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【JACDS】「紅麹問題」波及を受け健食販売の課題と方向性語る

各事業トップ「影響大きい」「前年9割切るのでは」

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、5月24日(金)に都内で定例合同記者会見を開いた。会見では未だ大きな影響を残す「紅麹問題」が挙がり、健康食品販売の一大チャネルであるドラッグストアにおける適正な販売の方向性について課題が示された。池野会長は「影響は大きい」と語り、薬と違い〝言い切れない〟商品の販売方法に難しさをにじませた。(記事=中西陽治)

池野会長

会見では「紅麹問題」の対応に触れ、JACDS会長の池野隆光氏(ウエルシアHD会長兼社長)は「健康食品カテゴリーの売上にかなり影響が出ている。店頭における健康食品全般に対して『この商品は大丈夫なのか』といった問い合わせが絶えない。

一方で、例えば卵や豆腐といったドラッグストアで販売している一般食品への影響は見られない」と語った。また「保健機能食品も含め、健康食品のパッケージには、医薬品と比べて素材成分や機能についての情報が少ない」と商品提供側としての販売の難しさにも触れた。

 業務執行理事で副会長の根津孝一氏(ぱぱす会長)は、「健康食品の売上は前年比90%を切るのでは」と影響の大きさを予測する。

根津副会長

そのうえで「健康食品の販売の手引きとして情報提供の基準となる『ナチュラルメディシン・データベース』を従前から活用するよう働きかけてきた。今後このような〝バイブル〟的な情報源がより重要になってくるのではないか」と語った。

業務執行理事で副会長の樋口俊一氏(ファーマライズ顧問)は「医薬品登録販売者は基本的にOTC医薬品の専門家だが、健康について幅広くフォローできる職能を持っている。

例えばOTC医薬品を求める生活者に、薬以外のヘルスケアのインフォメーションを伝えられるモデルを構築すべきだ」

と語った。

健康食品の整備されない限り「セルフ販売に徹する」可能性も

樋口副会長

 記者会では「紅麹問題」に関わる店頭での情報提供強化の可能性について記者から質問が飛んだ。

 ある記者からは「通販会社の現場の声では、ドラッグストア店頭以上に通販ルートにダメージがあると聞いている。そのため通販会社ではコールセンターを強化し情報提供や問い合わせ機能の強化を図っている」と比較し「それでも通販業界は『ドラッグストア店頭での対人対応やカウンセリングには到底およばない』と答えている。先のコールセンター強化はその危機感の表れだと思われるが、ドラッグはその長所を今後どう生かしていくのか」と問いかけた。

田中事務総長

 問いかけに対し事務局長の田中浩幸氏は「実際に店頭で情報提供する際、健康食品と医薬品との違いが難しい。機能性表示食品であっても届出受理されたヘルスクレーム以上のことは伝えられない。極端な言い方をすれば『この機能性表示食品はいいですよ』という声掛けすらグレーゾーンになりえる。当然パッケージに記載されている情報を伝えるだけにとどまり、それを飛び越えてカウンセリングを行うには法整備がついてきていない」と現状を語った。

また店頭では、人員の問題もある。ある意味で医薬品以上に情報提供が難しい健康食品のカウンセリングに時間も人も割けられない現場の課題について、田中氏は「やみくもに知識を構築していきましょう、ということではない。例えばデジタルツールで支援する形だ。だがその施策を敷く上での健康食品そのものの土壌が整備されていない」とし、「それ次第では、セルフ販売に徹するという選択もあるだろう」と語った。