期障害予防のための 非薬物的ヘルスケアサービスガイド」。働く女性を主としたユーザー、健康経営を行う企業、自治体、商品・サービスの提供事業者に向けて作成したもので、婦人科3疾患を対象に、さまざまな非薬物療法の有効性を国内外の研究をもとに評価している。本記事では、その中で評価された各手法のエビデンスレベルを疾患別に一覧で整理。事業への活用ヒントもまとめた。
月経困難症、PMS・PMDD、更年期障害は、多くの女性が経験する健康課題だ。軽症の場合は医療機関を受診せず、運動やヨガ、サプリメント、アプリなどを活用したセルフケアで対応している女性も少なくない。近年はフェムテックの広がりもありヘルスケアサービスの選択肢は急速に増えているが、有効性や安全性について十分な情報が整理されているとは言い難い。ユーザーは何を基準に選べばよいのか判断しづらく、企業側も自社の商品・サービスにどの程度の科学的根拠(エビデンス)があるのか把握しにくい。また医療従事者も、患者などから相談を受けた際に客観的な根拠を示しにくい。
こうした課題を受けAMED研究班は、婦人科3疾患(月経困難症、PMS・PMDD、更年期障害)に対する非薬物療法の有効性について、国内外の研究を体系的にレビューし、指針を作成した。評価対象は幅広く、運動療法、温熱療法、ヨガ、鍼灸、指圧、認知行動療法、サプリメント、アプリなどのデジタル介入、マインドフルネス、食生活改善など多数。
なお本指針では、発症後の症状改善や再発予防など、二次予防と三次予防に関するエビデンスを中心に整理している。
本指針では、各手法をエビデンスレベルA〜Dまで6段階で評価している(以下表)。エビデンスレベルとは、各手法の有効性を支持する科学的根拠がどの程度蓄積されているかを示す指標のこと。Aに近いほど有効性を支持する根拠が充実しており、Dに近いほど根拠は限定的となる。
これは、効果の大きさや各手法同士の優劣を示すものではないため、見方には注意が必要だ。例えば、エビデンスレベルBの手法がエビデンスレベルCの手法より高い効果を持つことを意味するわけではない。あくまで「有効性を支持する根拠の確からしさ」に違いがあることを示している。
なお研究班は、「非薬物療法の研究は介入方法や対象者、評価方法のばらつきが大きいため、医薬品の臨床試験で用いられるエビデンスレベルと同列には扱えない」としている。そのため本一覧は、各手法の優劣を判断するためではなく、どれに比較的強い根拠が示されているのかを把握するための参考資料として活用したい。

では、本一覧はどのように活用できるのだろうか。企業にとっては、自社事業にどの程度の科学的根拠があるのかを確認する際の参考資料となる。自社が提供する商品・サービスに用いられている手法がA・B に該当するのであれば、有効性を説明する際の根拠として営業やマーケティングの場面で活用しやすくなるだろう。一方、C・Dに該当する場合は、自社で研究や実証を進めるべきテーマとして検討する材料にできるかもしれない。
医療従事者にとっては、患者などから「ヨガは効果がありますか?」「アプリは使った方がいいですか?」と相談を受けた際に回答する上での参考情報となる。エビデンスレベルが高い手法については、一定の根拠がある選択肢として紹介しやすくなるだろう。一方でエビデンスレベルが低い手法については、その限界や不確実性など、留意事項を添えた説明がしやすくなる。あるいは、エビデンスレベルがより高いものをおすすめする際の、参考情報になるだろう。
それでは早速、疾患別のエビデンスレベルを見ていこう。
月経困難症(月経痛)では、16の手法が評価された。エビデンスレベルが最も高い「A」と評価されたのは、「指圧」「鍼・電気治療」「灸」「アロマテラピー」「ω3脂肪酸」「ショウガ末」の6種。伝統医療や機能性成分が上位に並び、身体症状にアプローチする手法に比較的強い根拠が示されていた。運動も「A−」と高い評価だった。

PMS・PMDDでは、17の手法が評価された。エビデンスレベルが最も高い「A」は禁煙のみ。「A−」にはヨガや有酸素運動、認知行動療法(CBT)、鍼治療が並び、月経困難症と比べると、生活習慣の改善や心理療法など、心身両面からのアプローチに比較的強い根拠が示されていた。

更年期障害では、3疾患の中で最も多い24の手法が評価された。更年期はホットフラッシュや不眠、気分の落ち込みなど症状が多様なため、対策も運動、心理療法やカウンセリング、サプリメント、ハーブ、デジタル介入まで幅広い。また、機能性成分やサプリメント関連の手法が他の2疾患より多いことも特徴だ。エビデンスレベルが最も高い「A」と評価されたのは、ホットフラッシュに対するエクオールの摂取だった。

注:本記事はAMED研究班が評価対象とした手法を整理したものであり、婦人科3疾患に対するすべてのセルフケや治療法を網羅したものではない。
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