ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

顧客からの一通の手紙から始まった、榮太樓によるヘルスケアへの挑戦

ヘルスケア和菓子ブランド「からだにえいたろう」

顧客からの一通の手紙から始まった
榮太樓によるヘルスケアへの挑戦

消費者のヘルスケア意識が高まる中、注目を集めている和菓子ブランドがある。和菓子の老舗・榮太樓總本鋪による「からだにえいたろう」ブランドである。ブランド内でも、特に「糖質をおさえたようかん」を売り場に取り入れるドラッグストアや調剤薬局が増えており、リピーター獲得にも繋げている。本稿では、「からだにえいたろう」ブランドに注目する。(取材と文=佐藤健太)

「からだにえいたろう 糖質をおさえたようかん」

和菓子の老舗・榮太樓總本鋪が展開するヘルスケア和菓子ブランド「からだにえいたろう」。同ブランドは健康志向和菓子ブランドであり、食物の栄養素がもたらす「健康感」と日本古来の食文化に通じる「和の菓子」の融合をコンセプトしたもので、今回取り上げる「糖質をおさえたようかん」のほかに「ポリフェノールあずき茶」「スローカロリーどら焼き&大福」などをラインアップする。

いずれも、伝統的な和菓子の食材の個性と、最新の研究に基づく機能性素材を組み合わせたレシピでおいしさと健康価値を両立している。

同社の細田将己副社長は「からだにえいたろう」について「当初は『榮太樓』ブランドで製品化する案もありましたが、お客さまに明確なメッセージを届けるために、『からだにえいたろう』というブランドコンセプトが伝わりやすいを名前で立ち上げました。とにかく美味しさにこだわり、『糖質をおさえたようかん』に関しては、世に送り出すまで2年以上も研究開発を続け、ようやくGOサインが出されました。単に低糖質だけでなく、お客さまには味も楽しんでいただきたい」と語っている。

細田将己副社長

「からだにえいたろう 糖質をおさえたようかん」は、小豆の風味を生かしながら一部を糖アルコール甘味料や食物繊維などに置き換えることで、糖質量を約半分(日本食品標準成分表 2015「練りようかん」との比較)にカットし、食・楽・健康協会が推奨する「ロカボ」の間食での摂取基準 10g 以下をクリアした商品だ。

その味と機能性が、日本チェーンドラッグストア協会による「食と健康アワード2019」で大賞、「同2022」で準大賞を受賞するほど高く評価されており、ヘルスケア業界に大きな反響を呼んだ。発売当初は「こし餡」「はちみつ」「黒糖」の3種類だったが、現在は「ほうじ茶味」「珈琲」をラインアップに追加し、購入者の選択肢の拡大に繋げている。

「からだにえいたろう 糖質をおさえたようかん」は、榮太樓總本鋪に寄せられた1通の手紙から開発がスタートした商品だという。

「私は長年榮太樓さんのファンでした。しかし80歳を過ぎて、医師から止められ甘いものを食べられなくなってしまいました。私などの長年のファンも食べられるようなお菓子をつくってもらえませんでしょうか」

本来お菓子は楽しんで食べるものだが、手紙の送り主のような状況にあると「家族に内緒でコソコソと食べている」「悪いことをしている気分」など後ろめたい思いになってしまう。榮太樓總本鋪は消費者の視点に立ち、悩みを解決すべく「からだにえいたろう 糖質をおさえたようかん」を世に送り出した。

細田副社長は、「商売ですので採算は大事なのですが、やはり悩んでいる方が世の中に大勢いらっしゃって、そうした方のサポートをしていきたいと思ってスタートしたのが『からだにえいたろう』です。単に『おいしい』ではなくて、今の時代に合った“意味のある菓子作り”をしていこうという姿勢です。売り上げとしてはまだまだですが、リピーターが多い商品となっています。『糖質をおさえたようかん』は贈り物というよりは、日常的に召し上がっていただきたい商品と位置付けており、糖質制限をしている健康意識が高い層、糖尿病などで糖質をおさえる必要がある人たちの身近にあるドラッグストアとの親和性は非常に高いと思います」と語る。