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創業から50年、ランキング1位のウエルシアが新路線【ヘルスケア・レポート】

医療法人社団ゆみのと協働し店舗から医療スタッフに相談できるオンライン健康相談サービス開始

 1974年4月19日に創業してから50年、売上げランキング1位のドラッグストアとして躍進を続けるウエルシアホールディングスが、外来と在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問栄養指導)に携わる医療法人社団ゆみのと協働し、通信機器を活用した看護師と相談者間でのオンライン健康相談(遠隔健康医療相談)サービスが2月19日から始まった。サービスは、イオン薬局の田町グランパーク店(東京都港区)とイオンタウン幕張西店(千葉市)の店舗内の専用ブースに設置された情報通信機器を活用して、看護師と相談者間でオンライン健康相談に応じる仕組み。ウエルシアとしては初の試みとなるが、今後、オンライン健康相談が、医療過疎地区へさらに普及されることを期待したい。(取材・文◎流通ジャーナリスト・山本武道)

専用PCのボタンを押して看護師など医療スタッフに相談

ウエルカフェゾーンに併設し開設されたオンライン健康相談ブース
専用PCで画面のボタンを押せば相談が始まる

 ウエルシアと医療法人社団ゆみのと協働でスタートしたオンライン健康相談(遠隔健康医療相談)サービス。相談者は、専用PCから医療法人社団ゆみのの看護師を中心とした医療スタッフに相談し、かぜなどの軽微な症状や予防接種や健康診断など、一般的な健康に関する相談、家族の健康や介護相談、一般的な医学情報の提供や受診勧奨が受けられる。
 利用時間は9時〜17時(土・日・祝日休み)で利用料金は無料(予約不要)。サービスの流れは以下の通り。

①店舗スタッフへ声をかけプライバシーが保護された専用ブースへ入室

②設置された専用PCのビデオ通話で相談したい内容を医療スタッフへ伝える(要望に応じ店舗スタッフがPC操作)

③専用PCのビデオ通話で医療スタッフがアドバイス
④ビデオ通話終了後、店舗スタッフに声をかける(OTC 医薬品を購入する場合、店舗の薬剤師・医薬品登録販売者が適切なOTC医薬品の選択をサポート)

ウエルカフェに隣接し専用ルームを設置した田町グランパーク店

健康相談が始まったウエルシア薬局田町グランパーク店
新しいサービスの概要を語るウエルシア薬局調剤運営本部調剤推進部の遠藤隆博部長


 オンライン健康相談コーナーが開設された二つのウエルシア薬局の一つ、田町グランパーク店は、JR田町駅から徒歩5分、国道1号線に面したオフィスビルの地下1階で営業し、来店客の様々なヘルスケア・ニーズに対応するドラッグストア。

 OTC薬、化粧品、健康機器、日用品、食品、酒、薬受け取りロッカー、心と体の健康クリニックやパソコン修理、銀行ATM、健康チェックコーナー、処方箋調剤受付と電子処方箋対応などのほか、併設されたウエルカフェゾーンに新たにオンラインによる健康相談が加わった。
 近年、新型コロナウイルス感染や大規模災害などの影響により遠隔医療の需要は高まるなか、ウエルシア薬局調剤運営本部調剤推進部の遠藤隆博部長(薬剤師)は、「オンラインによる健康相談ニーズはどれだけあるか分かりませんが、在宅医療に対する相談など様々なケースが出てくるでしょう。相談の予約は取りません。突然来ていただいても、ボタンひとつで気軽に相談ができます。相談時間は、大体一人15分程度を考えています。収益というよりもドラッグストアが地域のインフラとして社会に貢献できれば」と話している。
 同薬局では、この取り組みを通じ、さらにオンライン健康相談の必要性と課題を検討しながら実施店舗を順次拡大していく予定だが、山間部に住む高齢者たちの買い物ニーズに応え稼働中の移動販売車(うえたん号:11台)も利用することも考えているという。

協働クリニックが長年にわたるノウハウを提供

オンライン健康相談について話す医療法人社団ゆみのの堀部秀夫常務理事

 一方、協働先の医療法人社団ゆみのの堀部秀夫常務理事(事務局長兼新規事業部統括本部長)は、次のように語っている。
 「医療法人社団ゆみのは、2012年創9月に開院し、今年で12年目。現在は東京・大阪・福岡で7 拠点を展開し、450名の医療スタッフが外来診療と在宅医療に携わっていますが、特に病院から退院して自宅に戻られた際に、スタッフが患者さん宅でサポートサービスを提供し、患者さんとご家族から安心していただいてきました。長年にわたる在宅看護のノウハウをオンライン健康相談(遠隔健康医療相談)に役立つことができれば」



 日本一のドラッグストアとして前年比11.5%増の年商1兆1442億円(2023年2月期)、2024年2月期には7.5%増の1兆2300億円を目指すウエルシアHD。規模拡大だけでなく、オストメイト対応トイレやAEDの導入、ウエルカフェの開設や移動販売車(うえたん号)を通じ住民が安心・安全に生活できる暮らしを守る地域貢献への取り組みを強化してきた。

 つい最近では、24時間営業で生活者の“かかりつけドラッグストア“として活躍する新宿0-GUARD店(調剤併設)が、NHKテレビで紹介されるなど、創設50年になるウエルシアは、“地域 No.1の健康ステーション”への道を歩んでいる。