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ケアマネ福田英二の徒然日誌その11〜相談窓口

2024年5月29日(水)晴れ 夏を前に台風一過? この先の天候が心配だ


地域包括支援センターの業務にはいろいろあるが、なんといっても大事なのが「総合相談」である。一般的には「介護の相談」と受け取られているが、実はそんなことばかりではなく、認知症の相談やそれにまつわる家族の困りごと、経済的なことや相続のことなど多岐にわたっている。概して「つらい気持ち」をお聞きすることが多い。そんな「多様な課題を抱えた高齢者や家族」が相談の「窓口」にやってくる。

今日もふらりと高齢の男性が包括支援センターにやってきた。

「ちょっとご相談があって…」と、遠慮気に来処したその方を、事務所にご案内する。
「少し雰囲気が変わりましたね」と話し始めたところで、これまでに何度か足を運んだことわかる。以前は事務所の中には入れない、窓口越しに「相談を受け付ける」やり方であったのを、われわれが受託して「事務所の中でお聞きする」というやり方に変えたものだった。一昔前の「役場の窓口」のような形を「ホテルのラウンジ」にしたかったのである。

招き入れた御仁は、それでもなんとなく話を切り出す糸口が見つからない。小さな手提げバッグからノートがのぞいているし、ほかにもいろいろと入っている様子。しばらくこちらから切り出すことを控えて、向こうが話をするタイミングを観察する。

いわゆる「相談面接の技術」であるが、この一瞬の「間」がとても難しい。

こうした方々の共通したところは、相談に来たが「何から話していいかわからない」という点である。仰々しい「相談窓口」の表示は、それでなくとも「本音をしゃべるのが下手」という世代には心理的な圧迫感を与える。

手続きの書類や申し込みであればすぐに話を切り出すことができるが、「思い悩んだ気持ち」は自分でも整理できていないし解決方法が分からないので、「何から話をすればいいか…」とついつい戸惑ってしまう。そんな気持ちを「察して」場の雰囲気を作るのが我々の仕事でもある。


そのため、相談をお聞きするところは様々な「道具たて・舞台装置」が必要になる。
本当はお茶や飲み物をお出しするのが一番なのだが、今のところその設備ができないので、テーブルにはクロスを張り、小さな花瓶を置いて花を飾っている。日本的な文化では縁側の見える居間といった感じがいいのだが、そこまでは望めない。せめて、絵を飾ったり花を生けたりして、少しでもその工夫をしている。

今日は季節柄白と黄色の「どくだみの花」を3輪、小さなガラスの花瓶にさしている。その名前とは裏腹に薬効のあるどくだみは、野生・白い追憶・自己犠牲という花言葉を持っている。自己犠牲というほどの自覚はないが「人の役に立つ」という意味からつけられたことを知ると、何となく面映ゆい気持ちになった。自分もかくありたいものだ。