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ケアマネ福田英二の徒然日誌その14〜何でも屋?

2024年6月19日(水)晴れ・真夏日。ベースボール記念日(1846〜)、
…ちなみに日本の野球の日は8月9日(やきゅー)、草野球の日は9月3日(くさ)、ダジャレか…。


地域包括支援センターの大事な業務に「苦情対応」やトラブルの対応がある。さすがにカスハラは少ないが、それでもそれに近いものも経験する。


苦情対応で一番多いのはやはり「対応が悪い」という電話だ。 「〇〇をお願いしてましたがどうなりましたか?」「連絡がありませんがどうなっているんですか?」と。当然ながら「お願い」した相手はその返事を待っている。 どうしていいかわからず、 心細くて早く相談したのに一向に返事がない。 「いったいどうなっているんですか!!」とお叱りを受けることとなる。また、対応に出た職員の返答が悪いとそれも苦情の種になる。


頭ごなしに怒られるのを覚悟して電話を取ると、案に相違して 「お忙しいのは十分に分かっているんですが… 何度もお願いしているのにいつになったら来てくれるんですか?」 と予想以上に「穏やかに」おしかりを受ける。あるいは「替わったばかりで大変なんでしょうが、こちらも急いでいるので早めにお会いしたい」と、むしろこちらを気遣ってくれる。そんなお叱りが実は大半である。 とはいえ、これが毎日続くと実際には「やりきれない気持ち」になってしまう。


多くの人を相手にしているので、どんなにうまくやろうとしても所詮は勘違いやエラーが出てしまう。その最大の落とし穴が「対応が悪い」という結果を引き起こすのである。こちらに余裕があれば「ではこれからお伺いします」と言えるのだが、それが出来なくて後回しになってしまうと、ついつい時機を逸してしまう。


人手が足りないことが大きな原因でもあるが、 そうとばかりでもないと最近は感じる。 むしろ「これほどたくさんの問い合わせや相談がある」ということが問題なのではないか。


先日もこんな問い合わせがあった。お隣の方が「生活臭がしない」 ので様子を確認してほしい、郵便受けもいっぱいだし TV やラジオの音も聞こえない、 中で倒れているのかもしれない、というご心配だ。


早速職員が駆け付けると、ご相談の通り「誰も応答がない」 。対応した職員は最悪の状況を想定して、 警察と一緒に中を確認するか迷っている。 ひとまず区への問い合わせや自治会長への連絡など、できる対応はしてみるがご本人を確認できない。職員の不安が募る。


動悸の高まりを感じながら時間が過ぎると、自治会長が本人とお会いしたとの連絡が入った。 ご本人は特に変わった様子もなく、「いつもと同じ」だという。幸いにして「取り越し苦労」に終わったものの、なんとも気を揉むご相談であった。


こんなご相談を受けていると、どこまでが私たちの職務なのか考え込んでしまう。地域住民の生活の一つ一つに目を配り、健康で安全な生活を送ってほしいと願ってはいるが、 全ての住民の生活を見ることは到底できない。が、それを聞き流すことも出来ない。


介護業界では長らくヘルパーとケアマネ不足が深刻である。 その一端にこうした「何でも屋」の側面が見え隠れしている。できない理由はいくらでも挙げられるが、かといって見て見ぬ振りができるほど強くない。何か大事なことがもう一つ抜けているようで仕方がない。