7月16日(火)~18日(木)の3日間にわたり日本最大級の食と健康産業に関する専門展として東京ビッグサイトで開催された「ウェルネスフードジャパン2024」。その中でイベントの目玉の一つとして「第7回ウェルネスフードアワード2024」が7月18日(木)に開催された。第7回を迎えるアワードは、QOLを向上する食品および食品素材にフォーカスしたアワードで、最終審査では、書類審査を見事に通過した12社が登場。会場では12社による熱いプレゼンテーションが繰り広げられ、各部門の金・銀・銅および最優秀賞が決定した。(取材・記事=中西陽治)
ウェルネスフードアワードは、人々のQOL向上に資する食品および食品素材にフォーカスした食品賞で、第7回目は「ミール」「OYATSU」「サプリメント」「食品素材」といった、食べるシーン、目的や形状といった4つのカテゴリにて構成された。多くの応募から12社が選出され、「ウェルネスフードジャパン2024」内にて最終審査が行われた。選ばれた12社は会場で3分間のプレゼンテーションを行い、各部門の金・銀・銅の各賞および最優秀賞を決定した。
最終審査では一般参加者も加わり実食が行われ、その中で、①美味しさ、食べやすさ、または使いやすさの工夫がされているか②急速な効果ではなく、長期で期待できる予防・改善効果があるのか③他の商品と比較したとき、独自のストーリー性があるのか④社会貢献や環境配慮を意識しているのか、の4つを重点においた商品が各賞に選ばれた。
ミール部門の表彰に登壇した審査委員の阿南久氏(一般社団法人消費者市民社会を作る会(ASCON)代表理事、元消費者庁長官)は「いずれの商品も消費者にとって食べやすく、健康を考えたものだと感動しました。特に高齢社会においてどう消費者に寄り添った食品をつくるかを考えて作られていると感じました。今日の受賞を機にさらに良い商品を作ってほしいと思います」と総括した。
■銅賞 「1週間から始める7パック入 チリ産くるみ」(木野物産株式会社)
「1週間から始める7パック入 チリ産くるみ」は甘くておいしい南米チリのくるみを使用した機能性表示食品です。くるみはα-リノレン酸の含有量が豊富で、α-リノレン酸は1日に2.6g摂取するとLDLコレステロール値を下げる機能と、血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されています。本品はα-リノレン酸の一日の摂取目安量の50%を摂取できる小袋タイプになっており、毎日続けやすいのが魅力です。
■銀賞 「ながまるアップル(シナノゴールド)」(JAながの)
りんごの品種で「シナノゴールド」での機能性表示食品は全国初!シナノゴールドは長野県果樹試験場で「ゴールデン・デリシャス」と「千秋」を交配して育成された品種です。
甘みと酸味のバランスが絶妙で、ジューシーで風味豊かな味わいがあります。りんご由来プロシアニジンの効果で脂肪の吸収を抑え、内臓脂肪を減らします。
「毎日の食生活に『ながまるアップル(シナノゴールド)』をプラスして健康でより豊かな生活を!」
■金賞 「伊藤園とろり緑茶」(株式会社伊藤園)
「伊藤園とろり緑茶」は「いつでも、どこでも、いくつになっても、誰でも、簡単においしい」を実現するユニバーサルデザインのウェルネスフードです。東京大学医学系研究科イートロス医学講座との共同研究の成果を利用し、嚥下機能が低下しても、誰でも「おいしい」を諦めない豊かな食生活を実現。温かくても冷たくても時間が経っても、いつでもダマのない均質な薄いとろみを保つ事で、介護現場の負担も軽減します。
OYATSU部門を振り返った矢澤一良氏(早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部部門長)は、「この部門は『OYATSU』をアルファベットで表記していますので、国際的に通用する日本のおやつ文化、というレベルにまで高めていただきたい。酪酸菌、トマト、ごぼう、と世界に通用するうえ、ちょい食べにも適しており、正しく『美味しく楽しい』おやつの本質に沿ったイノベーションでした」と各賞をたたえた。
■銅賞 「酪酸菌を増やすバー」(株式会社サイキンソー)
「酪酸菌を増やすバー」は、有用菌として注目されている「酪酸菌」を増やし、腸内環境を改善する機能性素材を配合した健康食品です。
一本のバーでレタス2玉分の食物繊維を摂れることができ、完全無添加。
アップサイクル素材でもあり、環境に配慮された一本です。腸内フローラ検査の提供や研究を手掛ける株式会社サイキンソーの管理栄養士が監修。食べやすいチョコ風味で、手軽に腸内環境をケアすることができます。
■銀賞 「うるつやトマト」(株式会社ビレッジ開発)
機能性表示食品「うるつやトマト」の機能性成分は「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」リコピン、「仕事や勉強による一時的な精神的ストレスと疲労感を緩和する」GABAです。生鮮野菜のミニトマトをOYATSU感覚の一口サイズで食べて、美容に活かせます。「うるつやトマト」は、機能性以外にも美味しさを求め、カーエアコンの技術を応用した農業ハウスで栽培し、選果機で非接触の糖度全数調査をおこない、表示される糖度を保証します。
■金賞 「GOVOCE(ゴボーチェ)」(株式会社あじかん)
え!カカオ不使用!?
国産焙煎ごぼうで作ったノンカフェインの本物チョコレート風スイーツ!
ごぼうをいろんな人にいろんなカタチで食べてもらう機会を増やしたい。ごぼうの力をもっと多くの人たちに知っていただき、健康づくりのお役に立ちたい。この想いで生まれたのが、このGOVOCE(ゴボーチェ)です。見た目や風味、くちどけは、チョコレートに似ていながら、カカオを一切使わずに、栄養豊かで美味しい新スイーツに仕上げました。
サプリメント部門のプレゼンターを務めた西沢邦浩氏(株式会社サルタ・プレス代表取締役)は、「サプリメント部門は、何が大切かというストーリーをサプリメント形状に落とし込んだ商品が評価を集めました。サプリメント形状の健康食品は今向かい風にありますが、サプリメントこそ我々健康産業の英知の結晶であることを誇るべきだと思います。今後もさらに安全性と実感、使いやすさを高めていただけるよう期待しています」と語り掛けた。
■銅賞 「アカポリ血圧・血糖Wダウン」(株式会社アカシアの樹)
「アカポリ血圧・血糖Wダウン」は独自成分のアカシア樹皮から抽出されるポリフェノールを関与成分とし、高めの血圧、高めの空腹時血糖値をダブルで下げる機能性表示食品です。食品としての有効性と安全性にこだわり、17報の論文を発表しています。収斂性の高いアカシアポリフェノールをコーティング加工し、日本で初めて上市しました。また、環境に配慮したアカシアの一貫生産を実施、SDGsに配慮した健康食品を提供しています。
■銀賞 ■一般投票結果賞 「ブライティース」(ユニテックフーズ株式会社)
食べられる歯磨きタブレット!廃棄卵殻を有効利用したハイドロキシアパタイト「クリアアパタイト®」を配合。ミネラルバランスのよいカラダにやさしい素材で、色素や口腔菌にアプローチし、口臭や舌苔を予防します。食品で飲み込めるので、いつでもどこでもオーラルケアが可能です。う蝕性のない原料のみで設計しているので、歯磨き後や就寝前に食べても虫歯の心配は不要。大人からお子様まで毎日のお口の健康をサポートします。
■金賞 「えみふる」(株式会社ウェルナス)
身近な野菜「ナス」を使った世界唯一の機能性表示サプリです。
当社代表者が長年悩んでいた健康課題が、ナスに含まれる新規食品機能性成分・コリンエステルで大きく改善し、ナスで多くの人を笑顔にするという強い想いで開発しました。高い科学的エビデンス(ヒト臨床試験済)と高い安全性(国産ナス原料)が特徴です。原料には、利用価値が低い規格外ナスを利用し、フードロス低減にも寄与できる、ヒトにも社会にも優しい商品です。
食品素材部門を振り返った大澤俊彦氏(愛知学院大学特任教授、人間総合科学大学特任教授、名古屋大学名誉教授)は「『5-ALA』は世界的な拡大が見込める素材で、さらなる飛躍を期待しています。『ウロリッチ』は素晴らしい実験結果を示してくれました。『アミュリア』は市場に対するインパクトが大きく、コメと並んで日本人に愛される小麦粉を素材として開発した点が光りました。いずれも素材、内容に富んだユニークな素材でした」と各賞を評価した。
■銅賞 「5-アミノレブリン酸リン酸塩(5-ALA)」(SBIアラプロモ株式会社)
天然多機能アミノ酸「5-ALA(5-アミノレブリン酸リン酸塩)」は、生命活動の根源でもあるミトコンドリアにおいてエネルギー産生の根幹を担う重要なアミノ酸で、血糖値、睡眠の質、メンタル、疲労感、運動効率といった多様な機能を発揮する非常に稀な素材です。機能性に必要な配合量も少なく、味の嗜好性を妨げないため商品設計にも優れています。続々と臨床試験も開始されており、新たな有用性が発見される可能性を秘めた素材です。
■銀賞 「ウロリッチ」(株式会社ダイセル)
「ウロリッチ」はザクロのポリフェノールの活性本体とも言われるウロリチンAを規格化した国内初めての機能性食品素材です。ウロリチンAは体(細胞)の恒常性維持のために必須であるオートファジーを活性化し、様々な健康機能が期待される成分です。
熱に安定で、取り扱いやすい粉末原料であり、サプリメントはもちろん様々な食品へ配合し易くなっており、配合量も比較的少量であるため配合食品の風味の影響を受けにくい製剤設計が可能です。
■金賞 ■最優秀賞 「アミュリア」(日清製粉株式会社)
日本で唯一の高食物繊維小麦粉「アミュリア」は、毎日の暮らしの中で継続的においしく手軽に、不足しがちな食物繊維を摂れる食品づくりを可能にします。
当該製品は小麦粉100gの中に一般的な小麦粉の約5倍となる約17gの食物繊維を含有しています(うち約8gは発酵性食物繊維であるレジスタントスターチ)。
また、パン・麺・菓子等幅広い食品に加工しやすく、普段の小麦粉製品と変わらない味わいや食べやすさを実現できます。
アワードを総括した森下竜一氏(特定非営利活動法人日本抗加齢協会理事長代行、大阪大学大学院医学系研究科 寄付講座教授)は「いずれも高いエビデンスとおいしさ、食べやすさに富んだ商品で、ほとんど僅差で各賞が決まりました。ウェルネスに対する意識のレベルが高まると同時に、食品の機能やエビデンスの積み重ねが進んでいます。いずれも優れた食品、素材でありました。この賞をきっかけに、ぜひ一般の方々に愛される商品に育て上げてほしいですね」とイベントを締めくくった。