日用品流通の情報基盤を運営するプラネットは、今期を「シンカ」のスタート年と位置付け、4月1日付で組織変更と運用形態の変更を実施した。新たに「社内兼業」「副業」「在籍型出向」「留学」の4制度を導入し、「人的資本経営」を具現化する考え。坂田社長は「シンカの源泉はあくまで“人”。社員の成長なくして企業の成長もない。前に出る勇気を持つことで自らを向上させ、会社全体を活性化させたい」と語っている。
4月1日付の組織変更では、営業とマーケティングを部署として明確に分け、戦略の機動性と実効性を高めた。また運用形態の変更として「社内兼業」「副業」「在籍型出向」「留学」の4制度を導入し、まず4月より「社内兼業」制度をスタートしている。
「社内兼業」は、就業時間内に他部署業務を兼務させ、部門間の連携を強化するとともに、組織の風通しを良くする狙いがある。「まずは自身の業務の上流と下流を担うとこから始め、中期的に別業務の兼務にまで範囲広げていく」(坂田社長)という。
また「副業」は経営者視点やコスト意識の醸成を図るもの。「在籍型出向」はクライアントであるメーカー・卸の業務を経験させて相互理解を深める狙いがあり、クライアントからの逆出向も受け入れる計画。「留学」は実務に活かせる専門知識を身につけさせるもので、それぞれ2年以内の実施を目指している。
「シンカ」のスタート年と位置付けた今期の第2四半期業績は、個人消費の伸び悩みや卸流通を介さないPB商品の拡大等で売上高の伸びが鈍化している。一方で新サービスの導入が先送りになったために関連経費が予算を下回り、経常利益・最終利益は計画を上回って折り返している。
回復傾向にあるインバウンドも、「消費がモノからコトへと変化しており事業にプラスのインパクトは感じられない」(坂田社長)とする一方で、新サービスの1つ「ロジスティクスEDI」は、データ本数が前期比2倍に増えるなど効果をあげているという。
もう1つの新サービス「POSデータクレンジング」は、当初メーカーを対象に提供する予定だったが、「卸からの利用意向が予想以上にあった」ことから、現在はシステムの再調整を行い期末までにサービスの提供を開始するとしている。
坂田社長の頭の中には、さらなる新サービスの構想もあるようで、先述した運用形態の変更は、それを実行する人材の能力の引き上げを念頭にしていると考えられる。
「シンカの源泉はあくまで“人”であり、社員の成長なくして企業の成長もない。当社の人材は皆真面目で指示に対する遂行能力が高い一方、発想を飛躍させることはやや苦手だと感じる。一歩前に出る勇気を身につけ、新たな世界を体験することで自分を高めてもらいたい。そうした風土を醸成することで結果的に、会社全体が活性化するものと考えている」(坂田社長)という。