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ヘルスケア・インタビュー 山本漢方製薬の山本 整社長が語る
『国民の健康創造をサポートする商品開発の軌跡とこれから』



10兆市場形成が当確となったドラッグストア業界。成長を支えてきた背景には、国民の健康創造を支える数多くの利益商品を誕生させてきたメーカーの開発力がある。到来した寿命延伸時代にあって、“未病と予防”の武器となるヘルスケア商品、特に健康食品の存在は見逃せない。その一つに、「“商品に価格以上の価値を提供”し、お客さまに喜んでいただき、“安心と満足”を提供しなければならない」を理念として1977年に創設された山本漢方製薬がある。漢方・生薬メーカーとして歩む一方、大麦若葉との出会いで15年連続青汁売上げNo.1メーカーとして今日、ドラッグストアへ多くの利益商品を提供している。ドラッグストアショー恒例イベントの食と健康アワードで、機能性表示食品『MCT大麦若葉粉末』がプラチナ賞を受賞するなど、誕生したヒット商品の普及活動に取り組む山本 整代表取締役社長に、『国民の健康創造をサポートする商品開発の軌跡とこれから』を聞いた。(流通ジャーナリスト・山本武道)


『大麦若葉粉末』の商品化は2000年だった


山本整 社長

タレントの原田龍二さん夫妻やモナリザを起用したテレビCMで話題を呼ぶヒット商品を、相次いで開発し普及活動を展開する山本漢方製薬は、1977年1月、名古屋市内に「漢方薬と生薬を通して専門技術と経験を活かし、世界中の人々の健康に貢献します」という思いを掲げ誕生してから3年後には半世紀。漢方薬と生薬、健康茶で販売ルートを開拓する傍ら、国民から支持され愛用されてきたヒット商品『大麦若葉粉末』が開発されたのは、24年前の2000年に遡る。

「『大麦若葉粉末』は、もともと創業者である私の父(山本邦男前社長)が、ある日、青汁を見つけて、これはひょっとすると漢方薬メーカーとしての技術を活用すれば、おいしくて飲みやすい商品を開発することができるのではと思い立ち、漢方薬には散剤も有る事から、即大麦若葉を粉末にした『大麦若葉粉末』を製品化しました。2000年のことです。

当然、食品ですから、味が良くなければならないし、しかも買いやすい手頃な価格に設定し、原料も自然栽培にこだわりました。当初は、海外に目を向け良い原料を探し求め輸入しましたが、いろいろと模索し国内の原料に切り替えました。結局はコロナ禍になり、しかも為替のことを考えればラッキーでした。現在は、国内の自社栽培の大麦若葉を使用していますが、大麦若葉の生産についても、栽培していただいている農家の方たちとの素晴らしい出会いもありました」


大麦若葉を自然栽培する農家の人たちとの出会いと交流


大麦若葉粉末が市場に登場してから24年後の今、15年連続青汁売上げNo.1メーカーとなった背景の一つには、「創業以来、病気になる前から健康管理のために継続して商品を利用していただくことが何より…」という東洋医学の考え方に基づき、セルフケアの重要性を呼びかけてきたこと、同時に素材や資源を生産する一次産業の生産者の人たちとの出会いを大切にしてきたことが挙げられる。

「我々のビジネスは、原料を生産していただく農家の方々、そして当社が製造した商品の販売に携わるドラッグストアさんや調剤薬局さんなどにお届けいただく流通業のご協力で成り立っています。中でも近年、親御さんの後を継ぎ大麦若葉の栽培に携わる若い世代が増えてきました。当社では、一次産業を受け継いだ若い世代の方たちの考えも積極的に取り入れて話し合いを重ねるなど交流を深めてきました。

日々、大麦若葉を栽培していただくだけでなく、当社では最近、抹茶のプロテインも開発しましたが、その原料となる抹茶も大麦若葉とともに農家で生産していただいております。そのために大きな物流センターも建設しました」

山本社長が、大麦若葉の栽培畑を通じ出会った若い世代や親御さんたちを愛知県小牧市の工場に招き、『大麦若葉粉末』など製造する現場の視察会を開催してきたその理由は、「原料を栽培する農家の方々に、どのような工程で高品質の商品ができるのか見ていただきディスカッションをしています。これからも、生産農家の方たちとの交流の機会を作って、いろいろなご意見を聞きたい。それが国民の健康増進に役立つ商品の開発に結びつけば…」という思いがあるからだ。


日清オイリオのMCTオイルとの巡り合い


MCT大麦若葉粉末

山本漢方製薬のモノ作りには、『大麦若葉粉末』開発のヒントになった、ある日、創業者が見つけた青汁との出会い、二つ目は大麦若葉を自社栽培する農家の若い世代との出会い、さらに三つ目は、“食と健康アワード”でプラチナ賞を受賞した『MCT大麦若葉粉末』でコラボした日清オイリオが開発したMCTオイルとの出会いだ。

「たまたま大きなスーパーで目にしたのが、来店客が手に取りやすい売り場の一角に山積みされていたMCTオイルでした。強力な磁石に引き寄せられるように、何気なく手に取り買いました。自宅に戻り、さてこのオイルをどのようにして使用するか考えてみましたが、オイルなので、そのまま飲むわけにはいかないし、コーヒーに入れたりサラダにかけたり…。いろいろと試してみましたが、なかなか難しい。

そうこうしているうちに、日清オイリオさんからMCT(中鎖脂肪酸)のことで連絡があり、お会いしたところ粉末タイプもありましたので大麦若葉粉末と混ぜて飲んだところ、これがなかなかいける。さらにいろいろと話し合う中で、機能性表示食品もあるとのことでしたので、即商品化を決め1年余りかけて機能性表示食品『MCT大麦若葉粉末』が誕生し販売を開始しましたが、とても良く売れました」


食と健康アワードでプラチナ賞を受賞した『MCT大麦若葉粉末』


スーパーマーケットで見つけたMCTオイル。その後、同商品を開発した日清オイリオとの出会いによってコラボして『MCT大麦若葉粉末』が誕生。日本チェーンドラッグストア協会主催のドラッグストアショーのイベントの一つ、“食と健康アワード”でプラチナ賞に入賞したことについて山本社長は、次のように語っている。

「毎年、食と健康アワードにノミネートしてきましたが、機能性表示食品もだしたいと思ってきましたので、MCTオイルを開発された日清オイリオさんとは、とても良い出会いでした。アワードにノミネートするには、まずは売れていること。味、体にも良く価格も手頃で、市場に出しても恥ずかしくない商品でなければなりません。

日清オイリオさんと出会ってから共同で開発し商品化するまでには1年余りかかりましたが、注目すべきは『MCT大麦若葉粉末』の機能性関与成分は中鎖脂肪酸が1.6g(オクタン酸1.2g、デカン酸0.4g)で、BMIが高めの方のウエスト周囲径の減少、体脂肪や内臓脂肪を減らすことが報告(機能性表示食品の表示届出)されていることでした。

しかもMCTオイルは、一般的な油と比べて消化吸収が4倍、代謝は10倍のスピードで分解・燃焼するため、ケトン体の生成を促し脂肪燃焼を効率よく行うことでダイエットにつながるのが特徴ですが、中鎖脂肪酸は効率よくケトン体を作ることができ、そのケトン体はブドウ糖の代わりに脳のエネルギーにもなりますので、当社としても画期的な商品として普及しています。

体脂肪と内臓脂肪を減らす作用が報告されて、しかも味にこだわった『MCT大麦若葉粉末』が、アワードでプラチナ賞を受賞したことは、大麦若葉を栽培していただいている生産農家、流通業、販売店の皆さまに良い報告ができました」


これからの商品開発の方向性


創設半世紀まで3年になった山本漢方製薬。健康寿命延伸時代の到来に伴い、これまで開発した数々の商品の普及・啓蒙策、そして、ますます高まる国民のヘルスケア・ニーズに対応した新商品開発ついて山本社長が描くシナリオは、どのようなものだろうか?

「漢方薬と生薬のメーカーとして歩んできた当社ですが、『大麦若葉粉末』の開発を契機に、様々な関連商品を誕生させ、幸いドラッグストアでデビューした商品がヒットしたのは、テレビCMの放映に力を注いだことが大きい。現在では主力となっている『大麦若葉粉末』は、タレントの原田さんを起用したユニークなCMと原田夫人も登場した夫婦の軽妙なやり取りのCM、モナリザが登場する医薬品の『ヨクイニン』、『乳酸菌大麦若葉』、『30種類の国産野菜&スーパーフード』、機能性表示食品の『桑の葉若葉粉末青汁』と『MCT大麦若葉粉末』の6製品のCMを放映しておりますが、いずれも製品の売上げに大きく貢献しました。これからもCMの放映を計画する予定です」

新製品については、どのような商品開発を考えておられますか?

「当社の思いは、“世の中に本当に必要”とされる山本漢方であり続けること、“会社の発展と働く社員の幸福が一致するよう努力すること”であり、“商品に価格以上の価値を提供”し、お客さまに喜んでいただき、“安心と満足”の提供すること」です。こうした思いを商品開発に活かしていきたいと考えています。

その一つに近年、重視されてきたのが女性の健康管理です。当社も、当然のこと、女性の健康に関わる新しい素材を活用して商品化したいし、これまでも今もそうですが、来年、そして再来年に向けて健康寿命延伸時代の到来にふさわしいヘルスケア商品の開発にチャレンジしていきたい。

そのために当社では、現在、稼働する九つの工場に加えて2024年8月に完成した、敷地面積12273㎡(3712坪)の地に建設面積3022㎡(915坪×3F)の新工場(第10工場)を建設し、販売店の皆さまへ利益商品をお届けしていきます」

山本社長は、創設50周年への抱負を語ってくれた。


<取材を終えて>


つい最近、東京ビッグサイトで開催されていた食品開発展を取材していた際に、会場内で、偶然、山本社長にお会いした。「いつも、こうした展示会に来られるのですか?」「はい、多くの企業と素材に出会うことができるからです。いつも一人で、自由にブースで担当者の方々と話す時間を取るようにしています。なにしろ会場がとてつもなく広いので、見るだけでも大変ですが、でも出会った人と素材から、いずれヒット商品が誕生するかもしれませんので…」

なるほど。山本社長を含めてモノを生み出す人たちは、日々、こうした努力をされていることはお聞きしていたが、スーパーマーケットで見つけたMCTオイルとの出会いが、今年のドラッグストアショーの“食と健康アワード”で受賞した『MCT大麦若葉粉末』の開発に結びついたこと一つをとっても、常日頃から努力の積み重ねが重要であることを再確認した。

ところで『大麦若葉粉末』のCMに出演されている原田龍二さんといえば、確か5月中旬に小牧市の本社をお訪ねした際に、6月22日に名古屋のバンテリンドーム ナゴヤ球場で行われる中日VS広島戦で、山本社長から「もし超えなければ罰ゲーム」を賭けて、投球スピード100キロ越えを目指し登板することを耳にした。その結果?は、91キロだったという。

山本社長が課した原田さんへの罰ゲームは、45センチを超す十人分のパフェを完食すること。さて、この時の模様は山本漢方製薬のInstagramのPAR18『原田龍二 アレやります』で公開されている。

ちなみに、このInstagramはアルフレッサヘルスケアが協力し製作されたもので、山本社長自ら出演しスタッフと共に、「1日1000件の手紙がきます」「美味しい青汁の飲み方」「夏におすすめ青汁かき氷」等々の画像が公開されている。どの画像も、見られるのは自社製品をさりげなくアピールする山本社長とスタッフの笑顔だ。

アルフレッサの展示会でも、ドラッグストアショーでお会いしても、この笑顔はいつも変わらない。時折、取材で訪問した際に出迎えていただいた山本社長とスタッフの笑顔にいつもホッとする。そんな温もりのある企業が放映するCMを見て、ほのぼのとした気持ちになったことは、私だけでないだろう。多くの人々が、そう感じたに違いない。